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安積警部補 証人尋問 完全再現

被告東京都指定代理人寺本
乙第1 0 号証を示す
この陳述書は、私たち指定代理人が証人からお聞きした内容を記載し、証人がその内容を確認した上で署名押印したものに間違いありませんか。
→はい、そのとおりです。

この陳述書の中で、訂正したり付け加えたりしたいところはありますか。
→はい、1 か所あります。3 ページの(2) のア、1 行目から2 行目にかけまして、「原告会社の製品カタログを見せながら」とある箇所を、「一般的な噴霧乾燥器の図面を見せながら」と訂正をさせてください。

この訂正の理由は何でしょうか。
→この当時はまだ、警察の捜索差押えの実施前であったため、外事一課がある特定の会社を捜査対象としてることは知られないようにする必要があったため、原告会社の製品カタログではなく、一般的な噴霧乾燥器の図面を見せたことを思い出したからです。この点については記憶違いでした。

他は訂正はありませんね。
→はい、ありません。

証人は、陳述書記載のとおり、警視庁公安部外事第一課に勤務していた当時、大川原化工機株式会社を被疑者とする外為法違反被疑事件の捜査に従事しましたか。
→はい。

それでは、証人が従事した捜査について、個別に伺っていきます。まず、噴霧乾燥器メーカー、ユーザーからの聴取した内容についてお伺いします。証人は、何社ぐらいから聴取したかというのは記憶ありますでしょうか。
→約1 0 社程度、聴取しました。

証人が聴取した企業や、他の外事一課員が聴取した企業からの聴取結果として、噴霧乾燥器を定置した状態で殺菌できるかどうかにつき、どのようなことが分かりましたか。
→噴霧乾燥器内部に熱風を送り込むことで、装置内部の殺菌をすることができること、また、その熱風が噴霧乾燥器内部に行き渡る旨を聴取しました。

噴霧乾燥器メーカー、ユーザーからの聴取結果を把握して、証人自身は噴霧乾燥器の性能について、どのような認識を持ちましたか。
→噴霧乾燥器が構造上持つ電気ヒーターによる熱風によって、装置内部を殺菌することができる装置であるという認識を持ちました。

また、証人らは、大学教授等から話を聞いていると思いますけども、大学教授等への聴取は、どのようなことを知るために行われたんですか。
→条文の言葉が意味する規制範囲や、細菌等の微生物の特徴等について聴取しました。

この訴訟で提出されている証拠を見ますと、証人は、防衛医科大学校の四ノ宮教授、あと、千葉大学大学院の清水准教授、又は慈恵会医科大学の浦島教授から、それぞれ殺菌に関する見解、意見について聴取しているようですが、間違いありませんか。
→はい。

それぞれ順にお伺いします。まず、四ノ宮教授からは、いわゆる貨物等省令2 条の2 第2 項5 の2 のハ、定置した状態で内部の滅菌、又は殺菌をすることができるものという、これは以降、要件ハと言ってお聞きしていきますけども、要件ハの殺菌には、何らかの解釈が用いられるということは聞いていますか。
→はい、経済産業省が発出している運用通達に記載されている規定が準用される、その旨を聴取しました。

乙第3 号証を示す
2 枚目ですけど、1 1 1 6 ページと記載がある部分を示します。こちらのこの黄色のマーカーで記載されている部分、それが今おっしゃった運用通達の解釈と伺ってよろしいですか。
→はい、そのとおりです。

他に四ノ宮教授が説明されたこととして、あなた自身が覚えてることって何かありますか。
→はい、経済産業省が発出している省令に記載されている細菌は、全て毒性が強く、いずれも生物兵器に該当する。それと殺菌の対象については、ある特定の1 種類の菌を全て殺して感染能力を失わせることである旨を聴取しました。

証人は、四ノ宮教授から話を聞いた際に、メモや聴取結果報告書、あるいは供述調書を作成していますか。
→はい。

乙第8 号証の3 3 を示す
2 枚目、メモとなっております。これは証人が四ノ宮教授から聴取した際に作成されたメモですか。
→はい、そのとおりです。

この4 の「聴取事項」の(2) の「殺菌の定義」と記載がある項の一番下ですね、「この(2) の内容は、千葉大の教授も同じ見解である。」と記載がありますね。
→はい。

これは、四ノ宮教授が話されたことですか。
→いえ、この内容は、私がこの聴取の少し前に千葉大の清水先生から聴取を行いましたが、その際、千葉大の清水先生も殺菌の定義、この大腸菌の定義等について四ノ宮先生と同様の見解を示したために、私が「この(2) の内容は、千葉大の教授も同じ見解である。」と、注意書きを私が付したものです。

こういった捜査メモというのは、被聴取者、相手の人が述べた以外のことも注意書きとして書くことがあるんですか。
→はい、飽くまでメモですから、注意書きのようなものを付することもあります。

証人が作成したメモの中で、記憶がある限りで同じように注意書きを記載した部分って、思い当たるところはありますか。
→いえ、それ以外にはありません。

聴取結果報告書や供述調書には、そういった注意書きは記載していないんですか。
→はい、しておりません。

ちなみに、メモは聴取した内容を全て網羅的に記載するものなんでしょうか。
→いいえ、網羅的ではなく、要点のみを記載するものです。

次に、清水准教授から聞いた内容等についてお伺いします。清水准教授からは、殺菌の解釈についてどのようなことを聞きましたか。
→経済産業省が発出している省令に記載されている細菌のうち、そのうちのある特定の細菌を全て殺して、感染能力を失わせることであると聴取しました。

丙A 第1 2 8 号証を示す
これは、証人が清水准教授から聴取した内容を記載した聴取結果報告書と伺ってよろしいですか。
→はい、そのとおりです。

清水准教授から聴取した内容を、この聴取結果報告書に記載しているということですね。
→はい。

また証人は、清水准教授から、噴霧乾燥器内に粉体が存在したまま洗浄しないで、噴霧乾燥器を空運転すると、空だきするとどうなるかについて聴取していますか。
→はい、しております。

清水准教授はどのようなことをおっしゃっていましたか。
→噴霧乾燥器に、粉体を製造後に、装置内部に細菌等が何層かにわたってこびりついたとしても、1 0 0 度程度の乾熱処理をすることによって、最終的には細菌の奥の層にまで熱が伝わるので死滅させることができると。要するに、殺菌することができる旨を聴取しました。

また、浦島教授についてですが、浦島教授からは殺菌の解釈について、どのような御意見を伺いましたか。
→浦島先生からも、経済産業省発出の省令に記載がある細菌のうち、特定の細菌を全て殺して、感染能力を失わせることである旨を聴取しました。

別のことを聞きます。この訴訟で提出されている証拠を見ますと、証人は、RL-5 とL- 8 i、それぞれの機器内部の最低温となる箇所について、アイエスジャパン株式会社から聴取しているようですが、そのとおりですか。
→はい。

聴取先をアイエスジャパン株式会社にした理由は何かありますか。
→インターネットで検索したところ、アイエスジャパンが噴霧乾燥器の設備等を含めたシステム設計を業務として行っている会社と判明したため、噴霧乾燥器の構造等に詳しい会社だと認識しました。

まず、RL-5 についてお聞きしますけども、RL- 5 については、どこが最低温箇所になると聴取しましたか。
→装置末端にある排風機の後のダクト、又はサイクロンの下部、又はバグフィルター下部、この3 か所のいずれかである旨を聴取しました。

RL-5 の最低温箇所を調査するとき、先ほどの陳述書で訂正されていましたが、一般的な噴霧乾燥器の図面を見せたということでしたね。
→はい。

その図面はどのように入手したものだったかは御記憶がありますか。
→正確には覚えておりませんが、噴霧乾燥器のメーカー、又はユーザーの製品カタログに添付されていた資料か、又は、インターネット上から抽出、出力した資料であったと思います。

先ほど証人がおっしゃった、3 つの箇所が温度が低くなる理由として、アイエスジャパン株式会社の方はどのように説明していましたか。
→装置末端が最低温になる可能性としましては、乾燥室以降には、温度を上げる装備がないこと、また、熱風は上昇する特性があることも考えると、装置の下の方にあるサイクロンの下部、及びバグフィルターの下部も低温となる可能性があると言われてました。

次に、L- 8 iについてお聞きします。L-8 iの最低温箇所となる箇所については、どこの可能性があるということを説明していましたか。

→装置末端である排風機の後のダクト、又はサイクロンの下部、この2
か所を測れば最低温箇所を特定できるはずだと言われてました。

説明を求める際に、L-8 iの図面等をアイエスジャパン株式会社の方に示
しましたか。
→はい、示しました。

どういった図面を示しながら説明を受けましたか。
→原告会社製のL-8 iに係ります図面を提示したと記憶しております。

アイエスジャパンの方から、2 つの箇所が温度が低くなる理由としては、どのような説明を受けましたか。
→乾燥室以降に温度を上げる装置がないために、装置末端である排風機の後のダクト、又は熱風というのは上昇する特性があるため、装置の下の方に位置するサイクロンの下部、この2 か所を測定すれば、最低温となる箇所を特定できるはずと言われてました。

