土産物宣言

土産物をもらうと、胸の奥に痛みを覚えるようになって、しばらく経つ。
「ありがとうございます」という言葉を発すると、ズキリと響く。
「なんだかなあ」という当惑を覚えることも多い。

土産物とは「知人や縁者に配る目的で、旅行先などで買い求める、その土地にちなんだ品物のこと」と物の本にはある。
日本を含む東アジア独特の風習で、欧米でいう「スーベニール」は自分への記念品なので、土産物と意味が違うそうだ。

手にすることで、その土地に住む人の顔が見えてくるような工芸品。
初めての味に驚きながらも、遠い地の食の好み紀行や風土を想像し、味わう食べ物。
こういう物こそ「土地にちなんだ品物」と言うのではないだろうか。
旅先と故郷を、出会った人たちと身近にいる大切な人、それらを結び繋げるものこそ土産物の役割なのだと思う。

それを手にすることで、ここではないどこか、ここにはいない誰かを想像し、違いを認め、そしてほのかに憧れる役割もある。
土産物は平和をつくり出す、大事なアイテムなのだ。
今こそ、こんな時代だからこそ、しっかりと愛情を込めた土産物をつくりだしていく。
そのために、われわれ四人は立ち上がった。

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