無常

という言葉は、中学1年で初めて知った。
国語の時間だ。「祇園精舎の鐘の声。諸行無常の響きあり」と平家物語で暗唱したときに、諸行無常の意味を、古典の先生に習った。
次に意識したのは、その約20年後。チベット・ダライラマ法王のインド・ダラムサラでの説法のとき。「世の中は移り変わります。一瞬も止まることはありません。100%の人が避けて通れないもの。それは『死』です」。頭では理解できたが、ふーんと言った感じだった。
今でも、よくわからない。
だけど、ふと思うことがある。
人は、自然なんだ、と。自然は自分の一部なんだ、と。
そう思ったとき、タイのお坊さんからの言葉を思い出す。
「あぁ、そうそう。そうやってずうっと修行していくと、無常ってのがわかってきますよ」
知りたいと欲を出せば、遠のく。
でも知りたいという欲がなければ、無常は見えない。
そのはざまで必要なのは、無欲の欲だ。

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