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原告島田 本人調書

6月23日に行われた島田元取締役対する尋問結果を公開します。尋問調書をベースに一部誤記を校正したものです。


1.原告主尋問

(1)導入

<原告ら代理人高田>
(甲第1 6 2 号証を示す)陳述書を示します。1 ページ目の署名押印は、あなたによるものですか。
→はい。

署名後に見付けた修正すべき点はございますか。
→5 ページ4 段落目、「なお」から始まる「平成24 年2 月2 3 日」は、正しくは平成24 年1 月24 日です。

その他の内容はよろしいですか。
→はい。

(2)原告島田の考える殺菌概念及びその根拠

あなたは、噴霧乾燥器の規制要件ハのうち殺菌、すなわち定置した状態で内部の殺菌をできるものについて、どのような機器がこれに該当すると認識していましたか。
→曝露防止性能が備わっており、CIP 、薬液等で洗浄を行うCIP が備わってるものが該当すると考えておりました。

曝露防止性能とはどのようなものですか。
→粉体が漏れないようにするという機能を言います。

CIP 機能はどういうものですか。
→CIP というのは、薬液等を用いて内部の洗浄をすることを言います。

曝露防止性能が備わってることが必要だという理解をしていたのはなぜですか。
→2 0 1 1 年3 月の日、CISTEC からのメールで、外部に粉が漏れないような仕様ということが書かれておりましたので、それ以来、曝露防止機能が必要だと考えておりました。

(丙A第18号証を示す)添付資料1 を示します。藤井さんの供述調書の添付資料になります。資料1 、こちらは、2011年3月2日付けのメール、差出人、黒塗りになってますが、CISTEC の和久津さんで、噴霧乾燥器の勉強会をしたいという依頼のメールです。こちらが、CISTEC ないし経産省から御社、すなわち大川原化工機にアクセスがあった最初のメールですね。
→はい。

アジェンダの(2) に、「漏れを防止する特別な仕様」と書かれてますが、この記載から、曝露防止の仕様が規制の対象として想定されているんだという理解をしたんですね。
→はい。

(甲第5号証を示す)下のページで10ページと書かれているページを示します。こちら、日本での規制ができた直後にCISTEC が発行したガイダンスです。このページには、噴霧乾燥器を含む全ての規制対象装置に共通の仕様を記載した箇所があります。ここに、「研究や製造・保存過程において病原性微生物、ウイルス、毒素等の感染を防止するための洩れ・拡散を防止対策された機構・構造を具備していること」というふうに書かれてますが、ガイダンスに曝露防止構造が必要と、こういうふうに明記されていることも、あなたの考えの基になってますね。
→はい。

同じく下のページで44ページと打たれたページを示します。これは、噴霧乾燥器プロパーの規制要件に関する記述です。こちらにも、「乾燥粉体が漏れない状態にして」と書かれています。噴霧乾燥器の解説にも、このように曝露防止に関する記載がなされていたということも、あなたの理解の基になってますね。
→はい、なってます。

ちなみに、噴霧乾燥器に関する解説に書かれた、「漏れない状態にして」という表現は、どなたが作成したものですか。
→CISTEC の西村さんです。

(丙A第106号証を示す)資料30 を示します。CI STEC 西村さんから島田さんへのメールです。このメールに、ガイダンスの原案が添付されています。ページをめくっていただいて7 5 ページと書かれたページ。「病原性微生物等を扱う装置の特徴」のところに、「エアゾールが漏れない状態にして」というふうに記載されています。こちらがCISTEC から送られてきた原案ですね。
→はい、そうです。

エアゾールというのは、空気中に浮遊した微粒子、すなわち乾燥粉体のことですね。
→はい。

この裁判で被告国は、ガイダンスはCISTEC が発行したもので、経産省とは無関係だというふうに主張していますが、あなた方事業者にとって、CISTEC は経産省と無関係な団体という認識ですか。
→いいえ。

(丙A第18号証を示す)添付資料1 を再び示します。こちら、メール、上の方ですね、メールの文案に、「CISTEC は経済産業省の関係団体で、軍事用途に利用される懸念のある輸出の規制について規制当局の経済産業省と民間企業との調整等を行っております。」というふうに書かれてますね。
→はい。

この2011年3 月の勉強会にも、CISTEC の職員だけでなく、経産省の新地さんも参加していましたか。
→はい、参加していました。

次にCIPについてお伺いします。あなたは、なぜCIP機能が付いてるものが規制対象であると考えたんですか。
→2011年3月頃の経産省新地さんからのメールで、本件要件ハの基になったAG の規制要件についてのアメリカの説明を見て、そう考えました。

(甲第129号証の1を示す)2012年3月13日の新地さんのメール。こちらのメールですね。
→はい、そうです。

2枚目のクエスチョン3 に対するアメリカの回答、こちら、英文ですが、これを読んで、蒸気滅菌の他に薬液消毒を規制対象に加えるものだというふうに理解したんですね。
→はい、この英文の下から7 行目の「Instead」、それ以降の文を見てそう考えました。

(甲第128号証を示す)こちらも新地さんのメール、2012年3月9日です。こちらに、デンマークとA 国の意見も書かれています。まず、デンマークの意見ですが、乾熱殺菌を規制すべきという意見ですか。
→いえ、ここで書かれているのは、蒸気滅菌に類似する、信頼を有する乾熱滅菌について書かれていることで、乾熱殺菌について書かれていることではありません。

次のページをめくっていただいて、A国という国の意見が書かれていますが、A国の意見は、乾熱殺菌を規制すべきというものですか。
→いいえ、ここでは滅菌について手段を問わないと書かれているだけで、殺菌について述べてはいません。

これらのメールを読んであなたは、オーストラリアグループの規制対象は、蒸気滅菌機能が付いた機器の他、定置した状態で薬液消毒できる機能、すな
わちCIP機能が付いてる機器が規制の対象になるというふうに理解したん
ですね。
→はい。

(甲第1 27号証の1 を示す)こちら、2012年12月19日の新地さんのメール。これは、AG で合意された内容を国内法に落とし込む際の文言について、確認を求められたメールですね。
→はい。

(甲第127号証の2を示す)これは、127号証の1に添付されていた添付ファイルです。AG の規制文と省令案の文言が対比されています。ここで、省令案にある殺菌という文言が、英文のdisinfected と異なる意味を有する用語だという説明を、新地さんからされましたか。
→いいえ。

このメール以外で、新地さんやその他経産省の方から、オーストラリア・グ
ループと規制が異なるんだという説明を受けたことはありますか。
→一切ありません。

(丙第1号証を示す)添付資料、ページ番号が1116と書かれたものを示します。これは経産省の運用通達ですけれども、この通達の文言を経産省から示されたことはありますか。
→ありません。

規制が導入された2013年10月以降、2018 年10月にあなたの会社が警察の捜索差押えを受けるまでの間、大川原化工機では、全ての噴霧乾燥器の輸出について該非判定表ハの要件、非該当と記載して輸出を行ってきましたね。
→はい。

2016年5月頃、あなたはCI STEC 藤井さんからヒアリングを受けた際に、大川原化工機が輸出した噴霧乾燥器は、全てハの要件が非該当だというふうに伝えましたね。
→はい。

そのヒアリングは、経産省からの依頼でCISTEC が行ったものですね。
→はい。

(丙A第18号証を示す)藤井さんの供述調書ですが、本文の10ページを示します。第6項に、平成28年、藤井さんが、経産省のAG 担当係長であった桑原さんから、ハの要件について日本国内における判定基準を国内メーカーに調査するように依頼されたというふうにありますが、この際のヒアリングで伝えたんですね。
→はい。

ページをめくっていただいて11ページの下から12ページにかけて、5月27日頃、大川原化工機を訪問したところ、島田さんが「自社製品では全て滅菌も殺菌もできないので、輸出規制には非該当である。」と言ったというふうに書いてます。これは事実ですか。
→はい。ただし正確には、当社が輸出している装置はと言いました。

そのヒアリングの際、あるいはその後に、経産省やCISTEC から、ハの要件に関する経産省の考え方について説明を受けたり、あるいは全て非該当とするのはおかしいじゃないかという指摘を受けたことは一度でもありましたか。
→ありません。

