H警部補 証人尋問再現(原告側の尋問)
2023年6月30日の証人尋問で、本件捜査に当たった警視庁公安部のH警部補が出廷し、大川原化工機事件の捜査の実態を証言しました。「まあ、捏造ですね」との証言がセンセーショナルに報道されましたが、同警部補の証言は捜査全般にわたる詳細なもので、それは経産省と警視庁との間の打合せの内容(捜査メモの内容)に及びます。この捜査メモは、刑事事件においても経産省がその開示を頑なに拒絶し、国賠訴訟における裁判所の要請をも拒絶していましたが、同警部補の証言からは、経産省が開示を拒んできた理由の一端を垣間見ることができました。
ここでは、H警部補に対する原告代理人による尋問とこれに対するH警部補の証言を再現しました。当事務所の弁護士のメモをベースにしているため、一部再現に不十分な点がある可能性があることをご了承ください。
1. 導入
陳述書の日付から今まで2ヶ月近くあったが出廷にあたり捜査の記録に目を通しましたか?
→はい。
2017年10月から2018年2月の経産省との打合せの捜査メモも読みましたか?
→はい。
捜査員による聴取結果については捜査メモが作成されていましたか?
→はい。
作成された捜査メモは、関係する捜査員に配布・共有されていましたか?
→はい。
捜査の方針を立てたり指揮をしていた捜査幹部はW警視とM警部でしたか?
→はい。
T警部補の役割は?
→全体の調整役です。
捜査メモは幹部の確認、承認は受けていましたか?
→はい。
捜査メモに修正が入ることもありましたか?
→はい。
捜査メモには捜査幹部の押印はありますか?
→あります。従業員の捜査メモにはないかもしれません。
2. 実験について
(1) RL-5型の温度実験〜目標の引き下げ
RL-5型の噴霧乾燥器を用いた温度実験を最初に行ったのはいつですか?
→2017年11月です。
トータルで何回実験を行いましたか?
→7、8回行いました。
実験を開始当時、公安部は経産省に滅菌殺菌の解釈と証明方法を相談していましたか?
→はい。
当時経産省は公安部がやろうとした実験方法について難色を示していましたか?
→示していました。
「芽胞形成菌を指標菌とする実験でなければ意味がない」と指摘を受けていませんでしたか?
→受けていました。
公安部も当初は、芽胞形成菌を死滅できる温度を目指して実験をしましたか?
→はい。
目指して無理だったから、その後、大腸菌を死滅できる100℃程度に目標を引き下げたのですか?
→はい。
経産省が芽胞形成菌を死滅できないと駄目だと言っていた理由は、「殺菌には定義や解釈がなく、判定基準が不明なので日本薬局法の滅菌によるべき」というものでしたか?
→その通りです。
消極的な経産省の説得のために、公安部は有識者見解を集めましたね?
→はい。
金沢学院大学矢野教授、健栄製薬、東京医療保険大学の大久保名誉教授は、経産省同様に芽胞形成菌を指標とするべきとの見解でしたね?
→はい。
そのため、他に、公安部の考えに沿った見解を出せる有識者を探したということですか?
→はい。
2017年12月に四ノ宮教授、浦島教授、佐々木教授から聴取を行っているが、これらの教授らですか?
→はい。
(2) 最も温度が上がらない箇所〜測定口
RL-5で、当初公安部は、最低温となる箇所について、風の流れの最下流である「排気口」だろうと想定しましたね?
→はい。
その後、2018年3月に、A社(注:同社からの要望により匿名化しています)から指摘を受けて実験をしたところ、「バグフィルタ下部」が、排気口よりも温度が低くなることが分かったのですね?
→はい。
A社から指摘のあった箇所以外の場所についても、温度を測るようにとの捜査の指示は、捜査幹部からありましたか?
→ありませんでした。
大川原化工機の役職員の取調べを開始した直後に複数の従業員から、温度の上がりづらい箇所が存在する旨の指摘があったことは知っていましたか?
→はい。
(これらの指摘は)捜査メモとして公安部内で共有されていた?
