Target株1日で13%下落!!原因と今後について解説!!株購入判断材料に御覧下さい。
今回はTarget株について解説したいと思います。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、Targetはアメリカで売上高5位を誇る小売り業者です。アメリカに行けば分かりますが、モールとかには必ず入っており、本当に何でも売ってます。
食品はもちろん、電化製品、医薬品、おもちゃ、衣類、マジで何でもあります。高配当株としても有名かと思いますが、11月16日に株価が爆死しました。。約$179⇒$155.5と1日で約13%もの値下がりです。日用品を取り扱っているTargetが1日でここまで下がるというのは珍しく、今回は何故Target株が大暴落してしまったのか、今後はどうなるのか、買うべきなのか、について解説したいと思います!!
①Target株が何故大・暴・死したのか?
まず何故Targetの株価が暴落したかというと、2022年度Q3決算報告の内容における利益報告が悪かった為です。Q3では売上は3%成長し$26.5billionとなり市場予想並みだったのですが、EPS(Earnings Per Share/1株あたりの利益)が $1.54でした。前年同期は$3.03だった為、そこから約50%下落した事となり、市場予想である$2.13でさえを大きく下回ってしまいました。粗利益率は前年対比3.3%下がり24.7%となりました。
利益が下がった主な原因は2つあり、1つは盗難が増えている様で今年だけで$600millionの利益圧迫につながっている様です。2つ目はインフレによる影響です。販売費及び一般管理費は賃金の上昇や福利厚生費の増加などにより、売上高を上回るペースで増加しました。その結果、Q3の営業利益率は、前年同期の7.8%から3.9%に半減しました。
マネジメントはQ4においては更に結果が悪くなると予測しています。売上高成長率は1桁台前半を見込み営業利益はわずか3%にとどまる見通しを出しています。これが今回Targetの株価が1日で大きく下落した原因となります。
今回利益が下がった原因の1つとして盗難とお伝えしましたが、Targetではこれが深刻な問題の一つとなっている様です。数百millionもの利益の減少は在庫数量の減少の為としてTargetは発表しておりますが、これはつまり棚にある商品が在庫として計上されている数よりも少ない事を意味しており、その原因は店頭での商品の破損、従業員の盗難、あるいは管理上のミス等様々な原因が予想されますが、ターゲットはこの損失を組織的犯罪に起因するものだと(つまり盗難)考えています。在庫の損失額は昨年と比較するとTargetの粗利益を$400million圧迫し、今年度で$600million(約840億円)もの営業損失になると見込んでいます。このような被害はTargetだけでなく他の小売店でも出ている様です。2022年にカルフォルニア州で9人組の組織が逮捕され被害額は$135,000(約1900万円)となり、Macy's, Columbia Sportswear, Abercrombie & Fitch, J.C. Penney, and Lululemon等から商品を盗んでいたようです。
Targetは今回の被害を受け状況を改善するために各店舗に対策を講じると述べました。具体的な対策内容までは発表されておりませんが、法執行機関、議員、地域社会のパートナー、小売業協会と協力し、この拡大する被害に対処するそうです。私もアメリカに出張しよくTargetにも行きましたが、正直セキュリティは本当にザルです。というか現金で支払った際、店員がお釣りの計算ができなくなり(いくらもらったか忘れて)適当に誤魔化された事もあります。ですので盗難も事実かもしれませんが、個人的にそもそも帳簿と現物が全く合っていないというのは日常茶飯事でそういった甘い管理が常態化している為、まずがそこから直さないと本当に盗難被害かもわからないかと思います。日本企業であれば半年に1回棚卸し等を行って確認していますが、アメリカ企業はそんな事絶対やっていないと思います。。
②今後はどうなるのか?
今後のTargetはどうなるかというところですが、在庫問題が出ています。実はTargetはコロナ禍開けの需要を狙い在庫を積み増ししましたが、実際にはそこまでの需要の回復は見られませんでした。その結果在庫を消化するために値引き販売を行い、今回のQ3での利益率低下に繋がってしまいました。
Q3終了時には$17.1billionもの在庫があり、Q3の売上における在庫率は63%に値します。この割合はTargetが以前急増した在庫レベルを調整するために新しい技術を使い始めた2019度Q3以降で最も高い値になります。売上在庫率は相対的に見たときに一定であるべきで、この在庫率の上昇はあるべき姿ではありません。在庫を持ちすぎて次の4半期に突入してしまうのです。在庫を持っている分には良いと考えるかもしれませんが、極端な話冬物のコートを春や夏まで確保していても売れません。おもちゃにおいてもクリスマス商戦を逃してしまうと需要は落ちてしまいます。こういった商品は結局値引き対応等で販売せざる負えなくなってしまいます。つまり利益減少につながるのです。
Targetは特に低営業利益率で商売を行っている為値下げや割引をする際にあまり余裕も少なく、1円・1セント単位が重要になってしまうのです。過剰在庫は想定よりも長期にわたり影響が出かねません。現状の在庫状況を加味するとTargetは次のQ4だけでなく、来年も適切な仕入れができない可能性があります。今回Q3で大きく株価を下げてしまいましたが、この在庫問題が解消されるには数カ月かかる事が予想され、今後もしばらくはTargetにとって厳しい状況が続くかもしれません。
③Targetは買いなのか?
そんなTarget株は買いなのかどうかという所を解説したいと思います。私は現在のTarget株を買う気は全くありません。Targetはコロナ禍による巣ごもり需要により大きく成長しました。E-commerceによるネット通信販売も急成長し2020年度では19.3%、2021年度では12.7%成長しました。しかしコロナパンデミック後は非常に厳しい状況となっています。インフレによる商品単価の上昇で裁量材(必要不可欠ではない商品)に対しての消費が抑制され、またサプライチェーンの混乱により在庫の回転率も上げられません。その結果として既存店売上成長率は下落、粗利益率も下落、在庫率は今までにないレベルまで上がってしまっています。Q4のガイダンスにおいても回復への期待を失わせるものでした。既存店売上成長率は1桁台を見込み、営業利益については前年同期比3%程度になると発表されました。
しかし、競合他社であるWalmartは直近の決算報告でインフレやサプライチェーンの混乱等の同じ悪条件下にいるにも関わらずTargetよりもはるかに良い結果を叩き出しています。Walmartの2023年度Q3の決算報告では既存店売上成長率が8.2%、営業利益は4.9%確保しています。Q4においては売上成長率が3%を見込んでおり、更に強盗等による影響についての話は一切出ていません。Targetが勝てる点は高配当株として有名で51年間増配を行っており、現在の配当率は2.4%です。PERは14倍となりWalmartの22倍よりは割安となり配当率もWalmartは1.5%です。
WalmartはTargetと比較して食料品の取り扱いが多く、生活必需品が多い為Targetと比較するのは一概に正しいとは言えないかもしれませんが、只結果としては大きな差が出ています。投資家は恐らくTargetが安定した売上成長率と利益の改善が見られない限りは投資対象と見ないかもしれません。これが私が考えるTarget株を買わない理由になります。
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