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Google,Amazon,Meta,Microsoftは下がっているのに、Apple株だけが一人勝ちしている理由を解説します!!

今回はApple株について解説したいと思います。Appleはご存じの通りデジタル家電電化製品、ソフトウェアを販売している会社です。そんなAppleですが10月27日の決算発表後においてGAFAMで唯一株価が上昇しています。Meta、Alphabet(Google)、Microsoftが今回の決算で暴落している事はどこもニュースになっていますが、Appleだけ何故株価が上がったのか、今後はどうなっていくのか、買いなのかという所を解説したいと思います。

①     Apple株が何故決算後値上がりしたのか?

Credit: Shutterstock

まず何故Appleの株価が決算後上がったかというと、もちろん決算報告が良かった為です。Appleの売上は今回の2022年度Q4で前年対比売上が8%上がり$90Billionでした。これはドル高という為替の影響を受けた結果ですが、もしドル高が解消されていた場合売上成長率は2桁だったと言われています。

これだけ景気が悪化しているにも関わらず主力のハードウェア製品(Mac, iPhone)の売上が好調だった為です。Macの売上は25%上昇し$11.5Billion、iPhoneの売上は10%上昇し$42.6Billionとなりました。更に高利益のサービス事業も売上が5%成長し$19.2Billionとなりました。またAppleは世界的なコロナ禍によるサプライチェーンの混乱に直面しているにも関わらず利益も成長しています。営業利益は5%上昇し$25Billion、そしてEPSは4%上昇し$1.29となりました。これは市場予想の$1.27を上回っています。これが今回値上がりした主な理由になります。

そもそもAppleは9月から10月にかけてメディアにも取り上げられていましたが、iPhoneの生産が減産するという話が出ていました。これにより他テック企業同様に株価は下がると思われていましたが、先ほどの通り株価は上昇しています(iPadの売上は13%下がったようですが、売上全体の8%程しか占めていない為、そこまで影響は大きくなかったようです)。

では何故Appleはこの状況が悪い中で成長するころができたのか、実は先程の減産についてはあくまで増産対応ができなかったというだけの様です。iPhoneの需要は根強く特に人口が増加している国、インド、ベトナム、インドネシア、メキシコでは需要が増えているそうです。富裕層に人気がありiPhoneを持つという事は一種のステータスにもなっている様です。もちろんiPhone14の価格は上がっていますが、消費者は高級携帯を求め、買い続けいているという事です。

②     今後はどうなるのか?

Image source: Getty Images.

今後のAppleはどうなるかというところですが、いくつか話がありますがまずはNFTへの参入です。AppleはApp StoreでのNFTサポートを始めました。NFTとはNon-Fungible-Tokensの略で非代替製トークンの事です。要は偽造不可能な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータを意味します。App storeでNFTをサポートする事自体は良いニュースなのですが、実は非常に厳しく、面倒なルールがあり暗号資産コミュニティでは悪い意味でニュースになっています。特にEthereumとSolanaはNFTにおける2大仮想通貨とも言われており、Appleの対応が大きな影響を与えてしまいます。

ではその面倒なルールとは何か、まずはApp StoreでのNFTの購入に30%の”税金”を課すという物です。一部のNFTクリエイターからはこの追加の税金によりNFT アプリビジネスは殺されるとも言われています。Solanaは既に対策を取っており、Magic EdenというSolanaのNFT Marketplaceがあるそうで、App Storeでアプリのダウンロードは可能ですが、実際にNFTの購入はできず、Magic Edenのwebサイトにアクセスしなければなりません。しかし、それによりAppleの30%の税金から逃れる事ができ、2%の手数料でNFTの購入ができます。

次にNFTの購入に法定通貨を使う事です。NFTは本来であれば仮想通貨(OpenSeaであればETH、Magic EdenであればSOL)を使用するのが一般的で、法定通貨を使用してNFTを購入するという事はそもそものNFTのコンセプトから外れてしまいます。しかしAppleは法定通貨での決済により多くのユーザーにNFTを理解して欲しいという思惑があるようです。