→はい。
甲23・甲24(温度の上がりづらい箇所の指摘をした大川原従業員の陳述書)を示します。測定口という言葉を使ったかはともかく、こういった温度の上がりづらい箇所の指摘はされていたと認識していましたか?
→していました。
指摘を受けて捜査幹部から追加捜査の指示はありましたか?
→ありませんでした。
捜査員からの疑問の声はありませんでしたか?
→ありました。
どういった声がありましたか?
→こういう温度が上がりづらい箇所の話を原告従業員がしているのだから、もう一度測ったほうがいいと言う話をする捜査員がいました。
具体的に誰ですか?
→T警部補
誰に指摘をしたのですか?
→W警視、M警部
それでも(捜査幹部からは)実験の指示はなかったということですか?
→はい。
丙14号証(L8i温度測定結果報告書)を示します。L8iの実験が行われたのは大川原従業員からの指摘があった時よりも後ですね?
→はい。
あなた方は、実験の時点で大川原従業員からの指摘を知っていたのに、測定口の温度を測らなかったのですか?
→はい。
(3) 逮捕後の検事調べでの従業員供述と、塚部検事の対応
逮捕・送検後の検事調べでも、大川原化工機の一部従業員が温度の上がりづらい箇所の存在を主張していたようなのだが知っていますか?
→はい
それは塚部検事から聞いたのですか?
→いいえ。
捜査メモで見たのですか?
→はい。
具体的な内容を教えてください。
→原告従業員が「機器内部で、温度が上がりにくいところがあると言っている」という内容でした。
具体的にはいつ?
→起訴後の4月3日だったと思う。
これに対し塚部検事はコメントしていましたか?
→はい。
どういうコメントですか?
→湿度が一度だけ高いということは考えられないから問題ない。
乾燥すると菌が死ぬということですか?
→はい。
「熱」ではなく「乾燥」でということですか?
→はい。
塚部検事から追加捜査の指示はありましたか?
→いいえ。
(その時)塚部検事と面談を行った捜査員は誰ですか?
→M警部、A警部補
(4) L8i型の温度実験〜回収容器を測定した事実の隠蔽
丙14号証(L8i温度測定結果報告書)を示します。測定経過。11時23分に運転を開始した後、0時11分に、「操作者が、「器械内部の温度状況を独自に把握したい」旨を申し出て、同社で保有する温度測定器「極細型熱電対」を設置した。」と記載されていますが、ここにある「操作者」とは服部社長(機器の提供者)ですか?
→はい。
既に警視庁の温度実験が開始している状況で、社長が「独自に温度状況を把握したい」と申し出たとは理解し難いです。温度実験開始後に製品回収容器の底部に熱電対を設置した経緯について、具体的に説明いただけますか?
→回収容器を外から手で触ったり、赤外線を使って測定したが、温度が出ていなかったんです。
、、、手で触ったのは誰ですか?
→捜査員です。
、、、なぜ触ったのですか?
→前のL8iの実験で回収容器の温度が出なかったから。
前の実験では回収容器の温度を測ったのですか?
→はい。
そして(回収容器の)温度が出てなかったということですか?
→はい。
それで今回も温度が出ないと予測したということですか?
→はい。
それで、手で触って温度が出ていないと判断したということですか?
→はい
それでどうしたのですか?
→回収容器の下部の温度を熱電対を使って測ることにしました。
そうすると、実際は、社長からではなく、捜査員が回収容器の温度を測りたいから社長に熱電対を貸してくれと言ったということですか?
→はい。
前回実験では回収容器の底を(サーモクロンで)測ったというが、今回の実験では測らなかったですか?
→測っていました。
温度測定結果報告書では、測った場所は、2箇所と書いてあるが、実際には3箇所測ったということですか?
→はい
スーパーサーモクロン、ハイパーサーモクロン、両方を使用しましたか?
→はい。
サーモクロンを設置していたのに、実験の途中で熱電対を追加設置した理由はなんですか?
→リアルタイムで温度を図る必要があった。
サーモクロンはリアルタイムで温度を把握することができないのですか?
→はい。
実験の結果、回収容器の底部の温度は、目指した温度に達しましたか?