本件では、乾燥室内の温度や圧力を測る箇所がバグフィルターの下部等に比べて温度が低くなると原告らが主張しているんですけども、そういった箇所が温度が低くなるのではないかといった話が、少しでもアイエスジャパンの方から出たことはありましたか。
→いいえ、ありませんでした。

ちなみに、証人はRL- 5 やL- 8 iの実機を見ていますか。
→はい、見ております。

証人自身は、乾燥室内の圧力を測る場所、測定口と言うらしいんですけども、こういった箇所があるということを、当時認識していましたか。
→いいえ、詳しくは知りませんでした。

起訴後等に、それらの箇所が低くなるというのが提示されて、それで初めて知ったということですか。
→はい。

別のことを聞きます。陳述書には、証人は島田氏以外に、大川原化工機株式会社のエンジニアリング部の社員の方1 名の取調べを行ったと記載していますが、そのとおりですか。
→はい。

その社員の方は取調べにおいて、原告会社製の噴霧乾燥器が定置した状態で内部を殺菌可能かどうかについて、何と供述していましたか。
→噴霧乾燥器で粉体を製造後に、内部に残った細菌等を死滅させる方法として、噴霧乾燥器の持つ熱風を装置内部に送り込む方法が考えられると。細菌は生き物なので、熱風を装置内に1 0 0 度程度行き渡るように運転すれば、大腸菌等の一般的な細菌であれば死滅すると思う。そのため、原告会社製の噴霧乾燥器は、輸出規制貨物と言えると思う。また、原告会社の輸出管理態勢はずさんであると思う旨を供述しました。

その社員の方は、乾燥室に圧力等が掛かる測定口といった箇所があって、そこの箇所の温度が低くなるのではないかといったことを、少しでも話していたことはありましたか。
→いいえ、ありませんでした。

それでは、島田氏の取調べについて伺います。まず証人は、島田氏の供述調書を作成する日に、これまで聞いた内容をまとめた供述調書を作成するということを説明しましたか。
→はい、説明しておりました。

証人の陳述書には、島田氏の供述調書を作成する際に、島田氏が供述したことを白紙に印字して、島田氏の認識を確認しながら聴取を行っていたと記載していますが、そのとおりですか。
→はい。

この白紙に印字したものというのは、A4 の白紙に、いわゆるべ夕打ちをしていたということなんですか。
→はい。

なぜその白紙にベタ打ちをしていたんですか。
→島田さんの供述内容が多岐にわたりましたし、また、島田さんの供述が客観的事実と異なることが多かったため、白紙にベタ打ちすることで視覚的にも分かりやすい、私と島田さんが互いに島田さんの供述、認識等を確認するのに有用な方法だと判断しました。

それで取調べが一通り終わって、白紙にその供述内容が記載された状態になると思うんですけども、それを島田氏に確認してもらうんですか。
→はい、そうです。

白紙に供述内容をベタ打ちしたものを島田氏に確認させた際に、島田氏が訂
正を申し出たことというのはありましたか。
→はい、ありました。

その際は、どのようにして訂正していたのですか。
→白紙を私と島田さんでお互い、交互に見せ合いながら、例えば、島田さんがこの部分についてこうこう、こう直してもらいたいっていうような言葉がありましたら、私が白紙にペンでそういったものを付け加えて修正して、それをまた、島田さんと私で見せ合いながら、お互いの認識をすり合わせるような形で行ってました。

ベタ打ちにしたもので、島田氏との確認修正、認識のすり合わせが終わった後に、次には何をするんですか。
→その次に、ベタ打ちした内容を供述調書の書式にそのまま転記しました。

それは、ベタ打ちした内容に島田さんの修正箇所をベタ打ちの状態に反映させてから転記したということですか。
→そのとおりです。完全に直した状態にして、修正を終えて、その内容を供述調書の書式に転記しました。

そうすると、供述調書が完成することになると思うんですけども、それを再度、島田さんに確認させていましたか。
→はい、そのとおりです。

島田氏に供述調書を確認させた際、島田氏は供述調書の内容を確認していましたか。
→はい、1 枚1 枚じっくりと閲覧、閲読していました。

証人は、島田氏に対して、どの時点で供述内容の読み聞かせを行っていたんですか。
→読み聞かせはゲラの白紙の作成時に行っていました。

白紙の供述内容を録取したのが終わった段階で、読み聞かせをしていたということですか。
→はい。

それは紙に出して、それともパソコンの画面上で、どちらですか。
→パソコンの画面上で読み聞かせを行い、その後、それを印字して島田さんに見せて、その内容について確認してもらいました。

供述調書に転記する前のベタ打ちのもので、島田氏が申し出た修正を行っているので、供述調書に転記した時点では島田氏が加除訂正を申し出た部分は、供述調書に全て反映されていたということですか。
→はい。

証人は、島田氏の供述調書を何通か作成してると思いますけども、供述調書に署名や指印を島田氏がする際に、島田氏が署名や指印を拒否したということはありましたか。
→いいえ、ありませんでした。

証人は、島田氏が供述調書の内容に納得して、署名指印していると認識して
いましたか。
はい。

それはどのような島田氏の様子とか言動からそのように認識したんですか。
→供述調書の閲覧を終えた後に、島田さんは大体、はい、これで大丈夫ですみたいなことを言われてました。

話は変わりますが、証人は取調べ中に、島田氏からペンの借用を求められて断ったことがありましたか。
→はい、ありました。

なぜ、ペンの借用の申出を断ったんですか。
→ペン等の先端の鋭利なものは、自傷行為や自傷事故防止の観点からも、私は通常のふだんの取調べにおいても、むやみに被疑者に渡さない、むやみに被疑者の近い場所に置いたりしないようにしております。

本件以外の別の事件で、証人が取調べを行う際も、そのように対応していたということですか。
→はい。

証人自身が所持したペンを、机の上に置くこともありましたか。
→はい、ありました。

机の上のどの位置にペンを置いてましたか。
→机の上に置く際は、もう自分の体の位置に近いところに置きまして、もし何かあってもすぐに手で押さえる、届く、そういった場所に置いておりました。

また、島田氏がCI P 機能付きの噴霧乾燥器が規制要件に該当すると考えて
いて、乾熱殺菌を一切発想したことがなかった旨を供述していたことはあり
ましたか。
→はい、ありました。

証人は、CIP 機能付きが該当して、乾熱殺菌は発想したことがなかったというその島田氏の供述について、供述調書に録取することができない旨を説明したことはありましたか。
→はい、ありました。

録取できない理由については、何と言って説明しましたか。
→経済産業省との初期の打合せにおいて、島田さんは噴霧乾燥器の入り口から出口付近までを1 0 0 度程度に保てば滅菌、殺菌することができると回答していますし、また、輸出規制前に経済産業省から殺菌の方法は乾熱等を含むあらゆる方法が含まれると示されてますし、また、島田さんは輸出規制の担当者、責任者として経済産業省と数多くのメールのやり取りをしていますが、その中でCIP 機能付きのものが該当と考えている、判断しているというような内容はありませんでした。また、島田さんは警察の捜索が入るまで、社長も相嶋専務もC IP 機能付きは該当だというようなことはひと言も言っていなかったというような供述をしておりましたので、そういった様々な事実と矛盾するので、そういった内容は録取して調書にすることはできないと説明しました。

その証人の説明に対して、島田氏は納得していましたか。
→はい、島田さんは確かにそれはそうですというようなことを言ってました。

また島田氏は、CI STEC のガイダンスに従って非該当と判断したということを供述していたことはありましたか。
→はい、ありました。

証人は、CI STEC のガイダンスに従って非該当と判断したという供述について、供述調書に録取することができない旨を説明したことはありましたか。
→はい、ありました。

この点について、説明としては何と言って説明したか覚えてますか。
→はい、結局、経済産業省からは、殺菌の方法として、乾熱を含むあらゆる方法が考えられると示されたこと、また、島田さんは原告会社として、該当、非該当の明確な線引き等は一切誰もしなかった、そういった線引きはなかったと供述しておりましたし、そういった点からも矛盾しておりましたので、調書に録取することはできない旨を伝えました。

それらの説明を伝えたところ、島田氏は納得していましたか。
→はい、それはそうですというようなことを言って、納得してるように見えました。

別のことを聞きます。証人は、原告会社製の噴霧乾燥器が中華人民共和国のあってはならない場所に納入されていたというのを、島田氏に告げたことはありましたか。
→はい、ありました。

実際に、そういった場所に納入されていたんですか。
→はい。

島田氏から詳細な内容を質問された際に、何と言って説明しましたか。
→捜査中であるため、詳しいことを回答することはできませんと答えました。

また、島田氏が、発言した内容を供述調書にしてもらえないなら、協力したくないということを述べたことというのはありましたか。
→はい、ありました。

それに対して証人は、何と説明しましたか。
→明らかに客観的な事実、資料と矛盾することは調書として録取することはできない旨を説明しました。

また陳述書によれば、証人は過去の不正輸出の事例ではほとんどが逮捕されていますけど、島田さんは輸出管理の担当者、責任者として、自分はどのように考えていますかと告げたということを陳述書でおっしやっていますが、そのとおりで間違いないですか。
→はい。