最後にAppleはユーティリティNFTを事実上禁止している様です。ユーティリティNFTとは追加機能、特典、または役割を含むようなNFTの事です。これはP2E(Play to Earn)ゲームに非常に大きなインパクトを与えます。ゲームの中での資産(武器やキャラクター等)は大抵NFTで構成されており、これが使用できないという事になってしまいます。EthereumではP2Eゲームに力を入れており、このAppleのポリシーはEthereumのNFTエコシステムに大きな影響を与えます。

次の話としてiPhoneのアッセンブリーを請け負っている中国のFoxconnという会社で11月のiPhoneの出荷数量が30%減少するという話が出ています。これは何故かというと中国の厳しすぎるゼロコロナ政策によるものです。

Foxconnは中国の鄭州(ていしゅう)市に工場があり20万人もの人が働いている様ですが、中国の厳しすぎるゼロコロナ政策に嫌気がさし、一部の従業員が週末に工場から逃げ出している様です。Foxconnは工場の食堂を閉鎖し従業員は食事を寮で取らなければなりません。また移動に関しても寮と工場の間だけで他の地域への外出は許されません。そりゃ抜け出したくなりますわね。FoxconnはiPhoneの大手メーカーであり世界中に出荷されている内の約70%がFoxconnで製造されています。Foxconnはこの状況をコントロール/対処できていると発表しているようですが、他の記事では臨時ボーナスを出すことにより従業員をつなぎとめていると記載がありました。もし30%ものiPhoneの出荷量が本当に減ってしまった場合は特にこれからのクリスマスシーズンにかけて大きな影響が出る事が予想されます。

③     Apple株は買いなのか?

Credit: REUTERS/BRENDAN MCDERMID

そんなApple株は買いなのかという所ですが、長期投資という意味では買いだと考えます。Strategy Analytics(アメリカの市場分析会社)によると、世界でのスマートフォンの出荷は2022年7~9月のQ3では前年対比9%下がり、2億9700万台でした。しかしAppleは同じ期間で4900万台iPhoneを出荷しており、これは前年対比6%以上増加しています。結果としてiPhoneのグローバルスマートフォンシェアは16.3%まで増えました。ライバルであるSamsungは前年対比7%の減少、中国のスマートフォンメーカーであるXiaomiは8%、Oppoは20.1%、Vivoは20.5%減少し、iPhoneの力強い成長率が良くわかります。

Appleの先日の決算報告で発表されたiPhoneの売上をStrategy Analyticsが試算した製品出荷台数で割ると平均販売価格(ASP: Average Selling Price)は$879となります。これは他社全体の平均である$413の2倍以上の金額となり、現在のインフレ下、来年リセッションが予想されるにも関わらず非常に高い数字となります。すなわち高い金額を払ってでも皆iPhoneが欲しいという訳です。

Appleは5Gスマートフォンの先駆者でもあり31%のマーケットシェアを持っています。2022年も同様に31%のシェアを維持できる場合、試算上他社を含めた全体の数量が6億8800万台となるため、約2億1300万台以上のiPhone出荷が想定される事になります。事実Appleは2億2200万台のiPhone出荷を2022年に見込んでいます。更に顧客はAppleの5Gスマートフォンが高額でも購入しています。高額グレードのPro modelに対しても需要は高く、インフレ下でもAppleの競争力の強さが垣間見えます。その為Appleは5Gスマートフォンにおいても独占的な立場を維持できると考えられます。

5Gスマートフォンの業界はまだまだ成長が見込まれます。IDC(IT業界の調査会社)によると2026年には79%のスマートフォンが5G対応となる見込みです。IDCは2026年のスマートフォン全体の販売台数が14億6000万台に達すると予測しており、5Gスマートフォンの年間出荷台数は2026年に11億5000万台(14億6000万台の79%)になる可能性があります。2026年にアップルが5Gスマートフォンシェアの30%を維持する事ができた場合、アップルの年間iPhone出荷台数は3億5000万台に達する可能性があります。平均販売単価を$850($879から値下がりする可能性もあるため)として試算した場合,iPhoneの売上は$300Billionまで昇ります。2022年度の$205Billionと比較すると非常に大きな成長です。

Appleは今後もまだまだ成長が見込まれる為、長期投資を前提とする場合は買いだと思います。但し先程のFoxconnの事件もあるので、次回の決算報告には注意が必要かもしれません。

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