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取締役会は「社内の会議のひとつ」ではない ~コーポレートガバナンス・コードの改訂案を受けて~

2021年3月31日開催のフォローアップ会議においてコーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表されました。まだ「案」ですが、複数の観点から改訂が提案されており、我が国における上場企業のガバナンスは大きく様変わりすることを迫られそうです。
例えば、独立社外取締役については取締役会のメンバーの3分の1を占めることが求められ、必要と考えられる企業においては過半数を視野に入れることとされています。
つまり、先進的な企業においては、取締役会の過半数の人が「外の人」となるのです。
そして取締役会の決議要件は、出席した取締役の過半数です。
代表取締役であっても1票は1票。いくら社長が「この事業は絶対に進めて見せる」と意気込んでいても、社外の人によって簡単に否決されかねない、ということです。

これまで日本企業において取締役とは、従業員が出世をして上り詰めたゴールというイメージでした。
そして取締役会は、その上り詰めた人の集団という位置付けでした。
この常識は、少なくとも上場会社においてはもはや通用しません。

どの企業も取締役会のほかに、「マネジメント会議」「経営戦略会議」「常勤役員会議」などの重要な会議体が存在するかと思います。
しかし取締役会は、それらの会議体とは全く異なる性質をもつことになるということです。
もともと会社法上、取締役や取締役会は特別な定めがあるのですが、コーポレートガバナンス・コードにより、実質的にも他の会議体と異質なものとなるでしょう。

取締役会はもはや「社内の会議体」ではないのです。

弁護士 野村彩(のむらあや

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