それは、どのような趣旨で告げたんでしょうか。
→島田さんが輸出管理の担当者、責任者であったため、過去の事例を示しながら、その責任者としての見解を問いただしたものです。

また、セイシンの植田さんにみたいになりたいですかと告げたことはありましたか。
→はい、ありました。

なぜ、そのようなことを告げたんですか。
→その際、私の質問に対して、同じ質問を繰り返しても、私には島田さんがとぼけてるように見えまして、え、何ですか、え、何ですかというような言葉を繰り返しましたので、私の質問に正対しない、とぼけて、そういうような態度に見えました。そのために、私は島田さん自身がほんと実際、どのように考えているのだろうと思いましたし、調ベ官としてしつかりと真実を話してもらいたいという、そういった気持ちで島田さんを説得したものです。

島田氏の取調べを通じて、島田氏にどなりつけたり、机をたたいたりして供述を迫ったという事実はありますか。
→いいえ、ありません。

ちなみに、取調べ中の島田氏に対する証人の言葉遣いは、どのようにしてい
ましたか。
→私は常に島田さんというさん付けで呼んでましたし、また、常に敬語を使って取調べを行っておりました。

ちなみに、島田氏の方は証人の方にはどういった言葉遣いで対応していましたか。
→島田さんも私に対して敬語を使っておりました。

乙第6 号証の2 を示す
これは、島田氏を取り調べた際に作成されたメモということで伺ってよろしいですか。
→はい。

この3 の「取調べ内容」のところで、「( 1) 最近の動向について」「問 中国への出張には、社長、」マスキングですけど、「と行ったのか。」とか、答えのところでも、「上海大川原での薫事会に出席するため。」という形で、特に敬語で記載されてない場面が多いんですけども、まず前提として、この問いと答えは証人と島田氏のやり取りってことでいいんですよね。
→はい。

ここの問と答えのところで敬語を使ってない理由って何かあるんですか。
→はい、こちらは飽くまでメモですから、敬語の部分を記載する必要はないと判断しました。要点のみを記載すればよいものですので、そのため、敬語は省略して作成したものです。

ちなみにこのメモというのも、当初おっしゃっていた捜査メモと同じく、全てを網羅的に記載するものではないということでよろしいですか。
→はい、要点を記載して、報告書作成の際に備忘として活用するために作成したものです。

それでは弁解録取のことについてお伺いします。島田氏から弁解を録取する前に、島田氏に逮捕状を確認してもらいましたか。
→はい。

証人は、島田氏に逮捕状を示した後、島田氏から弁解録取する際に、何と言って弁解の機会を与えたんですか。
→まず、この事実で間違いないですかと問いただしました。島田さんははいと答え、それで私の方からは、何か言いたいことはありますかと聞きましたら、島田さんは逮捕ですかと言いました。

逮捕ですかとだけ述べたということですか。
→はい。

陳述書によれば、弁解録取の際も、取調べ時と同様に、白紙に弁解をベタ打ちしたということで、そのとおりですか。
→はい。

白紙に弁解を印字して、島田氏に内容を確認してもらいましたか。
→はい、してもらいました。

白紙に弁解を印字したもの、要はベタ打ちしたものを島田氏が確認が終わって、島田氏は何かおっしゃっていましたか。
→はい、大川原社長と相嶋専務から指示された、非該当で輸出するという方針に基づきというところが違うと、社長と相嶋専務から指示されたわけではないというふうに言ってきました。

これまでの証人の取調べの中で、島田氏が社長や相嶋氏の指示に基づいてとか、話し合ってっていうことを供述していたことっていうのはあったんですか。
→はい、ありました。

そうすると、これまでの供述と矛盾するなというふうに、証人は感じたということですか。
→はい。

それで、どのように証人は島田氏に申し向けましたか。
→これまで社として非該当とする方針というのは、おおむね社長、相嶋専務、自分である島田さんの3 人で決定したことに間違いないと供述してきていましたし、また、私は島田さんに、噴霧乾燥器が規制される直前で社長室において、社長が、うちのは定置での滅菌、殺菌ができないので非該当でいいのではないか、そのような見解を示したので、社としての方針が決まったとも供述しており、そして社長、相嶋専務の了承なく、島田さん一人で決めることはあるんですかと問いただしました。

島田氏にそのように伝えて、島田氏は何と言っていましたか。
→確かにそれはそうですということを言いました。

そのように島田氏が述べて、証人はどう思いましたか。
→やはり私の説明に納得したといいますか、社長と相嶋専務と島田さんという3 人で非該当という方針が決まった、社長、相嶋専務からの指示に基づいてというところを納得したものと思いました。

それで、白紙に打ち出した内容を、白紙の状態のものから今度、弁解録取書
に転記、コピペしたということですか。
→そのとおりです。

その弁解録取書を島田氏に読み聞かせて、閲覧させましたか。
→はい、その弁解録取書は読み聞かせ、島田さんに閲覧させました。

島田氏は、その弁解録取書を確認して、閲覧して、どのような様子で署名指印してましたか。
→納得した様子で、署名指印してるように私には見えました。

その後、少しして、島田氏は何か言ってきましたか。
→しばらくたちまして、島田さんが私に、やはり内容が違うと、社長と相嶋さんと一緒に非該当と決めたわけじゃないと、この書類はなかったことにしてもらいたいと私に言ってきました。

それで、そのことをどなたかに報告などはしていますか。
→はい、しました。

どなたに報告しましたか。
→私の当時の上司である、宮園係長に報告をしました。

宮園係長に何と報告しましたか。
→島田さんが社長と相嶋専務と非該当と決めたわけじゃない、そういった指示があったわけではないという、こういったことを言っていますと私は係長に報告しました。

係長には、島田さんの弁解状況、弁解の内容を報告したということなんですね。
→はい。

弁解というか、おっしゃった内容を報告したということですね。
→はい、弁解、取調べの状況を報告しました。

それに対して、あなたの報告を受けて、宮園係長は何かおっしゃってましたか。
→はい、係長からは、おかしいけどしょうがないかという言葉が私にありました。

宮園係長には、弁解録取書自体、そのものを見せて説明、報告したんですか。
→いいえ、書類は持ち込まず、私から係長には口頭のみでの報告でした。

それで証人は、取調室に戻ってどうされましたか。
→再度、島田さんの弁解を聴取しました。

そうすると、島田氏の方は何と述べましたか。
→弁解録取書に記載がありました、社長と相嶋専務から指示された非該当で輸出するという方針に基づき、やはりこの部分が納得できませんと、この部分がなかったらまた署名します、この書類はなかったことにしてもらいたいと言ってきました。

弁解録取手続の際に、島田氏がCI STEC のガイダンスに従って無許可で輸出したと記載してほしいといったことを述べたことはありましたか。
→いいえ、ありません。

丙A 第1 0 7 号証を示す
この弁解録取書が、新たに作成したという弁解録取書ですか。
→はい。

この弁解録取書を島田氏に確認させた際、島田氏はどんな様子でしたか。
→じっくりと読みまして、はい、これで大丈夫ですというようなことを言ってました。

それで、最初に作成した方の弁解録取書はどうしたんですか。
→島田さんの方から、先ほどの書類はなかったことにしてもらいたいと言われたため、私は、最初に取った弁解録取書を不要文書を入れる茶箱に入れました。

不要文書の茶箱に入れた弁解録取書は、その後、どうしましたか。
→私が裁断してしまいました。

これは、なぜ裁断してしまったんですか。
→私としましては当時、新たに作成し直した弁解録取書のみが送致に必要という判断で、最初に取った弁解録取書については、もう頭の中にありませんでした。

丙A 第1 2 5 号証を示す
この被疑者弁解録取状況報告書は、証人が作成したものですか。
→はい。

中身を御覧になってもらって、今おっしゃった内容も含めて、弁解録取手続の一連の流れはここに記載されているということですか。
→はい。

弁解録取手続が終わった後に、証人は続けて取調べを行っていますか。
→はい。

その際も供述調書を作成していますか。
→はい。

その際の島田氏の様子というのは、どのような様子でしたか。
→もうそのときは島田さんも、ふだんの落ち着いた様子になってました。

また島田氏は取調べの中で、証人が供述調書の修正に当たって交換条件を出してきたとおっしゃっているんですが、そういった交換条件を出したという事実はありますか。
→いいえ、ありません。

また証人は、要件ハの解釈について、菌が少しでも死ねば殺菌に該当して、
そのことは経産省にも確認していると述べたことはありましたか。
→いいえ、ありません。島田さんの方から私に対して、菌が少しでも死ねば殺菌ですかと質問してきたことがあったので、その際、私は島田さんに、菌が生き残っているのであれば感染能力があるので、全て殺さないと殺菌にならない旨を伝えました。