警察の捜索差押えを受けた後、しばらくたった頃に、経済産業省から行政処
分の検討に入ると連絡を受けたことがありましたね。
→はい。

いつ頃だったか御記憶はありますか。
→2019 年の5 月3 1 日だと記憶してます。

御社は経産省の指示を受けて、過去の輸出に関する関係書類を経産省に提出
しましたね。
→はい、しました。

その後ですが、御社は本件に関して行政処分や事後審査を受けた事実はあり
ますか。
→ありません。

(3)噴霧乾燥器の構造

噴霧乾燥器の構造についてお聞きします。御社の噴霧乾燥器RL-5 のサイクロン、バグフィルターの下に取り付けられている製品回収ポットには、バタフライ型のダンパーが付いていて、開閉できるようになってますね。
→はい。

他方、L-8iですが、サイクロンと製品ポットの接続部分にダンパーは付いてますか。
→いいえ、付いてません。

(丙第7号証を示す)資料2、写真7、8 を示します。こちらが警視庁が行った、RL-5 の温度実験の報告書の写真です。写真に写ってるバタフライ弁というのがダンパーですね。
→はい、そうです。

(丙第14号証を示す)資料2 、写真9、10を示します。こちら、同じく警視庁が実験を行ったL-8iの写真です。サイクロンは下の写真ですが、ダンパーは付いてますか。
→付いていません。

ダンパーが付いてないと、製品回収時にサイクロン、回収容器の両方から、上下から曝露しますね。
→はい、曝露します、上下から曝露します。

1 枚戻って写真8を示します。こちら、L-8iのサイクロンと回収容器付近の撮影をした写真です。サイクロンと回収容器の境目にダンパーを取り付けることは簡単にできるんですか。
→できません。

それはなぜですか。
→サイクロンの上下にスペースがなく、装備するには、9 サイクロンの下に約、少なくとも1 0 0 ミリスペースが必要です。そのためには、構造、あるいは操作性、あるいは洗浄性を考えて、再検討、再設計する必要があります。

ちなみに、ダンパーが付いてると、製品回収時の粉体の曝露は防止できるん
でしょうか。
→できません。

なんで。
→粉体の製品を取り出したときに、容器の蓋がありませんので、容器から作業者は曝露します。

下の方から曝露するってことですね。
→はい。

製品回収時の曝露を防止するには、どのような構造が必要ですか。
→スプリットバルブが必要です。

(4)安積警部補の取調

(原告ら代理人山城)
あなたは先ほど、本件要件ハの殺菌することができるものとは、CIP機能
を有するものを指すと考えていたと、そうおっしゃいましたね。
→はい。

しかし、あなたが警察での取調べを受けて署名した供述調書には、どこにも
そのことは触れられていません。あなたは、安積警部補の取調べの際に、CIP機能を有するものだと考えていたと、そう主張しましたか。
→はい、何度もしました。

(乙第6 号証の1 を示す)あなたが最初に取調べを受けたときの捜査メモです。1 ページ目の上部「2 取調べ要旨」のところに、「CIP (自動洗浄)機能付きの薬液による滅菌・殺菌が可能な器械だと考えていたと。」と書かれていますが、このようなことを主張したということですね。
→はい。

(乙第6号証の2 ないし4 を示す)
まず、乙6 号証の2 、先ほどと同じく1 ページ目の上部の「取調べ要旨」の部分ですけれども、「『定置した状態で』という言葉になった。」「自動洗浄・滅菌の設計をしたものが該当する。」と記載があります。次、乙6号証の3、同じく1ページの上部、「CIP機能付の自動で洗浄・薬液滅菌できる装置が該当」と考えていた。」「空焚きで殺菌する方法は考えもしなかった。」。乙6号証の4、これも一番上の部分です。「CIP 等で自動で洗浄・滅菌できる装置が該当だと考えている。」、あなたはこのように、殺菌ができるというのはCIP機能を有するものだという認識を、何度も何度も繰り返し説明してきたわけですね。
→はい、何度も話しました。

(乙第6号証の10を示す)上部、「2 取調べ内容」のところ、(1)のところです。これは平成31年2月27日の取調べで、あなたがCIP 機能を有するものが該当だと考えていたのに対して、安積警部補がそれはおかしいと反論している、そのやり取りの様子が書かれています。安積警部補はこのようにして、あなたの述べたことを受け入れてくれなかったわけですね。
→はい、私の言うことを受け入れていただけませんでした。

(乙第6号証の19を示す)これも同様に2の(1)のところですけれども、令和元年5月13日の取調ベメモです。ここでもあなたが、CIP機能を有するものが該当だと述べたのに対して、安積警部補が、そんな言い訳は通じないと封じ込められましたね。
→はい。

(乙第6号証の37を示す)1 ページ目の真ん中より少し下の部分ですけれども、ここでもCIP機能のことを述べていますね。
→はい。

あなたが当初から、そしてその後も何度も何度も繰り返し述べていた認識を、安積警部補は供述調書に記載してくれなかったということですね。
→はい。安積警部補は、調書は私の言うとおり記載する必要はないと言いました。

(甲第129号証の1 を示す)2 ページ目です。先ほども示した資料ですけれども、これは、経産省の新地さんの2012年3月13日のメールです。先ほど述べられたように、CIP機能付きの装置がdisinfection、すなわち殺菌できるものに該当するとあなたが考えたのは、このアメリカのタイトルに書かれてたからですね。
→はい、そうです。

このメールですけれども、安積警部補は取調べの際に、あなたに示してくれ
たことはありましたか。
→いいえ、ありません。

次に、任意取調べの内容についてお伺いしていきます。あなたは、平成30年12月11日から令和2年3月11日までの間、合計39回もの任意取調ベを受けて、少なくとも14通の供述調書が作成されていますね。
→はい。

CIP機能を有する装置が規制対象だというあなたの認識を、調書に反映してくれなかった点の他にも、あなたの言い分を正しく調書に反映してくれなかった点はありますか。
→はい、あります。

(乙第6 号証の6 を示す)捜査メモを示します。1 ページ目の冒頭に「取調べ内容」として、「供述調書1 通作成」とあります。捜査メモを見ると、これだけに限らず、十数通の全ての供述調書が、その日の取調べの冒頭に作成されているようなのですけれども、それは事実ですか。
→はい、事実です。

あなたがその日に述べたこと、取調べで述べたことを調書にしたのではなくて、取調べ前から調書が作成されていたということでしょうか。
→はい、私の取調べが始まる前から調書が作成されておりました。

あらかじめ作成されていた供述調書というのは、白紙に印字したメモ書きの、そういったものでしたか。
→いいえ。

どのようなフォーマットでしたか。
→メモ書きなどではなくて、供述調書のフォーマットで完成されておりまして、私がサインするだけで全てが完成するような状態でした。

あなたは、御自身の言い分を述べる前に、そのあらかじめ作成された供述調
書に署名を求められましたか。
→はい。安積警部補は、取調べが始まると調書を見せて、サインするように求めました。

あなたは、そのようにあらかじめ作成された供述調書の内容を確認しました
か。
→はい、確認しました。

確認した結果、提示された供述調書には、あなたが言いたいことや事実というのが正確に記載されていましたか。
→いいえ、調書には意図的に私の言ってることが言い換えられて、私が話してもいないことが書き加えられていました。

(丙A第90号証を示す)これは、平成31年4月19日にあなたが受けたとされる取調べに係る供述調書です。16ページを示します。ここには、経済産業省の許可を取らずに、不正に輸出を繰り返したという記載がありますけれども、これはあなたが供述したものですか。
→いいえ、私はこのようなことを言っておりません。これは、安積警部補の作文です。

あなたは、この記載を修正するように安積警部補に依頼しましたか。
→はい。

具体的には、どのように修正してほしいと要求しましたか。
→「不正に」、あるいは「ずさんに」という部分を削除して、「ガイダンスに従って許可申請の要らないものと思い」、というふうに修正するように求めました。

安積警部補は応じてくれましたか。
→いいえ、応じてくれませんでした。

(乙第6号証の16を示す)これは、今お見せした丙A90号証、すなわち平成31年4月19日の取調べに係る捜査メモです。この捜査メモには、当日の取調べの内容として、1番上の(1) のところに「供述調書1 本作成」とあり、「平成25年8 月に経済産業省によるヒアリング及びパブコメが実施されるに伴い、社長が要望・意見したこと等について」と書かれています。しかし実際には、この日にあなたが話したものではなくて、最初から調書が出来上がっていてサインを求められたものですね。
→はい、あらかじめ出来上がっておりました。

