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あなたの会社の社外取締役は誰の紹介ですか?

令和元年会社法改正が施行されて1か月が過ぎようとしています。
改正項目の一つに、「社外取締役 設置の義務化」がありました。
上場会社を含む一定の要件を満たす会社では、社外取締役を置かなければなりません。ただほとんどの上場会社等では、既に対応済みでしょう。
今後は、より一層人数や割合を増やしていく、という方向に進みそうです。

そして「数」が整ったら、今度は「質」の問題です。
まだまだ経営陣の中には「社外の者に当社の何が分かる」というマインドの人が多くいらっしゃいます。
こういった経営陣の方の頭が古いのかというと、必ずしもそうではなく、社外取締役側に問題があるということも、残念ながらしばしばです。もちろん素晴らしい社外取締役の方が多いのですが、玉石混交というのが現状ではないでしょうか。

ではどうすれば社外取締役の「質」を向上することができるのか。
テストでもやれば良いのでしょうか?「社外取締役 能力検定」「社外取締役 受講必須 eラーニング」なんて、いいビジネスになりそうです。
冗談はさておき、当職は、社外取締役の能力そのものを問う以前にやるべきことがあると思います。

「社長のお友達人事」なのかどうかを開示するということです。

そもそも社外取締役の会社法上の要件は、過去や現在にグループ会社を含む一定の職についていなかったこと、などであり、「社長のお友達でないこと」というのは条件ではありません。
しかし「社長のゴルフ仲間」や「会長の親戚のお友達」や「大株主の飲み友達」が、取締役会で、本当に執行陣を「取り締まる」ことができるのでしょうか。
他方でこれ自体を法律で禁止するというのは、これまた定義が難しそうです。

そうすると、例えば抑制方法の一つとして、「この社外取締役は誰の紹介か」というのを株主総会の参考書類に書くことにしても良いのではないかと思うのです。
お友達も禁止ではないけど、それを適切とするかどうかは株主が判断する、ということです。
「社長の同級生」は微妙かな…でも「社外取締役の紹介」「(まともな)外部人材紹介機関の利用」なら良いかな、というイメージです。
どこまで詳細に書くのかなど議論するだけで1年は軽くかかりそうですが、実は既にコーポレートガバナンス・コードでは、企業は「取締役会が…取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続」について主体的に開示するべきとされています。

社外取締役の選任は既に次のフェーズに入っているのです。


弁護士 野村彩(のむらあや


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