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「我が社に人権配慮の余裕はない」のか

「Z世代」がスターバックスを告発 外国人技能実習生の「人権侵害」に関連して
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20210312-00226782/

サプライチェーンで起きた外国人技能実習生に対する人権侵害について、スターバックスの社会的責任が問われています。
詳細は記事をお読みいただければと思いますが、こちら、何もスタバ自身が外国人技能実習生に「人権侵害」を行った、という話ではありません。
スタバに行くとサンドイッチも売られていますよね。
あれはスタバ自身が製造しているのではなく、他社に委託をしています。
その委託先である日清製粉グループ子会社が、外国人技能実習生に対する不当な強制帰国に関与しているのではないか、と問題になっているのです。

企業様のコンプライアンス研修で講師を務めさせていただくとき、「これからは法令遵守は当たり前で、さらに一歩進んで社会的責任まで考慮しないとリスクがある」というお話をします。
これに対し、時々ですが「そんなことは余裕のある企業だけがすれば良い」というトップの姿勢が見え隠れします。
しかしながら、スタバの例から分かる通り、今や、自社企業が違法・不当なことをしている場合だけではなく、そういった企業と取引をしているというだけでリスクがあるのです。

経団連の企業行動憲章でも、企業による社会的貢献が求められ、かつ「あわせてサプライチェーンにも本憲章の精神に基づく行動を促す。」とされています。

そうしますと、仮に自社が「余裕のない」企業であったとしても、自社の顧客や発注元が、著名な企業であったり、消費者を相手とする企業であったり、CSRの力を入れている企業であったりすると、「もう今後はお取引できません。うちが責められてしまいますので。」と言われます。実際にそういった例が増えています。
そうしますと現状、「単に倫理的だから」というだけではなく、ビジネスとして利益を出すために社会的責任を全うしなければならない、そんな時代になっているのです。

弁護士 野村彩(のむらあや

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