最初から調書が出来上がっていたということは、安積警部補はその日より前
に行った取調べの内容を基に、調書を作成してきたと考えられますね。
→はい、そう思います。

しかし、4月19日よりも、これよりも前の捜査メモを見ても、「不正に」といったような記載は捜査メモの中には出てきません。あなたとしても、4月19日より前の取調べで、不正に輸出をしましたと供述したことはなかったですね。
→いいえ、ありません。私は、不正になどという言葉を使ったことがありません。

(丙A第90号証を示す)1ページ目、下から3 行目のところの記載ですけれども、「汎用品つまり弊社が標準器として製造している定型器の噴霧乾燥器も該当となる」という記載があります。しかし、これ以前の捜査メモにおいて、あなたが定型器が該当となると断言した記載はありません。少なくともこのメモにはないんですけれども、供述調書では、あなたが該当となると断定したことはあるんですか。
→ありません。

あなたは、定型器が該当となるという部分について修正を求めましたか。
→求めました。

すると、安積警部補は何と言いましたか。
→修正するならどう変えるんだと言いました。

代替案を求められたということですね。
→はい、代替案を求めました。

あなたは、代替案を示すことができたのですか。
→すぐに修正案を思い浮かぶことができませんでした。

そのようにあなたが代替案を示せない場合、安積警部補はどうするんですか。
→修正に応じてくれませんでした。

今、落ち着いて考えると、この部分はどのように修正すれば、あなたが取調べで話した内容と合致するようになりますか。
→この「定型器の噴霧乾燥器も該当となる」という部分を、定型器の噴霧乾燥器も該非判定の対象となる、ということに修正いただければ、私の言ったことに合致します。

同じく丙A90 号証の1 2 ページを示します。これは、噴霧乾燥器の規制の範囲を狭める内容のパブリックコメントの提出に関する記載なんですけれども、ここには、あなたの認識として、「かなり無理があるなと感じました。」とか、「これは単に、規制逃れのための要望に過ぎないと思った」などと書かれています。しかし、これ以前の取調べに関する捜査メモにそのようなことは書かれていません。あなたは、ここの部分にあなたの認識や考えとして書かれたことを、安積警部補に述べたのでしょうか。
→はい、これも述べました。

これを述べたんですか。
→これは、すいません、質問をもう一度お願いします。

かなり無理があるなとか、規制逃れのための要望にすぎないとあなたが話したって書いてあるんですけど、こんなことをあなたは取調べで言ったんですか。
→いいえ、私はこのようなことを言ってません。

安積警部補の作ってくる供述調書には、このような点の他にも、付け加えたりだとか、言ってもないことを書いてきたことがありましたか。
→はい、毎回ありました。

あなたは、事実と異なる記載や、意図的に付け加えられた表現がたくさんあるのを見付けて、訂正してほしい部分に丸を付けるので、印を付けるのでペンを貸してくださいと、そう依頼しましたね。
→はい、依頼しました。

ペンは貸してもらえましたか。
→貸してもらえませんでした。

調書の確認の仕方ですけれども、調書の読み聞かせは行われたことはありますか。
→供述調書の読み聞かせは、全ての取調べにおいて一度もありません。

あなたは、供述調書を読んで、誤りを見付けて修正を依頼する際に、手元にその誤った調書を置いたまま、一つ一つ誤りを指摘することができましか。
→いえ、調書をある程度読み進めるたびに、口頭で誤りを指摘する必要があり、そのたびに調書を取り上げられました。

ペンで間違った場所に印も付けられず、修正する際には調書が取り上げられると、そのような方法で供述調書の誤りを全て的確に修正できましたか。
→いえ、できません。どこまで指摘したか分からないこともあり、あるいは、見落とすところはありました。

あなたは、調書の誤りを今、見落とすことがあるとおっしゃいましたけれども、反対に、あなたが見付けて指摘できた誤りというのは、すんなり修正してもらえたのですか。
→いえ、安積警部補は、修正に当たり、交換条件を提示しました。

具体的にはどのように条件が提示されるのですか。
→例えば、じゃあ、ここの部分は消してあげるけど、同じところ、他のところに同じ文章を入れますからとか、あるいは、ここの文章は入れるけど、その他の部分は残すからというふうに交換条件を示しました。

規制要件ハの殺菌の解釈について伺います。空だきによる殺菌は、噴霧乾燥器の業界において、一般的に行われている操作方法ですか。
→いいえ、熱風だけを空だきで装置に入れ込むということは、有害な粉体が外部に排出されます。非常に危険な操作で、そればかりでなく、装置の火災、あるいは粉じん爆発を起こす可能性のある非常に危険な操作で、行ってはいけない操作です。

空だきによる殺菌という発想がないことは、安積警部補に説明しましたか。
→何度も何度も説明しました。しましたけれども、修正に応じてくれませんでした。

調書に記載してくれなかったということですね。
→はい。

あなたは安積警部補から交換条件を提示されたりとか、代替案を示せない場合に修正をしないと拒絶を受けたりとか、その結果、提示された交換条件や修正の拒絶というものを受け入れてしまったことはありますか。
→はい、あります。

なぜ、受け入れてしまったのですか。
→逮捕されるという恐怖感もあり、修正を諦めたこともありました。

あなたは取調べ中、安積警部補から、噴霧乾燥器に熱風を送り込めば、菌が死ぬかと聞かれましたね。
→はい、聞かれました。

あなたはその質問に何と答えましたか。
→熱風を入れる限り、幾らかの菌は死ぬだろうと答えました。

あなたは取調べ時において、細菌分野の専門的な知見を有していましたか。
→いいえ。

滅菌、殺菌の定義を知っていましたか。
→いいえ。

安積警部補は、規制要件ハの殺菌の定義について、何か言いましたか。
→安積警部補は、菌が少しでも死ねば殺菌に該当すると言いました。また、ハの要件は、熱風が入れば全て該当なんだと言いました。

安積警部補はそのような解釈が正しいことは、経産省に確認したと言っていましたか。
→はい、言ってました。

それに対して、あなたはどのように回答しましたか。
→私は、そのような解釈の認識は持っていないと話しました。

それにもかかわらず、安積警部補は、単に島田さんが殺菌できると認識していたと、そういうふうに調書に記載したわけですか。
→はい、そうです。

平成30年12月20日、安積警部補はあなたに対して、大川原化工機を捜査する理由として、大川原化工機製の噴霧乾燥器が中華人民共和国のあってはならない場所に納入されていたことが発覚したためだと、そういうふうに説明をしましたね。
→はい。

同月2 6 日、あなたは改めて、今の説明の真偽を確認した際に、安積警部補は何と回答しましたか。
→今、捜査中だと言いました。

つまり、同月20日の段階で、あってはならない場所に納入されたという事実はなかったということですね。
→はい。

あなたは、このように安積警部補から虚偽の説明をされたことについて、どう感じましたか。
→日本の警察はこんなうそ言うんだと失望しました。

安積警部補はあなたに対して、類似案件で有罪判決を受けたセイシン企業の植田さんという方について、何か言及しましたね。
→はい。

具体的には、どのようなことを言われましたか。
→そんなことを言ってると、セイシン企業の植田さんみたいになるぞと言われました。

過去の事例についても何か言われましたか。
→過去の不正輸出はほとんど逮捕されてる、今回もそうなると。該当と認めないと不利になるというふうに言われました。

あなたは安積警部補に対して、ガイダンスに従って非該当と判断していたと、空だきは殺菌方法に入らないと思っていたと、何度も説明しましたね。
→はい、しました、何度もしました。

あなたがそのような説明をすると、安積警部補は、社長と相嶋さんについて何かおっしゃってましたか。
→そんなことを言ってんのはおまえだけだと、社長も相嶋さんも既に認めてると言いました。

あなたがそのような説明を続けていると、どうなると言われましたか。
→そんなことを言ってると、あなただけが逮捕されるぞと言いました。

実際には、社長も相嶋さんも規制に該当すると認めていなかったんですよね。
→はい、実際には社長も相嶋さんも、そのような事実はありませんでした。

安積警部補が類似案件で有罪判決を受けた人の名前を具体的に言及したりだとか、社長や相嶋さんが認めているのに、あなただけが認めないと逮捕されるぞとか、そのようなうそを告げたことは、あなたの心理状況にどのような影響を与えましたか。
→私は、逮捕されるという恐怖感もあり、安積警部補は、私の修正に応じなく、あるいは交換条件を出す。仕方なくそのような交換条件を受け入れてしまいました。