島田氏に対して、経済産業省の殺菌の解釈について説明したことはありましたか。
→もう一度お願いします。

島田氏に対して、経済産業省の示した殺菌の解釈について、説明したことってありましたか。
→はい、ありました。

それは、何と言って説明されましたか。
→経済産業省が発出している省令に記載されている細菌、これらの細菌のうち、特定の1 種類を全て殺す、死滅させることができれば殺菌になると説明しました。

証人は、社長と相嶋氏は該当すると認めていると、そのようなことを言い続けると、あなただけが逮捕されることになるぞと言ったことはありますか。
→いいえ、ありません。

原告ら代理人高田
あなたは、大川原化工機の捜査が開始された当初から、捜査を担当していましたね。
→はい。

事件の端緒ですけど、2 0 1 7 年3 月に、公安部の捜査員が、CISTECの貿易講習会で、輸出管理に関する講習を受けたことでしたね。
→はい。

その講習の後、4 月から5 月にかけて、数回にわたり公安部の捜査員がCISTEC を訪問して、噴霧乾燥器の規制要件について話を聞いたことがありましたか。
→はい。

あなたや時友警部補も、CISTEC に聴取に行きましたね。
→はい。

当初、CI STEC の方は、噴霧乾燥器内部を滅菌、殺菌する手法について、蒸気や化学薬品による滅菌、殺菌のみを挙げ、空だきによる滅菌、殺菌については言及してませんでしたよね。
→いいえ、そのような記憶はありません。

っていたということでしょうか。
→特に滅菌、殺菌の方法を限定してたという記憶はありません。

明確に空だきにより滅菌、殺菌することができるのではないかというようなアイデアを、最初に言い出したのは誰ですか。
→噴霧乾燥器のユーザーであったと思います。

当初、CISTEC の方は、滅菌、殺菌のうち、滅菌については定義はあるけれども、殺菌については定義がなくて曖昧な概念だというようなことを言ってませんでしたか。
→明確に基準が設けられてませんが、曖昧だとかそういったようなことを言っていた記憶はありません。

甲第160 号証を示す
→これは、CISTEC の藤井さんの回答書なんですけども、この(2) の部分を示します。藤井さんはこの裁判で、「「殺菌」に関しては、省令制定当初から明確な解釈は示されておらず、あいまいな概念のままであった」というふうに述べてます。あなたがCISTEC を訪問した当時も、藤井さんはこういうことを言ってませんでしたか。
→藤井さんは、殺菌という言葉そのものに明確に基準がないというようなことは言っていたはずです。ただ、殺菌の方法として、先ほど言われてました蒸気等に限定して、乾熱は含まないとか、そういった話は記憶にありません。

あなた方公安部は、捜査の対象として、数あるメーカーの中から大川原化工機を選びましたね。
→はい。

警視庁は、経産省から大川原化工機の不正輸出を捜査してほしいといった要
請を受けたことがありましたか。
→いいえ、ありません。

本件捜査で、各捜査員の作成した捜査メモですけども、部内で共有する前に、捜査幹部の決裁を受けてましたか。
→いいえ、ありません。

先ほど出てきた係長の決裁ですとか、あるいは渡辺警視の確認ですとか、そういったことは受けてないということですか。
→係長や管理官へ提出をします。ただ、その提出したものと同じものを、各捜査員にもコピーして配布しておりました。

確認を取った後に配布してたということですね。
→順番的にはそうなります。

本日の出廷に当たり、捜査メモには目を通してきましたか。
→はい、ある程度ですが目を通しました。

捜査を進めるに当たり、公安部から経産省に対して、噴霧乾燥器の輸出許可に関する実績について問い合わせをしましたか。
→はい、あったはずです。

したの?
→したはずです。

経産省からは、輸出許可の実績は、藤崎電機について1 件あるだけだという回答がありましたか。
→はい、ありました。

その問い合わせを行った時期ですが、警視庁が経産省との打合せを始めた2
017年10月よりも前ですか。
→今はその記憶がはっきりと思い出せません、詳しい時期までは。

では、お話ししますと、あなた方公安部は2017年6月23日に、徳島県の藤崎電機を訪問して、藤崎電機が許可申請を行った経緯について聴取を行っています。経産省に問い合わせを行ったのはそれよりも前ですか。
→ほぼ同じ時期であったと記憶していますが、正確なことは覚えてません。

籐崎電機に聴取に行ったきっかけが、経産省への問い合わせで藤崎電機1 件だったからというわけではないんですか。
→藤崎電機が経済産業大臣の許可を受けて輸出してることを把握したというのも、大きな要因の一つであったはずです。

つまりそうすると、藤崎電機1 件の許可実績があるという経産省の情報があって、それで実際に聴取に行ったということですね。
→実際、そうだったはずです。

乙第1 0 号証を示す
安積さんの陳述書の1 ページの下から2 ページの初めの辺りに、藤崎電機のことが書いてますのでそこを示します。藤崎電機からは、空運転をすれば、機器内部を殺菌できるため、経産大臣の許可を受けて輸出してると聴取したというふうに書かれてますね。
→はい。

ここで言う殺菌っていうのは、どういう意味ですか。
→芽胞を形成しない一般的な細菌を殺すことであったはずです。

全て殺すことですか。
ある特定の細菌を全て殺すことです。

という聴取をしたんですね?
→はい。

乙第8 号証の1 9 を示す
これは捜査メモです。藤崎電機の6 月2 3 日の捜査メモです。4 のアというとこを見てください。第1 段落でく殺菌の概念が曖昧、加熱すればある程度殺菌ができるため、一応、該当にした方がいいと判断した、というふうに記載されてますね。
→はい。

藤崎電機の言う、ある程度殺菌ができるというのは、あなたが今おっしゃった、1 種類でも全て死滅させることができるという、それと同じ意味でしょうか。
→意味は違うと思います。籐崎電機としても、どこまでできれば殺菌というのかはっきりとは分かっていなかった。ただ、藤崎電機製の装置は、1 0 0 度程度の温度が行き渡るし、そういったことも踏まえて、一般的な細菌は死滅すると考えていた。殺菌の定義は曖昧でよく分からなかったですけど、そういった一般的な菌であれば殺せると思っていたと担当者は言ってました。

同じところの次の段落です、第2 段落にも、殺菌の概念が曖昧だったため、可能性という表現を用いたと書かれてますね。
→はい。

その次の段落にも、殺菌の概念がそもそも曖昧であるほか、殺菌の方法についても当時調べたが明確な規定はなかったとありますね。
→はい。

次のページのアの最後の段落には、熱風が出るから、熱殺菌できるというシンプルな解釈で該当と判断しているというふうにありますね。
→はい。

乙第8 号証の2 3 を示す
これ、また藤崎電機の捜査メモですが、2 0 1 7 年1 2 月6 日に聴取したものです。ここには、熱風の温度によっては殺菌と捉えます。ただ、殺菌の定義が曖昧なので、弊社としては殺菌ができる可能性があると判断する、というふうにありますね。
→はい。

これらが、藤崎電機から聴取された捜査メモ上の内容なんですけども、改めてあなたの陳述書、乙1 0 号証に書かれているここの表現、空運転をすれば機器内部を殺菌できるため、経産大臣の許可を受けて輸出してい乞、藤崎電機からこういうふうに聴取したと。この表現は、藤崎電機から聴取した内容
を正しく要約したものというふうに考えますか。
→藤崎電機としましては、殺菌の方法というのはこちらにあるとおり、空運転する方法によるものでした。それで空運転をして、機器内部を殺菌できるため、経済産業大臣の許可を受けて輸出している、このとおりであると思います。

あなたは先ほど殺菌というのは、公安部の解釈ですね、機器内部に1 種類でも全て内部から死滅できることが殺菌だというふうに、先ほど、聴取した内容として言いましたね。でも、藤崎電機では、そういうことを言ってないですよね。同じ意味の殺菌ですか。
→藤崎電機としましては、殺菌の解釈が曖昧であるというような、そういった認識を持っていたようですけど、ある特定の細菌を全て殺すことができればという認識は持っていたはずです。

そうだというふうにあなたは、先ほど御覧いただいた捜査メモに書かれた藤崎電機の言ったことから、そういうふうに感じたということですか。
→ちょっと質問の趣旨がよく分かりません。

乙第8 号証の1 9 を示す
藤崎電機が言ったこと、最初ですね、冒頭からそうですけども、「「殺菌」の概念がそもそもあいまい。加熱すればある程度殺菌はできる。」「一応該当にした方がいいと判断」というふうに書かれてますけれど、これは、内部から全ての菌を1 種類でも死滅できるんだというふうに、あなたとしては受け取ったということですか。
→その言葉の意味は確かに違います、はい。

そうすると、日本では藤崎電機を除く全てのメーカーが規制要件に該当しないとして輸出を行っていて、唯一の藤崎電機についても、許可を得てましたけど、1 件、でも、その理由は概念が曖昧だったから該当の可能性があるとして許可を得て輸出したんだと、こういうのが1 件あったと、そういう状況だったということですね。
→いえ、藤崎電機としましては、殺菌できるものとして、経済産業省からも、殺菌できるのであればちゃんと許可申請をしてくださいというふうに言われていました。それなので、ちゃんと該非判定をちゃんとやった結果になります。

