ブルーピリオドは、アーティストの心情の描写がとにかくすごい作品

これはアルのコンテンツを中心にお届けする、アルベント・カレンダー記事です。

アーティストの心情は計り知れないものがある。時々それは奇人変人と言われたりもするけれど、おそらくその行動も当の本人にとっては複雑な心情があり、その結果なのだと思う。目立った奇行があるわけではないが、ブルーピリオドはそんなアーティストの心情をエグいまでに描写されている漫画だ。

ブルーピリオドは、主人公である八虎が、ある日画家になることを決意し東京藝大を目指す。マンガではあるとはいえ、主人公の八虎は最初から東京藝大に入れるだけの才能がある訳では無い。いや、恐らくその才能はあるのだけれども、当の本人の意識はそれまでは絵に向かっていなかった。

何者でもなく、日々を漫然と暮らしていることは悪いことだろうか。おそらく誰もが一度は通る思考だと思うが、八虎のようにそつなくなんでもこなしてしまうような人間にとってはあまりにも退屈な日々だったのだろう。物語の初頭の方にあるこのシーンが強く物語っている。

しかし、俺の感動とはなんなのだろうか?好きなことを続けて成果を出すことが自身の感動に繋がることは誰もがわかっているけれども、好きなことだって常に楽しいわけでも、感動があるわけでもない。むしろ、真面目に取り組んでしまうからこそ、適当にやっていることよりも辛いことは増えてしまう。

自分の作る作品が常に誰かに認められるわけじゃない。でも自分の作品を認めさせるためには、自分自身の成果しかない。だから、そして八虎は涙しながら筆を取る。若さが故のエネルギーをただ絵にぶつけるシーンがとにかく印象的だ。

「俺の絵で全員殺す」

アルのコマ投稿でもこのシーンをあげる人はすごく多い。ブルーピリオドを読んでいる人にとってものすごく印象的なシーンだ。何者かになりたくて、認められたくて、それでも自分自身の中のエネルギーが溢れてしまっている。このシーンに共感をした人は多くいるのだろう。

クリエイターをもちろん、何かしらの夢をもってそれに向かって走り続けている人にはとにかくささるシーンが多い作品だ。絵画がテーマということで敬遠していた人もぜひ読んでみてほしい。


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