続いて弁解録取についてお伺いします。あなたが逮捕された直後、安積警部補により弁解録取の手続が行われましたね。
→はい。

安積警部補は他の供述調書と同様に、弁解録取に先立って、事前に弁解録取書を作成していましたね。
→はい、事前に作られてありました。

これも、単なるメモというものではなくて、あなたが署名指印すれば完成する、正式な弁解録取書のフォーマットで作成されていましたね。
→はい、弁解録取の形式で作成されておりました。

そして本件の弁解録取の手続の開始早々に、あなたから被疑事実に関する弁解を一切聞くことなく、あなたにその弁解録取書を手渡して、署名指印するよう求めましたね。
→はい、求められました。

手渡された弁解録取書には、あなたが発言していない記載や、事実とは異なる記載がありましたか。
→はい、ありました。

(丙A第125号証を示す)3ページを示します。事実と異なる記載があったということなんですけれども、この3 ページの末尾に、「私は弊社の噴霧乾燥器、「スプレードライヤRL-5 」が輸出規制に該当する不安を抱えながら」「無許可で中国に輸出した」という記載がありますけれども、事実と異なる部分っていうのはこの部分ですか。
→はい、そうです。

どう事実と異なるのですか。
→私は、社長や相嶋さんから指示されたという記憶はありませんので、指示された非該当で輸出するとの方針に基づき、無許可で輸出したということが事実と違います。

その事実無根の記載に対して、あなたは修正を依頼しましたか。
→はい、依頼しました。

具体的には、どのように修正するよう求めましたか。
→「ガイダンスに従って、許可の申請の要らないものと考えて輸出した」というように修正を求めました。

そうすると、安積警部補はどうしましたか。
→安積警部補は、経産省に確認してないから不安もあるだろう、あるい
は、、、。

これ、直してくれようとはしたんですか。
→直してくれませんでした。

直してくれなかったんですけれども、あなたはここを削除して、今おっしゃった表現に直してほしいと言ったわけですよね。
→はい、「ガイダンスに従って輸出した」というふうに直してもらうように求めました。

そうすると、安積警部補は、それを一回、引き取ったわけですよね。
→はい、引き取って。

どうしたんですか。
→安積警部補はそれを引き取って、直すと言ってコンピューターをたたき、直していただいてました。

パソコンのキーボードをたたいていたってことですね。
→はい、そうです。

そして安積警部補は、再度、弁解録取書をあなたに手渡して、署名指印するように求めたというわけですね。
→はい、そうです。

署名指印する前に、実際に修正がなされているか確認しましたか。
→修正がされているか確認しませんでした。

なぜですか。
→安積警部補が直すと、修正すると言ってキーボードをたたいたので、当然、修正されてると思いました。

しかし、署名指印後、弁解録取書を念のために読み返してみると、正しく修正してないことを発見したわけですね。
→はい、その部分が、「社長らと共謀して無許可で輸出した」というふうに書き換えられてました。

修正されてないことを発見して、あるいは、書き換えられていて、あなたはどうしましたか。
→日本の警察はこんなことをするんだと、するんですかと強く抗議しました。

そして、抗議するとともに、弁解録取書を破ろうとするまねをしたわけですね。
→はい。

そうしたところ、山川刑事に制止されましたね。
→はい、山川刑事は、大きな声で駄目だ、やめてくださいと言って私は驚いて、弁解録取書を机の上に置きました。

あなたが弁解録取書を机の上に置いた後、弁解録取書はどうなりましたか。
→安積警部補が手に取って、ブルーのファイルの上に2 つ折りにして置きました。

このとき、あなたは安積警部補に対して、弁解録取書について署名指印をなしにするように求めたり、廃棄するように求めたりしましたか。
→いいえ、してません。

安積警部補は、弁解録取書を作り直すと言いましたね。あなたは、作り直すに当たって、安積警部補に対して、当初求めた修正箇所以外にも修正を求め
ましたか。
→はい、細かい部分についても修正を求めました。

あなたの指摘どおり、全て修正がなされましたか。
→いいえ、なされませんでした。安積警部補は、ガイダンスなど関係ないと、経産省に確認に行っていないんだから不安はあるはずだと言って、私のガイダンスに従って輸出したということを受け入れてくれませんでした。

本件は、結局、公訴取消しに終わりましたけれども、あなたは、無実の罪で11 か月の間、逮捕勾留されました。その間に、不当な身柄拘束の間に、精神的にかなり厳しいこともあったと思いますけれども、今、この場で具体的なエピソードを交えてですね、裁判官に聞いてほしいことがあればお願いします。
→警察、検察は、なぜ、被疑者に対してうそを言い、誘導し、脅迫し、無実の者を精神的に追い詰め自白を強要するんでしょうか。これは、精神的な暴力です。

今回、公訴取消しがなされて無実であることが認められたわけですけれども、今おっしゃっていただいたような苦しみから完全に解放されたわけではないと思います。最後に、この場で言いたいことがあればお願いします。
→私たちにとってこの事件はまだ終わっておりません。特に、.私の家族、社員、そして会社に与えた影響は、会社に与えた損害は計り知れないものがあります。警察と検察は、自分たちの公権力を誤って使い、無実の者を傷つけ、苦しめたら、ときには人を死に追いやるんだということをはっきり認識していただきたいです。特に私の同僚、相嶋さんは、無実を知ることなく他界しました。是非ここで、ごめんなさいとひと言言ってください。そして、二度とこのようなことがないようにお願いいたします。

2.被告東京都反対尋問

<被告東京都指定代理人寺本>

まず、あなたは、蒸気滅菌ができる機能又は薬液消毒を可能にするCIP機能を備えた噴霧乾燥器が該当すると認識していたということですね。
→はい。

それは、噴霧乾燥器の規制要件が定められたときから今まで変わらず、その
認識であるということで伺ってよろしいですか。
→はい。

(丙A第38号証を示す)3ページ目、これは社員の枝村氏の供述調書でございます。この上から3 行目に、「ただ,大川原化工機株式会社では,ハの要件について,全て非該当と判断していたので,私は,島田さんに質問して,当社でどのような判断からハに該当しないのか説明を聞こうと思いました。」と記載がありますね。
→はい。

この5行下に、ちょっと段落が変わってるところで、「あんたの説明次第では今後全部該当になっちゃうかもしれないからねなどと言ってきました。」と、枝村氏は一応、おっしゃっているということなんですけども、これは平成28年5月に、CISTEC から御社へ噴霧乾燥器に関して質問が来た際の、枝村氏があなたに相談した際のやり取りのようなんですけども、枝村氏との間でこのようなやり取り、会話があったということは、あなた自身は覚えていますか。
→覚えてます。

なぜ、このときに枝村氏に対して、蒸気滅菌できる機能や薬液消毒を可能にするCIP 機能を備えた噴霧乾燥器が該当するといった、あなたの認識を伝えなかったのはなぜでしょうか。
→私の認識は伝えました。

伝えたんですか。
→はい。

どのように、何て言って伝えましたか。
→CIPが付いたものが、ただし、CIPが付いたものでも、一部、我々のCIPは完全な分解せずにできるものではなくて、少し分解が必要だよということを伝えました。

あなたの説明次第では、今後、全部該当になっちゃうかもしれないからねっ
ていうのも伝えてるってことですか。
→伝えてるか。

やり取りの中でありましたか。一応、枝村氏はあなたがこういうふうにおっしゃったという供述調書に署名指印していて、あなた自身は枝村さんに対して、あんたの説明次第では、今後、全部該当になっちゃうかもしれないからねというのを枝村さんに対して伝えた記憶があるかどうかですね。
→はい、ちゃんと我々の装置の認識を間違いなく伝えるように、そういう意味で伝えました。

またあなたは、陳述書によれば、全ての取引において、需要者、設置場所、用途を確認すると同時に、自主的に需要者より兵器転用をしない旨の宣言書を取得するなど、最大限、兵器転用されないよう、輸出者として努力してきたということですね。
→はい。