藤崎電機から聴取した内容は、捜査メモに書かれたとおりですね。
→はい。

大川原化工機の噴霧乾燥器のユーザーヘの聴取の結果、実際に洗浄工程を経ずにいきなり熱風を送り込んで、内部の殺菌を実際行ってるというユーザーはいましたか。
→いいえ、いませんでした。

丙A 第1 2 8 号証を示す
こちら、有識者からの聴取のやつですが、清水准教授からの聴取結果報告書、2017年11月2日と11月22日に清水准教授から聴取した内容について、11月24日にあなたが作成した報告書です。これの後ろの方、6 ページのところから(6) とあって7 ページにかけて、殺菌の解釈について1ページ半ぐらい書かれてるわけですが、この部分、捜査メモに記載がないという指摘を、この訴訟で受けてることは御存じですね。
→いえ、知りません。

この部分は、清水准教授の捜査メモに記載がないんです。この点、あなたの陳述書には、四ノ宮教授と同見解であったため、メモヘの記載を省略したにすぎず、実際にはこのような内容を聴取していたというふうに書かれてるんですが、それは事実ですか。
→はい。

乙第8 号証の3 3 を示す
こちら、四ノ宮教授の同時期に聴取した捜査メモですけれども、この、先ほど主尋問で出たように、( 2) の「殺菌の定義」のところに、「この(2)の内容は、千葉大の教授も同じ見解である。」と書かれていますと。これを指してるということですね。
→もう一度お願いします。

なぜ、清水准教授の報告書に、捜査メモに記載がないことが書かれてるのかというような話で、捜査メモには記載がないけれども、四ノ宮教授から同内容のことを聴取していたから記載しなかったんだというふうに先ほど、主尋問のとき、おっしゃいましたよね。
→はい。

そのとき、主尋問でもこれを示して、これというのは( 2) の「殺菌の定義」のところだよと。一番下に、「この( 2) の内容は、千葉大の教授も同じ見解である。」というふうに主尋問のときに示されて、そのことですっておっしゃったじゃないですか。
→はい。

それをもう一回聞いただけです。
→今思い出しておりますが、その同じ見解であったということと、当時は、私も細菌等の専門的なことは分かりませんから、ちゃんと千葉大の清水先生から聴取した内容を、そのままノートに書いて、そのノートに書いたことを報告書等にしつかりと記載してるはずです。

この捜査メモには記載してないっていうことですね。
→メモヘの記載は省略したもののはずです。私も専門家ではありませんから、先生がおっしゃったことしか報告書にはできません。

丙A 第128号証を示す
→6 ページを示します。これを実際、照らし合わせると、先ほど見ていただいた四ノ宮教授の捜査メモと同じことが書かれてる部分っていうのは、ここの上から11行目から13行目までの、このワンフレーズだけなんですよ。そ
れ以外は、四ノ宮教授の捜査メモにも書いていない。これは、捜査メモから
起こしたわけじゃなくて、あなたが別のところから持ってきたということで
すね。
→私が、先生の説明を記録したノートを基に作成したわけです。

そうすると、あなたが陳述書で書いてあった内容とは異なるということですね。
→異なるという意味が分かりませんが。

乙第1 0 号証を示す
2 ページ目の下の方です。下から9 行目のところから、「四ノ宮教授と同じ見解を示したため、「メモ」に記載するのを省略し、聴取結果報告書には事実を記載した」というふうに書いてますよね。
→この部分も事実には間違いないはずです。四ノ宮先生と清水先生が同じ見解を示したため、メモの記載を省略したと。それも全部事実間違いないことです。

ノートがうんぬんっていう話はここには書いてないですけど。
→ノートがうんぬんっていう話は、それは省いたものと思われます。

乙第8 号証の34 を示す
これ、同時期に清水准教授ですね、11月22日の捜査メモ、この後に報告書をあなたは作成してるんですけど、この内容、やや少し難しいですが、この清水准教授の「細菌の感染経路の種別」っていうところを、あなたは聴取してますが、「経気道感染は、空気感染とも言い、肺を感染部位としているため、病原性細菌を粉体化させた場合、最も直接的かつ甚大な被害を人体に及ぼす。この性質を持つ病原性細菌として、炭疸菌、ペスト菌があり、省令に網羅されている細菌を見ても、この2 つ以外の細菌は、経気道感染はしない。」というふうに書かれてますね。
→はい。

省令に列挙された細菌のどれでも、1 種類でも死滅できるものと言っていいっていう四ノ宮教授の見解と、ややトーンが違うように思うんですけどもいかがですか。
→もう一度、メモを見させていただいてよろしいですか。

はい。ここですね。省令に網羅されている細菌を見ても、この2つ以外の細菌は経気道感染をしないというふうに書いてある。
→こちらの記載は確認しております。炭疸菌っていうのはやはり、最も有名で人体に害を与える菌で、この炭疸菌を使った経気道感染、この生物兵器の使用のされ方が一番危惧されてるところということで、その事実を書いたもので、何も先ほどの話と矛盾してることはありません。全く別な種類のことを書いただけです。

この2 つの細菌以外は経気道感染しないっていうふうに聴取したということですね。
→はい。

イロハの要件の口、分かりますか。
→分かります。

直径1 0 ミクロン以下。
→はい、シングルミクロン、はい。

それはなぜですか、その要件があるのは。
→シングルミクロンの粒子であれば、その粒子が口から入ってきた場合に、肺でとどまって肺感染する。そのおそれが非常に高いので、そういったサイズになってるものと認識しております。

つまり、口の要件というのは、いろんな噴霧乾燥器があるけれど、経気道感染をするような細かい粒子を作れるような噴霧乾燥器が特に危険だから、規制するっていうのが口の要件じゃないんですか。
→ロの要件はそういった趣旨でシングルミクロンというサイズになってると思います。ただ。

丙A 第1 2 7 号証を示す
もう結構です。時間がないんで次に行きます。5 ページ、これ、四ノ宮先生の報告書なんですけども、5 ページ1 1 行目に、「以上のことから、ハの解釈は「機器を分解しないで、製造した省令第2 条の2 第1 項第二号に記載されている病原性微生物を殺して、その感染能力を失わせること」」という法解釈が展開されてるわけなんですけども、四ノ宮先生は微生物学の科学者であって、法律家ではないですよね。
→はい。

四ノ宮教授自らが、この法解釈論を展開したんですか。
→私の方から先生の方に条文等をしつかりとお見せして、それで四ノ宮先生の説明を受けたものです。

条文等を示して。あなた、この聴取のときに、オーストラリア・グループの原文も示しましたか。
→このときかどうかは分かりませんが、オーストラリア・グループの原文を先生に示したことはあります。

甲第3 号証を示す
オーストラリア・グループの規制文を示します。2 枚目、これ、テクニカル
ノートの囲みですね。
→はい。

四ノ宮教授が言うには、オーストラリア・グループ原文の、この「through the use of chemical agents with a germicidal effect」の訳が抜け落ちてるというふうにあなたに指摘したと言ってるんですが、これは事実ですか。
→いいえ、私の記憶では、四ノ宮先生にこういったAGの原文を見せたときに、化学物質、こういった言葉は飽くまで殺菌方法の例示にすぎないと。乾熱等あらゆる方法が含まれる。こういった化学物質とかに限定する合理的な理由はないというような説明を、私は先生から受けました。

四ノ宮教授は、AG の原文と日本の規制文の、ここが翻訳としておかしいと
いった指摘を何か所かしてますね。
→訳が違うとは言われたかもしれませんが、私はとにかく先生の方から、乾熱方法にはあらゆる方法が含まれると、ごく一部の方法にだけ限定する合理的な理由はないと説明を受けました。

訳文の内容がAG の原文と異なるというような指摘を、何度か受けたことがあるのは事実ですね。
→異なるというよりも、そちらの化学物質っていうのは飽くまで、滅菌、殺菌の方法の例示であるという説明を私は先生から受けました。

あなたは、大川原化工機の島田さんの供述調書を少なくとも1 4 通作成してますが、全て事前に調書の文案を作成してきて、取調べの冒頭で島田さんに確認させて、それで調書化してますね。
→はい、ある程度作成したものを、最後、その当日の日に島田さんの供述を確認して調書化しました。

その最初の文案ですけれど、捜査メモに書かれてる内容と表現が違ったりとか、捜査メモに書かれていない内容が追加されたりするところが散見するんですが、あなたは、事前に供述調書の文案を作るときに、捜査メモから起こしてるわけじゃないんですか。
→捜査メモと供述調書の作成が同じになるのでは意味がないと考えます。供述調書にないものをメモに落とすなり、全く合わせる必要はないと思います。

乙第8 号証の3 8 を示す
これも四ノ宮先生の捜査メモです。2 0 1 7 年1 2 月8 日、これの(2) で、「芽胞形成菌のみを規制対象とすることについて」というふうにタイトルがあって、その次の行に「経済産業省が、芽胞形成菌のみを規制対象とすることについて、私は合理的な理由にはならないと思う。」とメモがされてますね。
→はい。

この面談に先立って、経済産業省から公安部に対して、芽胞形成菌を死滅できる性能を証明しないと、規制該当とは言えないという指摘があったんですか。
→いえ、そういった記憶はありません。

ではこれ、どういう趣旨なんですか、これは。
→経済産業省の見解は、芽胞を形成しない菌も規制の対象になると。ただ、芽胞形成菌のみを対象とすべきなんではないかという意見を言う者もいる、こういった話を当時聞いたので。

少なくとも、経産省からの情報を基に、それに対する反対意見として聴取したということですね。
→情報を基にといいますか、そういった意見もあるぐらいの話で、念のために捜査範囲を広げたものです。

経産省内部にそういう意見もあったということですね。
→そういうような人もいたはずです。そういう意見も出たというだけの話だと。

それはあなたの推測ですか。
→飽くまで経済産業省の見解は、芽胞形成菌に限らないというふうな認識で私はおります。

この段階で、そのような聴取がなされていたということですね。
→その時点でもそうだったはずです。

あなたのこの12月8日の四ノ宮先生の聴取ですけど、これは指示をしたのは誰ですか。
→もう一度、メモ等を見せていただけますか。

乙第8 号証の3 8 を示す
この聴取を指示したのは誰ですか。
→指示ですか。指示をするとしたら宮園係長が多いと思いますが、私が自発的に聴取に行った可能性も十分あります。その辺ははっきりしませんが。

警視庁は2 0 1 8 年1 0 月に捜索差押えを行い、その後1 2 月には、大川原化工機の役職員に対する任意の取調べを開始しましたね。
→はい。

任意の取調べを開始してまもなく、複数の従業員から、大川原化工機の噴霧乾燥器の内部には、温度の上がりづらい箇所が存在するという指摘がありましたね。
→いいえ、特に記憶にありません。

捜査メモは読んでないですか。
→いいえ、読んでおります。

捜査メモになかったということですか。
→温度が上がりにくいというのは、原告会社の従業員は、原則的に装置内部に温度は行き渡るというふうに言ってましたし、そしてその中で、一番温度が。

そういう指摘があったかどうかだけです。
→いや、特に記憶にありません。

袋小路になっていて、熱風が流れないため温度が上がりづらいという指摘は、御記憶にないということですね。
→ありません。そこは最低温となるような、そういった話は出てなかったです。

L-8 iの最低温の箇所について、アイエスジャパンから令和元年7 月5日に聴取を行ったと、あなたの陳述書によるとそういうことですね。
→ちょっと確認してませんが、はい。

あなたはこのときの聴取結果について、聴取結果報告書を作成していますか。
→見ないと分かりませんが。

この出廷に当たり、その事実は確認してないということですか。
→いや、いろいろ目をしつかりと通しましたけど、一概に何年何月何日と言われてもぴんと来ないので。

あなたの陳述書に書かれてるから言ったんですけど。
→でしたら大丈夫です。

この時ですけども、実際には温度の上がりにくい場所があるという指摘が、大川原化工機の従業員複数からあった、あなたが認識してなかったとしてもあったそうなんですよ。
→私は全く記憶にありません。

これは、あなた、アイエスジャパンから聴取を行うときに、そういう指摘があったかなかったかについて、捜査メモ等を確認はしなかったですか。
→確認はしておりました。少なくともそこが、今言われたようなところが最低温となるような話は、当時は出てなかったはずです。温度が上がりにくいと最低温っていうのは別の話だと思います。

丙A 第1 2 5 号証を示す
これ、弁解録取書の報告書ですけど、3 ページの( 5) のところ、分かりますか。
→はい。

ここには、「当該弁解録取書を不要文書用の茶箱に入れていることを失念し、本職の過失により裁断機で裁断してしまったものである。」というふうに書かれてますね。
→はい。

あなた、先ほど主尋問では、過失だとは言ってませんね。
→もう私の頭の中には、1 本目に作成した弁解録取書、そういったものはもう頭の中から完全に抜け落ちてました。その事実と言葉の言い回しが違うということですか。

あなたは、捨てていいものだと思って、裁断していいものだと思って裁断したと。つまり故意、法律を知らないで、駄目ということを知らないで裁断したというふうに本日は言いましたよ。
→私の説明不足だったのかもしれません。2 本目の弁解録取書を取った段階で、それのみ、新たに作成し直した弁解録取書のみが必要なものでっていうことで、最初に取ったものはもう、頭の中からずっと完全に抜け落ちてました。

あなたはこの、今、丙A 1 2 5 号証を確認してもらいましたけども、この内容と先ほど供述した内容、主尋問で供述した内容は同じだという認識ですか。
→同じです。

一旦、文書として完成した以上、公用文書なので、それを破棄すれば刑法258条に定める公用文書等毀棄罪の実行行為に該当するということは、今は
分かりますか。
→はい。

当時は知識がなかったということですね。
→当時は知識がないというよりも、もう頭から完全に抜け落ちて、で、新たに作成した弁解録取書のみを送致すればいいという判断で、考えで、もう1 本目のことは頭の中から抜け落ちてました。

原告ら代理人三木
あなた、先ほど主尋問で、島田さんが当初から、CIP 機能付きのものが規制要件ハに該当するものと考えていた旨の供述をしていましたね。
→はい、そのような供述をしたことがありました。

それは1 回だけじゃなくて、何回も島田さんはそう言ってましたね。
→何回かありました。

あなたは、それを供述調書に取らなかったと。その理由は、客観的事実と明らかに矛盾しているからということですね。
→そのように説明しました、何回か言いました。

丙A 第8 3 号証を示す
2019 年1 月2 9 日作成、島田さんの供述調書の資料3 を示します。これが、CI STEC と大川原化工機の打合せの話なんですけど、先ほど言った客観的事実の一つが、打合せで「入口温度から出口温度までを1 0 0 度等高い温度で保つと滅菌、殺菌できる。」と発言したことが、その客観的事実の一つですね。
→はい。

ところでですけど、この打合せって行われたのが2 0 1 2 年1 月24 日です。このときは、オーストラリア・グループの規制の文言とかも一切ない状況なんですけれども、もし仮に島田さんがこのような発言をしたとしても、規制要件に関する発言ではないんじゃないですか。
→滅菌、殺菌できるものが規制要件に当たるという、そういった前提はあったはずです。

この打合せの殺菌、滅菌できるは、このオーストラリア・グループの殺菌、滅菌を頭に考えて発言したものではないですよね、当然前なので。
→なるほど。ただ、そこで大事なことは、私は当時島田さんは。

もうそこで大丈夫です。同じ丙8 3 号証の資料2 を示します。こちら、同日の打合せの大川原化工機側の議事録なんですけど、ここに、滅菌とか殺菌については一切書かれてないんですけれども、それは。
→ちょっと確認をさせてください。はい、確認しました。

こちらの大川原化工機側の議事録では一切触れてないことについて、あなたは何か島田さんから聴取いたしましたか。
→ちょっと質問の趣旨が分かりません。

大川原化工機側の議事録では、滅菌、殺菌の話なんかひと言も残してないんですよ。なぜ、残してないんですかとかは、特に聞かなかったということですね。
→聞いた記憶はありません。

丙A 第8 6 号証を示す
こちらも島田さんの供述調書の資料1 を示します。こちら、経産省の新地さんからのメールですけれども、こちらのメールが来ていたことも、あなたが先ほどおっしやった、客観的事実と矛盾しているということの事実の一つですね。
→それはまだ、いきなりこれが事実と矛盾すると言われましても。

あなたは主尋問で、さっきそうおっしゃったんじゃないですか。
→この内容が矛盾するっていうのは、まだ私は判断しかねますが。私が矛盾すると申し上げましたのは、経済産業省と相当な回数にわたってメールのやり取りをして、そのときに殺菌の方法として、あらゆる方法が含まれると、そういうふうに言われてる。でもそのときに島田さんは、CIP 機能付き等のそういう専用設計のものが該当に当たるとか、そういったやり取りはしてない。

その点について、私は矛盾してると申し上げたんで、ここの内容がどうと言われるとちょっと。分からないっていうことですか。
→分からないというか、違うような話。

違うような話ということですね。
→はい。

ちなみになんですけど、こちらで新地さんは、デンマークの回答のとおりと記載していますね。デンマークの回答のとおり、滅菌、殺菌の方法は指定しないと。
→はい。

デンマークの回答を見ると、2 ページ目の下から3 ページ目にかけて、デンマークの回答が書いてあるんですけども、この和訳部分で、乾燥滅菌の話はされていますね。乾燥滅菌は類似し信用できる滅菌方法だから、蒸気滅菌に限定したくないと、デンマークはそう回答してますという話ですね。
→はい。

ここでは、付属ヒーターによる乾熱殺菌のことは一切書かれていませんね、このデンマークの回答には。
→はい。それは何にも関係ない話だと思います。結局、あらゆる方法を含む、減菌、殺菌が対象になるというので全く関係ない話だと思います。