(丙A第20号証を示す)これは、社員の初澤氏の供述調書です。この供述調書の5 ページの上から2行目、この「なお」のくだりなんですけど、「なお,委員会を開いて」これ、該非委員会だと思うんですけども、「委員会を開いて,個別の製品の該非判断について島田取締役と話し合ったことはありませんでした。」と記載がありますよね。
→はい。

これ自体は、あなた自身としては事実として認識していますか、それとも事
実ではありませんか。
→事実ではありません。

事実ではないんですね。
→はい。

じゃあ、委員会を開いていたということですか。
→該非委員会は開いておりました。

それは、月に何回とかって決まっていたんですか。
→いいえ、決まっておりません。

噴霧乾燥器の輸出規制が始まってから、何回ぐらい開いてますか。
→多分、1 回か2 回、私が参加したものはその程度だと思います。

また、先ほど主尋問でもありましたが、熱風だけを、いわゆる空だきですね、空だきをすると、火災とか粉じん爆発の可能性があり、非常に危険な行為だというふうにおっしやっていましたよね。
→はい。

新聞報道によれば、御社は、72回の噴霧乾燥器の実験を行ってるようなんですけども、それらの実験で、実際に火災や粉じん爆発というのは起こりましたか。
→いえ、火災はそこまではいってないと思います。

(丙A第86号証を示す)次の質問にいきます。供述調書添付の資料1 を示します。こちらは、あなたの供述調書になります。これ、添付の資料1 、経済産業省の新地氏とのやり取りなんですけども、この資料1 の上の方、上の方っていうかここに載っているメールというのは、新地さんからあなた宛てにこのメールが来たということですよね。
→はい、そうです。

先ほども主尋問で御覧になったと思うんですけども、3 番の「蒸気滅菌について」という部分の3 行目の一番最初からですね、「滅菌及び殺菌の方法を指定せず包括的な文言にせざるを得ないのではないか思います。」というふうに、3 行目から4 行目について記載がありますよね。
→はい。

この、滅菌及び殺菌の方法を指定せずというのは、あなた自身、当時の認識として、当時、このメールを見たときに、指定せずって言われてるので、どのような滅菌や殺菌の方法が当たるのかと疑問には思いませんでしたか。
→疑問には思いません。

特に疑問に思わなかったですか。
→はい。

あと、その下に、「明日、電話にてご御連絡いたします。」と記載があるんですけども、次の日にも新地さんからお電話が来たんですか、それは覚えてますか。
→はっきり覚えてませんけど、多分、来たんじゃないかと思います。

じゃあ、そのときに新地さんからどういう御説明があったとかは、御記憶にない感じですか。
→はい、ありません。

陳述書を見ると、ここにメールに記載がある3 番の2 行目、「乾燥滅菌」という言葉については、言葉の意味は不明だったということをおっしゃってますよね。
→はい。

不明なことがあったということで、それを新地さんに電話なりメールで確認したということはないですか。
→はい、電話では確認しておりませんが、私はこの意味が全く分かりませんでした。

意味が分からなかったということなんですけど、意味が不明だということで、それを確認は特にしてないってことなんですか。
→はい、新地さんは直接、私の方から電話できる相手ではないので、しませんでした。

でも、メールはしたりしてますよね。
→はい、メールはしてます。

メールでその文言について聞いてたりっていうのは、不明な言葉があっても、特にあなたの方から聞いたりすることはないんですか、メールでやり取りしてて。
→意味の分からないことを言われるなというふうに思いました。

(丙A第88号証を示す)丙A88号証の供述調書、これもあなたの供述調書なんですけども、これの添付の資料3 を示します。このメールが上と下に分かれていて、上のメールなんですけども、この上のメールは、あなたから、島田様から新地さんに宛てたメールということでよろしいですね。
→はい、そうです。

ここの(1) で、「AG で規定した“capable of drying toxins or pathogenic“ を政令あるいは省令に記載した方が良いと思います。そうでなければ、他国に比べ広範囲の規制となり一般輸出に影響が出る恐れがあります。」と記載がありますよね。
→はい。

この記載について、他国に比べ広範囲の規制っていう、その他国の規制っていうのは、当時あなたが、このときに想定した他国の規制っていうのはどちらの規制になるんですか。
→このときの私の考えは、デュアルユース品、軍、民併用品ではなく、できれば軍用だけに規定したかったものですから、日本だけがこのようなことをすることはないんじゃないですかと、そうすることによって、他国に比べて広範囲になるんではないですかという意味で、このメールを送りました。

他国は軍用製品だけを規制していたっていうことなんですか、というふうな認識を持ってたってことですか。
→いえいえ、要するに、AG で書かれている国際基準において、日本だけがこの文言を取る必要がないと、他国と同じふうにすべきだという意見を思い、そのように送りました。

このメールで広範囲の規制となりっていうのは、他国と比べてどのように広範囲になると思ったんですか。
→ですから、ここで書いてあるのは、毒素、病原菌を乾燥できるというものの軍用にと、要するに、生物兵器用にと、生物兵器用の毒素、病原菌が乾燥できるものが対象となるというふうに書かれて、この文章を削除されると、そういう対象物がなくなるので、他国に比べて日本だけがそれまでも規制するんですかという意味で、このメールを送りました。

この要望というかこのメールの要望っていうのは、通らなかったということで伺ってよろしいですか。
→はい。

(丙A第77号証を示す)ちょっと別の話になります。これは、相嶋静夫氏の供述調書になります。これの5 ページ目の下から3 行目なんですけども、「平成24 年3 月か4 月頃だったと記憶していますが、島田順司と一緒に直接、システックに出向きました。その時は、新地さんのほか、確か、システックの担当官2 人がいましたので、私自身が」、私自身というのは相嶋氏ですけども、「私自身がハにある「殺菌」について申し入れました。」と記載がありますが、こういった出来事があったかどうかっていうのは、あなた自身は覚えてますか。
→はい、覚えてます。

この6ページ、このページの3 行目です。「解釈の幅が広い「殺菌」を入れることで、他国に比べ広範囲の規制になってしまい、日本の一般輸出に大きな影響が出る可能性があることを説明しましたが、私」、相嶋氏ですね、「私の意見とまったくかみ合わず、終いには、つい興奮し、メーカーは輸出できなくなるし、経済産業省の窓口担当者も困るでしょそれなら「殺菌」の定義を付けるべきと主張しました。」と記載があるんですけども、こういったやり取りが、あなた自身、御覧になってた、見ていたっていう記憶はありますか。
→はい、相嶋さんがしゃべるのを私は聞いておりました。

この相嶋さんと一緒に行かれたときに、相嶋さん自身は、殺菌については、こういう解釈を自分自身は思うんですって、そういう何か御認識をあなたに
伝えたことはありましたか。
→ありません。

これはじゃあ、なぜ、あなたと相嶋さん二人が行ったかっていう理由は何かありますか。
→はい、経産省の方が1 月の24 日に当社に来られたときに、菌についての殺菌、滅菌について、いろいろ聞かれたので、私はそのような知見を持っておりませんので、相嶋さんに2月23日に行ってもらいました。

じゃあ、相嶋氏の方が詳しいからということなんですか。
→はい、そうです。

それと、この供述調書7ページです、次のページの下から10行目です。「島田順司に対し、「殺菌」の意味、解釈を経済産業省に確認するべきだと伝えました。」と記載があるんですが、相嶋氏からそういったことを言われた記憶というのはございますか。
→ありません。

(丙A第97号証を示す)これは島田氏の、あなたの供述調書になるんですけども、これの2ページ目の一番上から、「私は、相嶋さんから経産省へ確認に行けと言われた覚えはないんですけど。」とおっしゃったと記載があるんですけど、要は、先ほどあなたは、言われた記憶はないっていうことをおっしゃったんですけども、この供述調書には、あなたの今、おっしゃった認識と同じことが書かれてるというふうに伺ってよろしいですか。
→はい、ここの部分は、私はそのようなことがないと言いました。その部分は合ってます。

警察の捜査を受けるまで、捜索差押えを受けるまで、殺菌の解釈については、経済産業省に確認しようと思ったこと自体は一度もなくて、実際、一度も経済産業省に解釈についても確認してないということはよろしいですね。
→はい。

それでは、取調べのことについてお聞きします。まず、先ほどの主尋問では、取調べが始まると、始まるとというか供述調書のところなんですけども、供述調書について、これにはどういうことが記載してあるのか何か説明もなくて、もう黙ってその供述調書を安積警部補から渡されたということなんですか。
→はい、間違っていなければサインしろと言われました。

間違っていなければサインしろという文言で言ってたということですか。
→正確ではありません。間違っていなければサインしてくださいというようなことを言われました。

先ほどの主尋問の話だと、安積警部補が渡してきた供述調書は、一応、内容は確認はされてるっていうことなんですよね。
→はい。

内容は確認してるっていうことでよろしいですか。
→はい。

供述調書に記載された内容で、先ほど幾つか、御自身の認識と違うことが書かれているという話もあったんですけども、全ての文言が、安積警部補の創作というわけではないという理解でいいんですか。先ほど、主尋問でおっしゃった部分とかが違うというふうな形でよろしいんですか。
→全てのものが違う、私の言ったことどおりではなくて、私の話してないことが書かれていたということです。

話してないことが、ところどころに書かれてたという理解でいいですか。
→はい。

その供述調書、何通か御覧になってると思うんですけど、その供述調書というのは、先ほどの主尋問の話だと、あなたがそれまでの、前の日とかその前の日とかに話した内容が、おおむね記載されているということで伺ってよろしいんですか。
→いいえ、数か月前のことです。あるいは半年前の話です。

半年前の話とかが記載されてたんですか。
→はい。

あなたは、安積警部補に対し、訂正してほしい部分に印を付けるのでペンを貸してくださいと依頼したけど断られたということですよね。
→はい。

そのあなたが内容を確認していた供述調書、供述調書に印を付けたいと、あなた自身が印を付けたいってことでペンを借りたいと、そういう趣旨で貸してほしいって言ったってことですか。
→はい、そうです。

そういうふうに伝えましたか。要は、ちょっと供述調書に修正箇所をチェックしたいからペンを貸してくださいと。
→はい、そのように言いました。

あなた自身は、もし借りれたら、供述調書に書きながら修正をしたかったと、そういうことなんですか。
→はい、そうです。

それと、先ほどちょっと若干主尋問で触れてましたけども、供述調書を確認中に、修正のたびに取り上げるというふうにおっしやってたと聞こえたんですけども、具体的には供述調書を1 枚ずつ確認していくつていう作業を行うわけですか、まず。1 枚読んで、1 枚読んでって確認していくつていうことでよろしいんですか。
→いえ、数ページ読んで、ずさんにや、分かっていながらとか、知っていながらとか、不正にだとかいう言葉がちりばめられていたので、ページをめくつて、私はこことこことここが違うなというふうに指摘するたびに、その調書は取り上げられました。

1 枚目を読んで、1 枚目に違うなと思う文言があったときに、これ、違いますよと言うと、それを取り上げられるっていうことですか。
→1 枚ずつじゃありません。数十ページのものを数ページ読んで、こことこことここが私、こんなこと言ってませんよと、どこだっていうことで取り上げられました。

1 枚ずつ読んでいく中で、ここが違うというところがあって、まとめてあなたは何か言ってたようなんですけども、修正箇所を見付けるたびに、安積警部補に伝えたりはしていないんですか。
→まず、読めって、読む必要があると思いまして、数十ページのものずっと読んで、ペンがないので、自分の記憶の限りでこことここが違うなと、自分が記憶してる部分の限り、その時点でこことここが違いますと言いました。

供述調書の誤りを見落とすことも何度もあったということで、陳述書に記載されていますよね。
→はい。

供述調書の誤りを見落としていたということについては、見落としてるので、その場では多分、気付いていないと思うんですけども、いつ気付いたっていうことになるんですか。
→私が逮捕されて、このような供述書が出てるよと弁護士から見せられたときに、初めて気が付きました。

逮捕されてから何日後、ないしは何か月後ぐらいにそういった供述調書、あなたの供述調書を見たかっていうのは記憶はありますか。
→かなりたってからです。

そのときに見たときに、あ、見落としてたっていうことに気付いたということなんですね。
→はい。

あと、あなたは安積警部補から交換条件を提示された、修正するに当たって交換条件を提示されたということで、こういう文言を消してほしいと言ったらこういう文言を入れるとか、そういったことを言われたとおっしやっていますが、それはそのとおりでよろしいですか。
→はい。

その具体的な文言って、今覚えてますか。消してほしい文言と、これを入れてほしいっていう文言。
→先ほど言ったような、ずさんにや不正にだとか、分かっていて、知っていながらという部分には、ここは削除してくれと。そして、その他の部分は、ここは文章を変えてほしいというふうに言いました。

そうすると、ずさんにとかを消してほしいと言ったことに対して、安積警部
補は、じゃあ、これを入れるよっていうことをおっしゃっていると、それが交換条件なんですか。
→ここはじゃあ、ここのある部分は消しますよと。でも、ここの例えば、広範囲な該当になると、あるいは定型器が該当になるということは残るよとか、そういうふうにここは消すけど、この文章は残るからと言われました。

あなたは、安積警部補に対して、CIP機能付きだとか、蒸気滅菌は該当なんですよということを、何度か、記載するんで要求していたということですよね。
→はい、何回も言いました。

それに対して、安積警部補は入れられない理由について何かおっしやってましたか。
→供述調書は供述書じゃないんだと、調書だと、おまえの言ってることを全て書く必要はないんだと言われました。

おまえの言ってることは全て書く必要はないんだと言ったってことなんですか。
→はい。

そのものの文言で言ったってことなんですね。
→いえ、違います。

それはどんな文言でおっしゃったんですか。
→言ってるとおりに書く必要はないんだと。

それと、あなたは、滅菌、殺菌の定義は知らなかったということで、先ほど、主尋問でもおっしゃっていましたよね。
→はい。

規制要件には、滅菌又は殺菌というふうに記載されていますけども、これについては蒸気滅菌、又は薬液消毒を意味すると思ってたわけですよね。規制要件、要件ハです。ハの滅菌又は殺菌、「定置した状態で内部の滅菌又は殺菌をすることができる」の滅菌、又は殺菌については、あなた自身は蒸気滅菌か、又は薬液消毒ができるCIP 機能付きの装置というふうに認識していたということなんですか。
→曝露防止付き、かつ、そういうものだと思ってました。

滅菌とか殺菌の定義は分からないのに、なぜ、規制要件は分かるのかっていうのはちょっと理解というか、分かんなくてですね、そこを説明できまか。
→定義は分からないんですけども、私なりに滅菌、殺菌の意味は分かっておりました。字に書いてあるとおり、滅菌は菌が滅亡して全く殺滅して除去すること。殺菌は字のごとし、菌を殺すことと、全て殺すことというふうに私は理解しておりました。

滅亡と殺すの違いは何ですか。
→要するに、滅菌の滅は滅亡の滅ですよね。ですから、全て存在をなくすことという理解しておりました。

それで殺菌は。
→殺菌は菌を殺すことです。

またちょっと違う話を聞きます。あなたは、平成24 年2月23日に、CISTEC の和久津氏や経済産業省の新地氏に対し、噴霧乾燥器に滅菌又は殺菌という概念は存在しない旨を回答したということを、陳述書に記載されていますよね。
→はい。

そのお答えしたときのあなたの認識として、滅菌、殺菌については、今先ほどおっしやった滅菌、殺菌の定義というか、あなたなりに考えていた滅菌、殺菌の意味ということの前提で、そういう認識でCI STEC と新地氏にお答えしたと伺ってよろしいんですか。
→その当時は、まだ規制要件どうのこうのではなくて、12年ですか、1月の24日に来られたときに、スプレーの説明を聞きたいということで来られましたので、私は、噴霧乾燥器は乾燥器であって、滅菌器でも殺菌器でもないので、その概念はないというふうに答えました。

任意で取調べを受けている際に、安積警部補の取調べについて、弁護士の先生に相談したことというのはありましたか。
→ありました。

それは、任意の取調べの途中の段階でということですか。結構、長い期間、調べられてると思うんですけど。
→記憶では、1 月、確か取調べが12月の11日からですから、その翌月辺りから弁護士のとこへ行きました。

先生から、納得できない供述調書には署名しなくていいんですよとか、そういったアドバイス、相談したときにアドバイスは受けなかったですか。
→受けてません。

高田弁護士が、外事一課の取調べに対して抗議を申し入れたことは知っていますか。
→はい、知ってます。

高田弁護士が抗議をしても、あなたへの取調べの対応は変わらなかったということですか。
→私の取調べは、抗議後変わったかどうか、私の認識では変わった覚えはありません。