甲第129号証の1 を示す
次に、経産省の新地さんはその翌日にも島田さんに対して、米国からの回答があったというメールを送ってるんですけども、こちらのメールは御存じですか。先ほどのメールの翌日に、新地さんから島田さんに。こちらのメールは御存じですね。
→はい。

甲第129号証の2 を示す
こちらにアメリカの回答を原文で載せていますとあるので、こちら、129号証の2 を示します。こちらがそのアメリカの回答を和訳したものですが、ここに、問3の回答として、蒸気滅菌、噴霧乾燥器で蒸気滅菌可能なシステムの代わりに「我々が見たシステムは、洗浄液を注入して漂白剤を含めて消毒する」そのような「内部スプレーシステムを使用していた。」と記載されていますね。
→はい。

これは、島田さんが言うCIP機能のことなんですけど、あなたは、このメールを、取調べのとき島田さんに示したことはありますか。
→いえ、記憶にありません。

記憶にない。示したかもしれないし、示してないかもしれないの。
→いや、示してないと思います。

このCIP の供述について、アメリカはCIP 機能が該当すると考えてるっていう話なんですけども、島田さんに見せなかったのはなぜですか。
→日本国の見解としましては、あらゆる方法での滅菌、殺菌ができるものということで、そういった内容を明確に経済産業省は島田さん等に伝えてあります。それに対して、島田さんが会社としてこういったものが該当と判断してるといったような回答をしたわけではないので、アメリカがどうのっていうのは関係ない話だと思います。

こちらのアメリカからの回答を見て、島田さんがCIP 機能が該当するなと思ったとしても、別に客観的事実としては矛盾してないんじゃないですか。
→矛盾はしてないといいますか、余り関係ない話だと思います。

このメールとは矛盾してないですか、矛盾してますか、島田さんがCIP 機能付きものが。
→いや、論点が違うと思います。経済産業省から、あらゆる方法が。

いや、論点が違うじゃなくて。
→島田さんがそこが大事だと思うなら、島田さんがCIP 機能付きが該当すると思うと、経済産業省に返信なり意見を伝えればよかったと思います。

それでは最後になんですけれども、本件では結果的に、逮捕されるべきでない人が逮捕、勾留もされてしまい、起訴されるべきでない人が起訴されて、1 1 か月もの間、身柄を拘束される。そのうち1 名はもう死亡するに至っています。まさにあってはならない事態だと思うんですけれども、捜査を担当した立場として、誰がどうしていればこのような事態を防げたとあなたは考えますか。
→結果的に起訴、公訴は取消しになったということは、真摯に受け止めないとと個人的に考えております。ただ、起訴取消しになりました、噴霧乾燥器内部の測定口、ここの温度が上がらないという話は、当時は全く捜査員自体、そういう認識は持っておりませんでした。噴霧乾燥器のメーカー、ユーザー等も、熱風は温度が噴霧乾燥器内部に行き渡る、原告会社の社員もそういった供述をしてる人が多かったです。装置末端、最低温度になる箇所は、装置末端の排風機の後か、あと、島田さんも言われてましたけど、装置の下部にあるバグフィルターの下部なりサイクロンの下部、ここが低くなる。そういった話を各、そこからの会社からも聞いてました。それを基に、先ほどもお話出ましたが、アイエスジャパンから合理的な論理的な説明を受けて、それを基に外事一課として約10か所の温度測定の実験をやったもので、当時、測定口が温度が上がらないというのは理論的な話ではないですし、実際にそこは最低温となるような話っていうのは実験結果を示されたわけでもないので、信憑性のある話ではない、ただの推測でしかない話であったと思います。ですので、外事一課が当時、原告会社製の噴霧乾燥器を該当と判断、該当と判断するのは経済産業省ですが、そこで逮捕に至った捜査手続は、私は間違っていなかったと考えてます。

被告東京都指定代理人寺本
丙A 第1 2 8 号証を示す
これ、先ほど原告さんの方の尋問で示されていた、千葉大学の清水准教授からの聴取結果報告書。6 ページの( 6) 上から3 行目です。「次に、ハの「定置した状態で内部の滅菌又は殺菌をすることができるもの」という規制について説明します。」、ここから先が、メモには書いてないじゃないかということを指摘されていましたね。
→はい。

乙第8 号証の3 2 を示す
これ、聴取結果の基となったというか、その際に要点をまとめたとされるメモですね。
→はい。

この乙8 の3 2 のメモの1 枚目の「( 2) 滅菌・殺菌について」、「滅菌とは、全種類のすべての菌を殺すこと」、「殺菌とは、ある特定の菌をすべて殺すこと」。「殺菌とは、ある特定の菌を全て殺すこと」と書いてありますね。
→はい。

この説明を、清水准教授がされていたということですか。
→はい、そのとおりです。

メモには要点だけを書いているという理解でいいですか。
→はい。

乙第8 号証の3 8 を示す
それと、先ほど最初の方で、四ノ宮教授から聴取した際に、「経済産業省が芽胞形成菌のみを規制対象と」していることについてという記載があると。なので乙8 号証の3 8 を示します。乙8 号証の3 8 のメモです。「(2) 芽胞形成菌のみを規制対象とすることについて」、「経済産業省が芽胞形成菌のみを規制することについて」と記載があるところなんですけども、先ほど、原告側の主尋問に対して、経済産業省の職員の中でそういった意見を言っていた者がいるということを聞いたので、この聴取をしたということでしたね。
→はい。

あなた自身は、経済産業省の職員から聴取というのはしたことがあるんですか。
→いいえ、ありません。

そうすると、そういう話が出ているから聞いてきてくれということで指示を受けて、あなたは四ノ宮教授に聞きに行ったと、そういう理解ですか?
→その部分についてはちょっと思い出せませんが、経済産業省は芽胞形成菌に限らないという見解を示していましたけど、そういうような見解をしている人もいるようなので、ぐらいのニュアンスなので、そういった人もいるようなのでということで、私が捜査の幅を広げるより、いろいろと捜査として潰すためにあえて聴取した結果だと思います。

それと、先ほど、お答えしようとして遮られたところで、島田さんが取調べの際に、殺菌について説明したというところがあったと思うんですけど、島田さんが具体的に殺菌とはどういうことだっていうのを、どういう言葉で説明したかっていうのは覚えがありますか。
→私からですか。

島田さんがですね、殺菌とはどういうことを意味するっていうのを説明したことっていうのはありましたか。
→島田さんからは、明確な基準等のようなものはなかったと記憶しておりますが、噴霧乾燥器の熱風によって、装置内部に高温、そういった温度が行き渡る、なので殺菌できるのは当たり前だというような発言は何度もありました。

裁判官板場
まず、アイエスジャパンの方に聴取に行かれたということで、先ほど、陳述書、乙1 0 号証の中で一点、変更があるということで、そのとき、平成30年3 月1 2 日に聴取に行ったときに見せたのは、一般的な噴霧乾燥器のカタログということでよろしかつたですか。
→はい、そのとおりです。

その際に、サイクロン下部などいろいろ具体的に、こういうところが温度が低いんじゃないかというふうにおっしゃられたということですね。
→はい。

その後、令和元年7 月5 日、今度はL-8 iかと思いますが、そのときは図面を見せたんでしょうか。
→はい。

それは、大川原化工機が持っていた図面を直接見せたということでよろしいですか。
→はい、そのとおりです。

そうすると、RL-5 については、最後、アイエスジャパンの方に具体的に図面を見せたりしたということはあるんでしょうか。
→いいえ、ありません。

じゃあそのとき、平成3 0 年3 月1 2 日に見せた一般的な製品カタログ、噴霧乾燥器のものを見せたのが最後ということでよろしいですか。
→はい。捜査が始まった平成2 9 年から、大川原の皆さんに対して聴取が始まるまで、いろいろと専門家だったり有識者だったりに調査されていたということですが、その際に、警察としては殺菌の定義というのはもう固まっていたんでしょうか。いいえ、いろいろな聴取を重ねていって固まっていった結果だと記憶しています。

そうすると、島田さんに聴取が始まったときには、大体決まっていたんですか。
→はい、そのときはもう捜索差押え後ですから、やはり殺菌の対象というのは、省令に記載があります細菌等の微生物のうち、特定の1 種類の菌を全て殺すことができれば殺菌に当たるというような、共通の考え方は捜査員にはあったと記憶しています。

そうすると、安積さんが書かれた捜査メモなんですけれども、そのときに記載されている殺菌という言葉は、安積さんの中ではそのような意味を捉えて殺菌というふうに全て書かれてるんですか。
→捜索後の話でしょうか。

そうですね、供述調書だったりメモだったり、いろいろ殺菌という言葉が出てきますけれども、そのときに使ってる殺菌というのは、そういう定義を持った上での殺菌というふうに記載されてるという認識でしょうか。
→はい、基本的にそのとおりであると思います。ただ、殺菌という言葉が人によって違う場合があったかもしれませんが、私はふだん、殺菌という言葉を使うときは、自分のそういった感覚を前提に記載してるはずです。