それで再度、抗議しても、抗議していただいたけど変わらないですよってことで、もう一度、相談とかに行ったりはしてないんですか。
→私は、高田先生がどのような抗議をされたか、私に対する取調べうんぬんということだったのか何だか、私は分かりませんでしたから、私は飽くまでも自分の取調べにおいて、その抗議による変化があったかどうか、私の認識では変化はないように思いました。

先ほど、12月から取調べを受け始めて、その翌月ぐらいから弁護士の先生に相談に行かれたってことを、3 つ4 つ前の質問でおっしゃってたと思うんですけども、その際に、弁護士の先生にはどういった相談をしたんですか。供述調書、そういう不当な取調べを受けているっていうことで相談に行った
んですか。
→いえ、私は今、このような状況だけを報告に行きました。

先生に、それ以降でも、安積警部補からそういう不当な取調べを受けているという相談をしたことはないということですか。
→うそをついてるということは言いました、警察が。

うそというのはどういううそですか。
→要するに、あってはならないところにあったとか。

交換条件を出されてるとか、そういったのとかは相談してないんですか。
→そのような細かいことは、相談はしてませんでした。

(甲第143号証を示す)これは、原告さんの方から出されている、これ、あなたが作成したメモということでよろしいんですか。
→はい、そうです。

これは、逮捕されてから作成したものですか。
→はい。

逮捕されてから何日後、ないしは何か月後に作成したかというのは覚えてますか。
→数か月後です。3 月に逮捕されて、7 月に小菅の拘置所に移される前ですから、その留置所にいたときに書きました。

起訴された後か前かって覚えてますか。
→起訴された後です。それは1 回目、2 回目、どちらか分かりませんけど。

(2) 上の方ですね、(2) の「聴取回数」ってところに、「合計34回(拒否した事はない)」と、取調べをですね。で、「会社合計240 回」というのも、当時のあなたが覚えている回数を記載したということなんですか。
→いいえ。

これは何を記載したんですか。
→これは、弁護士から、私は自分なりにメモを取っていたんですけれども、何回行ったか。私の手元には何もそのような記憶がないんで、会社から、島田さんはこのぐらい行ってるよということを弁護士から聞いたので、そのとおりの記憶をそのまま書きました。

ところで、あなたは安積警部補から取調べを受けている際、任意の取調べを受けてる際に、噴霧乾燥器の中で温度が低くなる箇所について、何か説明したという記憶ってありますか。
→はい。

どこが低くなると説明したんですか。
→確か、安積警部補が、低くなるところはバグフィルターの下かって言うから、はい、そうだろうと思いますと。ただ、低くなるところは空気が通らないところですと。そのところも含めてバグフィルターの下も含めて、空気の通らないところだと言いました。

弁解録取手続についてお伺いします。1 通目の弁解録取書の記載で納得いかなかった部分というのは、社長の大川原正明さん、社長と顧問の相嶋氏から指示されたとか、非該当で輸出するとか、そういう方針に基づき、というところの箇所が納得がいかないということで削除を求めたけど、削除してくれなかったということですか。
→違います。そこも含めて、社長や相嶋さんらと、指示も受けておりませんし、私がガイダンスに従ってというところが書いてありませんので、そこも含めて修正するように求めました。

ちなみに、逮捕されるまでのその任意の取調べの中で、安積警部補に対て、
社長や相嶋氏から指示されたとか、三人で話し合ったとか、そういう話を安積警部補にした記憶ってありますか。
→三人で話し合ったことはありませんと言いました。

弁解録取の別のことを聞きます。弁解録取手続の際に、あなたは1 通目の弁解録取書を破ろうとするまねをしたというふうに陳述書で記載されてて、先ほど主尋問でもそのようにおっしゃっていましたよね。
→1 通目というのは。

最初に作られた方ですね。最終的に裁断された方です。
→それは2 回目、実際には弁解録取は3 回作られてるんです。最初に出来上がっていた弁解録取書があって、私が変えてくれと言って変えましたという弁解録取。それで、そのとおり変わってなかったから、何でこんなことをするんですかと言った弁解録取。それで最終的に、不安を抱えながら、といった弁解録取、その3つがあって、今言われるのは。

じゃあ、2 通目ってことですか。
→要するに、弁解録取の1 というのは、うそをついて変えましたよという弁解録取。その意味なら弁解録取1 です、それが。
あなたが破ろうとしたっていう動作なんですけど、両手で弁解録取書を持って2 つに破ろうとするまねをしたということなんですか。
→はい。
まねということは、破るつもりまではなかったということなんですか。
→破るつもりはなかったんですが、当然、大きな声で駄目だって言われたもんで、びっくりしてそこまでいきませんでした。

じゃあ、本当に破ろうとしたけど止められたから破れなかったっていうことなんですか。
→いえいえ、そのつもりはありません。

そういうつもりはないってことでいいんですよね。
→はい。

先ほど主尋問の際に、取調べの際に警察側が作成したメモというのは幾つか御覧になられましたよね。
→はい。

乙6 のっていう形で。
→はい。

それらのメモというのは、一応、今回全てというか、今回、先ほどこの場で示されたメモについては、目は通されているという理解でいいんですか。
→はい。

それ以外の、今回、かなりの数のメモが出てるんですけど、50通ぐらいかな。それらも全て、目は一応は通しているんですか。
→はい。

それらの中で、そういうやり取りが幾つか、あなたの問い答えが書いてあると思うんですけど、そういったやり取り自体はあったというふうに伺ってよろしいんですか。メモの中に違うっていうところってありましたか。
→ありました。

どういうやり取りですか、覚えてますか。
→要するに、私の記憶とメモの差異というのは、「涙目で」とか、「下を向いて」とか、そのような表情を書いたり。

そういう表情はしてなかったと伺ってよろしいんですか。
→してません。

3.被告国反対尋問

<被告国指定代理人江原>
あなたは、原告会社の取締役として、海外営業開拓に関する業務等に従事していましたか。
→はい。

原告会社は日本の法人ですよね。
→はい。

原告会社が噴霧乾燥器等の貨物を輸出するに当たっては、日本の法令に従って輸出規制要件の該当性を判断する必要がありますね。
→はい。

噴霧乾燥器が輸出規制の対象となった後、あなたは、外為法や輸出貿易管理令、貨物等省令等の文言を確認しましたか。
→はい。

輸出貿易管理令の運用についてという経済産業省が出している、貨物等省令等の解釈を定める通達も確認しましたか。
→はい。

日本の輸出貿易管理令、貨物等省令においては、輸出規制の対象となる噴霧乾燥器について、蒸気滅菌ができる機能や薬液消毒を可能にする機能を備えたものに限られるとの文言はありませんね。
→はい。

日本の輸出貿易管理令、貨物等省令においては、輸出規制の対象となる噴霧乾燥器について、曝露防止構造を備えたものに限られるとの文言はありませんね。
→規定にはありません。

あなたを含めた原告会社の役員及び従業員は、平成30年10月3日に原告会社が警察の捜索を受ける前までに、輸出貿易管理令、貨物等省令において、輸出規制の対象となる噴霧乾燥器がどのようなものであるかについて、経済産業省に問い合わせをしたことはありましたか。
→いや、ありません。

あなたは、CISTEC という団体が一般財団法人であるということは、その当時、理解していましたか。
→いいえ。

一般財団法人であるということを知らなかったっていうことですか。
→知りませんでした。

ガイダンスを作成したのはCISTEC であって、外為法やその関係法令の有権解釈権を有する経済産業省が作成したものではないということを、その当時、理解していましたか。
→CISTECが作ったもの、経産省が作ったものじゃないっていうことは理解してます。

オーストラリア・グループにおいて、他国との間で噴霧乾燥器の規制に関して交渉してるのもCISTEC ではなく、経済産業省であるということをその当時、認識していましたか。
→はい、しています。

あなたを含めた原告会社の役員及び従業員は、警察の捜索を受ける前までに、輸出規制の対象が噴霧乾燥器について定める貨物等省令2 条の2 第5 号の2ハの、定置した状態で内部の滅菌、又は殺菌をできることができるもの、の解釈について、経済産業省に問い合わせをしたことがありましたか。
→私の他にもですか。

あなたを含めて、原告会社の役員及び従業員の中で問い合わせをしたことがある者はいましたか。
→ないと思います。

4.原告再主尋問

<原告ら代理人高田>
(甲第13号証を示す)今お話にあった、法令や通達を確認しましたかという点なんですけれども、こちら、通達なんです、甲1 3 号証、通達なんです。この通達の冒頭に、解釈については省略で貨物のマトリクス表を参照してくださいというふうに書いてますね。
→はい。

そのマトリクス表なんですけれど、あなたが逮捕された頃、改正はされたようなんですが、その前なんですが、噴霧乾燥器のところに、滅菌、殺菌の解釈って書いてましたか。
→書いてありません。ハについての解釈は空欄でした。

(丙第1 号証を示す)ちなみにですけども、先ほども示したこの解釈の書いてあるこれって、何とか小六法っていう冊子なんですけど、この小六法っていうのは見たことはありますか。
→小六法は見たことはないです。

(丙A第86号証を示す)資料1 を示します。新地さんの2012年3月1 2 日のメール。ここに、3番に「蒸気滅菌について」と書いてあって、ある程度包括的にせざるを得ないみたいなことが書いてある。この文章で意味は分かりますか。
→これからすると、滅菌について、蒸気滅菌についてということで、滅菌についてということで書かれてると思いました。

言葉遣いで、この「乾燥滅菌」でもある程度滅菌ができるとのことなのでっていう用語を使ってますけど、乾燥滅菌って意味は何ですか、分かりますか。
→私たちにとって、乾燥というのは非乾燥物があって、それを乾燥しながら滅菌するんだというふうに捉えます。ですから、液体を投入してそれが粉体になると、それが乾燥です。液体を水分を除去して粉体にすると。そのプロセスにおいて滅菌をするということはあり得ないと思いました。

言葉遣いとして、今見てもおかしいですよね。
→おかしいです。

乾燥滅菌っていう言葉はないですよね。
→ないです。

だからあなたはこのメールを見て、デンマークの返答にあるとおりって書いてるじゃないですか。
→はい。

このデンマークの返答はこのメール、1 ページ、2 ページめくったとこ、蒸気滅菌、先ほど主尋問で示しましたけど、デンマークの返答っていうのはこの流れだと分かりますよね。
→分かります、分かります。

これを見て、蒸気滅菌と類似の信頼性を有するものっていうようなところの認識をしたわけですね。
→そうです、最低限log6 だと。

だから、いわゆる噴霧乾燥器で空だきして、ある程度殺菌できてるとかっていうような次元の話ではなくて、滅菌と同じようなものがあればということですよね。
→はい。

(丙A第88号証を示す)資料3 を示します。新地さんの2012年12月26日のメール、ここで、「AG で規定した“capable of drying toxins or pathogenic" 」を追加した方がいいと。つまりこれは、AG にあったこの文言が経産省の作った省令案にはなかったと、だからそれを入れてくれというものですね。
→そうです、AG どおりにしてほしいという意味です。

この意味なんですけど、この文言が省令にあると、あなたは御社が製造する普通の噴霧乾燥器はそもそも個別の該非判定をする必要がない、つまり入りロに入らない、イロハの要件の入り口に入らないから規制対象外になるんじゃないかというふうに思ったんですね。
→そうです。

ここのcapable of drying toxins or pathogenic 、microorganisms っていうのは、これはイロハの要件以前の問題ですね。
→そうです、以前の問題です。

5.裁判官補充尋問

<裁判官板場>
まず、大前提なんですけれども、あなたが任意取調べを受けましたときから、どの噴霧乾燥器が問題になってるかは理解してましたか。
→どの乾燥器が問題になっているか。

RL-5 、あるいはL-8i。
→いえ、分かりませんでした。

なぜ、取調べが始まったというふうにお考えになったんですか。
→中国のあってはならないところにあったからだと。

その機械は何か分かってましたか。
→分かりません。

ちなみに、取調べ中に写真や図面、RL-5 であったりL-8i、それの写真や図面をもって、安積さんからどういうところが低温になるんだとか、あなたに機械の性能や温度について一度でも聞かれたことがありますか。
→図面や図書をもって示されたことはありません。

次にあなたは、従前から取調べの時でもそうですけども、CIP だったり曝露防止がないというところを問題にされてるかと思いますが、そこについて、安積さんに具体的にこれ、ガイダンスに書いてあるかだとか、そういった説明をしましたか。
→しました。ただ、全ての書類が没収されておりますので、私の記憶の中で言いました。

全て書類が没収されているというのは、大川原化工機から没収されてるってことなんですか。
→はい、全て捜査が入ったときに、メールから図書から全てない状態で供述調書を約1 年近く、ない状態で返事をしておりました。

ちなみに警察の方から、ガイダンスにはこう書かれているんだけれども、どういうふうに思ってるんだっていうことの具体的な説明を求められる場面はありましたか。
→ガイダンスには、私がガイダンスに従ってということを何回も言ったんで、記憶では弁解録取のときに見せてくれって言って、見せてもらったことがあります。

ガイダンスをですか。
→はい。それで、そこにこう書いてある、ここにちゃんと書いてあるじゃないですかと、私は言いました。

それに対して安積さんは何とおっしゃったんですか。
→無言でした。

その後、それについて触れられたことはありますか。
→私がですか。

違います、安積さんの方から。
→いいえ。

殺菌について、先ほども質問があったかと思いますけれども、いろんな言葉が出てきますよね、この取調べ。殺菌だったり菌が死ぬ、あるいは滅菌、あるいは殺滅などといういろんな単語が出てくるんですけれども、あなたは、どういう意味でこの言葉を使っていたかというのを意識したことはありますか。
→どういう意味で、私は字のごとしで、ずっとそういうのを字のごとく理解しておりました。その意味で使っておりました。

例えば安積さんから、あなたが言ってる殺菌ってどういう殺菌ですかっていうふうに聞かれたことはありますか。
→私はそのとおり言いました、菌を全て殺すことだと。

(丙A第108号証を示す)供述調書です。これ、記憶の限りで教えてほしいんですけど、不安に思うことがあったとか、「規制に該当してしまう。という不安な気持ちに」なったっていうのが2 ページの下から3 行目にあるんですけれども、あとは、次のページに、「このように私は弊社製噴霧乾燥器の輸出規制該当性を懸念しながら、中国のBASF 上海支社に」と。懸念しながらだったり不安だとかっていう言葉が出てきますけれども、このときにそういうふうにおっしゃった経緯というのは説明できますか。
→これ、私は言っておりません。

これは言っていないと。
→私は曖昧だなと言ってました。

それは、規制が曖昧だなというふうにお考えになっていたんですか。
→はい。

最後に、例えばこれ、業界的に、もし先ほど言った定義が曖昧で、このスプレードライヤーを作ってるのは御社だけではないですよね。
→はい。

この例えば今回問題になっている要件ハが一つの菌でも、曝露防止機能を備えていなくても、一つの菌でも100 度以下、一つの菌でも殺菌、殺滅って言うんですかね、なくなるっていうことができるようになるっていう定義をこのまま進められたとすると、このスプレードライヤーを作る業界にとってどのような影響があるというふうに考えますか。
→非常に曖昧な数値的な表現がないので、スプレードライヤー業界において輸出はかなり、国際競争力を失うと思います。

多くの製品が該当するというふうにお考えになりますか。
→そうだと思います、判断できないと思います。

<裁判長>
先ほど、丙86号証の資料1 の新地さんからのメールを示されて、乾燥滅菌という言葉があって、意味が不明だったけれども、その意味について特に電話とかメールで確認しなかったっていうお話をされましたけれども、確認し
なかったのはなぜですか。
→経済産業省の人ですから、また別の何かそういうふうな公的な考えを持ってるのかなとか、私から違うんじゃないですかとかいうことは聞けませんでした。私自身が不思議だなとは思いましたけれども、こちらから聞くのも失礼かなと思って聞きませんでした。

そこの定義が明らかにならないと、場合によってはあなたの会社の機械が該当に当たるんじゃないかとか、そういったことは危惧されませんでしたか。
→法律が施行される1 年以上前の話ですから、当初、AG がこういう形で規制に始まったよと、規制するようになったよという当時の話ですから、その当時は考えませんでした。

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