それも先ほど、島田さんに御説明されたというふうに言ってましたけれども、具体的にどの段階でその説明をされたんですか。
→任意の取調べ中において、島田さんから質問を受けました。結局、殺菌というのは少しでもできれば殺菌になるんですかと。いや、そういったことは誰も言ってませんと。やはり、少しでも殺せればということは残っている菌があるんで、残ってる菌があるってことは、感染能力が失われてないということなんで、それは違いますよというような伝え方を取調べにおいてした記憶があります。

それはいつの段階か覚えてらっしゃいますか。
→私が島田さんの取調べを開始して、そんなに回数がたってない三、四
回目頃、まだ初期の段階であったはずです。

裁判官平野
一般的な話になりますけれども、大川原化工機の中で今回、3 名逮捕されてますけれども、この3 名の役割については、あなたはどういうふうに認識されてましたか。
→まず、社長は会社のトップで、全てを指揮、指示する立場にあったはずです。相嶋専務は、当時はもう営業部門、そういったとこから外れてましたけど、島田さんの上司として、いわゆる社長に次ぐナンバー2 のような立場で社内で権限があったと考えております。それで、当時島田さんは、噴霧乾燥器が輸出規制される過程において、そこの輸出管理の担当者、責任者をしておりまして、その島田さんが意見を求めた社内の相手、指示を受けた相手っていうのは、大川原社長、相嶋専務であって、それでその3 人という立場、役割、位置付けという私は認識でおります。

記録を読んでいくと、相嶋さんに関しては、大川原化工機で作っている機器について、専門的な知識を有しているっていうような立場なのかなというふうに思って見てるんですけれども、そこは捜査機関もそういう認識は持っていましたか。
→はい、相嶋専務は。

はいっていう答えであれば、もうそこで結構です。
→理系の学校を出ていたと、当時は捜査員は把握しておりました。

今回の事件で捜査機関としては、最初に客観的に、今回の大川原化工機が輸出しているもの、これがこの外為法の規定に違反するかどうか、まずその客観面を固める意味で、いろんな関連の業者から話を聞いてみたり、経産省から話を聞いてみたり、あるいは学者の先生から話を聞いてみたりして、その上で学者の先生の実験も踏まえて、客観的に要件に該当するというところをまず判断したわけですか。
→そのとおりです。

その後、大川原化工機の従業員、さらには今回逮捕した3 名から話を聞いているところというのは、その客観面を前提に、主観的な問題としてこの今回輸出したものが、外為法の規定する物品に該当するということを認識していたか、あるいは、共謀があったか、こういうところを明らかにするために取調べを行っていったという理解でよろしいですか。
→そのとおりです。

今、外為法の規定という話をしましたが、今問題になっている、定置した状態で内部の滅菌、又は殺菌をすることができるものというのが要件となってる以上、その主観というのは、要するに、故意の問題ですが、この今回輸出したものというのが、今の申し上げた定義に反するということを認識している、それを理解しているということが前提になるというふうなことだと思うんですが、そこはそういう認識で捜査機関もいたという理解でいいですか。
→はい、そのとおりです。その理由としましては。

大丈夫です、そこでいいです。ちなみに、相嶋さんを、取調べなのでそれぞれ担当の取調官がいると思いますけれども、相嶋さんを取り調べられていた方はどなたですか。
→松本という捜査員でした。

普通、こういう事件の場合、それぞれ捜査官がその日の取調べが終わった後、翌日でもいいんですけれども、お互いに各、自分が担当している被疑者の供述がどういう内容だったかっていうのは、情報交換をすることになりますよね。
→はい、捜査員同士でそういった情報交換は頻繁に行っておりました。

その中で、今回の先ほどあなたのおっしゃった殺菌の定義ということでいくと、要するに、全ての菌を感染能力がなくなる程度に殺すということになるわけですよね。
→はい。

その全ての菌の感染能力をなくすというためには、あなたとしては、今回の機械の温度、つまり最低の部分の温度とかいろいろありますけれども、要するに、一番最低の部分でも、何度を超えていないといけないという認識を持っていましたか。
→1 0 0 度というのが分かりやすい温度だと思います、他の方にとって。

あなたはそのことを、今回の件で故意を明らかにするためには、つまり、殺菌ができると言うためには、この機械の全ての部分において、温度が1 0 0度を下回ってはいけないということになるんだっていうことは、お考えになられていたっていうことですね。
→そのとおりです。

それでなければ故意が立証できないということですよね。
→故意と客観的事実は違うと思います。普通に考えて、電気ヒーターによる熱風を200 度、2 5 0 度等の高温で装置内に送り込めば、少なくとも、最低温箇所も1 0 0 度は超えるのではないかというような認識を、通常私は持つと思います。当時の我々捜査員もそのように考えておりました。

だから要するに、具体的な温度はともかくとして、1 0 0 度を超えて殺菌ができるっていうことであれば、1 0 0 度を超えてるっていうことが前提として理解されていないと、故意があるっていうことには結び付かないんじゃないかっていうふうに思うんですけれども、そこはそういう理解ですよね。
→はい。

それで、今回の機械の中で、一番温度が低くなるところについて、それをアイエスジャパンのシステム設計を担当する人とかには聞いてると思うんですけれども、先ほどのお話だと、大川原化工機の機械に関しては、相嶋さんが詳しかったわけですよね。
→はい。

相嶋さんに対して、この機械の温度が一番低いところはどこなんですかっていうことを聞かれたかどうか、そこはあなたは他の捜査官からどう聞いてますか。
→記憶にありませんが、具体的なこういった部分が一番低くなるという回答はなかったはずです。あれば当時、話題になっていると思います。
なかったと思います。私は聞いた記憶ありません。

相嶋さんは、逮捕されるよりも前の段階で、測定口とかそういったところが温度が低くなるんじゃないかっていうことを、内部でメールを送ってるところがあるんですけれども、あなたとしては、そういう話は聞いていないということだし、捜査官の中でも、そういうところは問題にされていなかったっていうことなんですか。
→聞いた記憶はありません。

ちょっと違うことを聞きます。今回の件なんですけれども、実際、外為法の解釈であるとか、あるいは更に実際殺菌の定義であるとか、そういった解釈が問題になるので、捜査機関としては非常に難しい事件だというふうに思ったと思うんですけれども、そこはそういう理解をされてましたか。
→はい、私がこれまでに担当した事件の中でも難しいと思いました。

公判、仮に送検した後に起訴されて、公訴の提起に至るということになった場合、当然、立証のことを考えないといけないと思うので、こういう事件だと、一般的には逮捕するより前に、検察官と何らか話をしたり、こういう事件があるんだけれども、どういう捜査をすべきなのかというところの指示を仰いだりということがあると思うんですが、そういうことは今回、されましたか。
→私はデスクではなくて、調べが主に担当でしたので、検事と、検察官と話した回数は少なかったですけど、捜査本部のデスク、また、私の上司は頻繁に検事連絡を行って、いろいろやり取りをしていました。

その連絡は、あなたの御記憶で結構ですけれども、大体いつ頃からされていましたか。
→平成2 9 年中、3 0 年、捜索が入るまではそんなに多くなく、捜索後に回数が増えていった、そういったイメージです。捜索差押え前にも検事連絡がありました。

じゃあ、捜索を掛けるより前の段階でも相談し、捜索を掛けた後に、その頻度が増えていったということですね。
→そのとおりです。

その際、相談に行く際なんですけれども、今回、いろいろメモという形だったりとか、捜査報告書というようなものをたくさん作られてると思うんですけれども、そういったものを実際、検事のところに持っていって、状況を説明して、それで指示を仰ぐというような形になるんですか。
→はい、当初は検察官には供述調書、それから捜査報告書、特に主要になると思われる重要なところは検察官のところに写しを持ち込んで、ただ、メモというものは、飽くまでメモですから、そのメモまでは途中まで、検察官の方に持ち込んではいなかったという記憶です。

そうすると、基本的には供述調書と捜査報告書ということで、更にそれを抜粋したものということになるんですか。
→はい、そのような認識です。

あなたの方では、検察官の方からどんな指示があったのかとか、そういったところについては、直接やり取りした回数がそんなに多くないということでしたので、何か記憶としては余りないですか、どういう指示があったのか。→余り記憶に私はありませんが、一度、検察官の方からは、噴霧乾燥器内部の湿度も調べてもらいたいと、温度だけじゃなくて、湿度も非常に低い数値であれば、生き物っていうのは普通に考えて生きれるはずがない、なので温度以外の湿度についてもそういった聴取をしてもらいたいという指示を受けたことがありました。

裁判長
あなたが島田さんの取調べの際に、原告会社の噴霧乾燥器があってはならないところから出てきたという話をされたということですけれども、それは実際にどこにあったんですか。
→原告会社が合弁会社、中国に作りました合弁会社から、あるところに噴霧乾燥器が納入されました。その納入先につきましては、私は今は外事一課員ではありませんし、その捜査状況等も分かりませんので、私の方からはちょっとお答えは差し控えさせていただきたいと考えております。

以上

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