→いいえ。
目指していた温度が出なかったから、温度測定結果報告書に記載されなかったということか。
→はい。
(回収容器の温度は)捜査記録には残っていますか?
→はい。
(5) L8i型の温度実験〜回収容器は噴霧乾燥器の「内部」か
何度も回収容器の温度を測定していたということは、当時警視庁は、L8iの回収容器も噴霧乾燥器の内部、殺菌できなければならない箇所と捉えていたということですか?
→はい。
L8iのサイクロンと回収容器の間に両者を遮断するダンパーはありましたか?
→いいえ。
この実験の後、製品回収容器の底部は、噴霧乾燥器の内部に該当しない、との整理に変更したのですか?
→はい。
サイクロンと回収容器が一体的な構造になっていて遮るものがない以上、「回収容器は噴霧乾燥器の内部に当たらない」と整理するのは理論的には苦しいと思うが、捜査幹部はどういうロジックでそう整理したのですか?
→後付で、ダンパーは設置できるだろうということでした。
実際にダンパーが設置できるか確かめましたか?
→いいえ。
3. 公訴取消の理由
2021年7月の公訴取消にあたり、駒方検事から事情の説明がありましたか?
→ありました。
その説明の内容は捜査メモで残っていますか?
→はい。
あなたは捜査メモを読んでその内容を知ったのですか?
→私が書記として参加していました。打ち合わせメモも私が作成しました。
その打合せの日はいつですか?
→2021年7月21日です。
場所は東京地検ですか?
→はい。
出席者は?
→駒形検事、小長光副部長、W警視、私です。
検事から呼出があったのですか?
→はい。
検事側からの説明で公訴取消をした理由は何でしたか?
→理由は2つで、1つは客観的な性能を立証できない、乳酸菌の実験をやったが菌が死ななかったということです。
もう一つは何んですか?
→法令解釈を裁判官に説明できない。
説明できないとはどういうことですか?
→経産省のメモを読むと、経産省と警察が、意図的に立件方向に向けて、捻じ曲げたんでしょう、これじゃ説明できないということでした。
この説明は誰が行ったものですか?
→小長光副部長。
駒方検事はなにか言っていいましたか?
→経産省のメモを見ると、今は殺菌できるものというがcapableになっているが、もともとは、デザインされた、つまりCIPと蒸気滅菌が規制対象になるという意見だったでしょう、と。
他にはなにか言っていたか?
→経産省のメモを黒塗りにして提出するが、裁判所は確認のために黒塗り部分も読むだろう、そうすると裁判官の心証が悪くなると。
4. 殺菌解釈・捜査メモ
(1) 殺菌解釈
乙8の49(2018/1/26宇部フロンティア大学メモ)を示します。「2017/12/27に行った温度測定結果のデータに基づく殺菌実験を依頼。120℃まで上がる器械であることを踏まえて炭疽菌(芽胞菌の一種)が120℃で死滅するかを実験」とありますね?
→はい。
公安部は、2018/1/5時点において、省令所定の有害な菌をどれか死滅できれば殺菌にあたると解釈を定立していましたね?
→はい。
この時点では既に、清水准教授や田中教授による大腸菌の耐熱実験も実施済みでしたよね?
→はい。
とすると、2018/1/26に芽胞菌の耐熱実験を依頼する必要はないはずです。あえて炭疽菌の耐熱実験を依頼したのは、大腸菌を指標菌としたいという公安部の考えに、経産省が難色を示したからではないですか?
→はい。
乙8の38(2017/12/8四ノ宮教授捜査メモ)を示します。(2)の冒頭「経済産業省が芽胞形成菌のみを規制対象とすることについて」とあります。12/8の当時、経済産業省は、大腸菌を殺せるだけではだめで、芽胞形成菌で実験しないと該当の証明にならないと指摘していたのではないですか?
→はい。
(2) 経産省との打合せ内容(捜査メモ)
この直前の12月5日に経産省に電話で聴取したという記録が残っています。その時に経産省から指摘を受けたのではないですか?
→はい。
具体的にはどのように指摘を受けたのですか?
→経産省の管理課長、課長補佐と、安検室長が話し合った。管理課は、殺菌の定義が曖昧だから芽胞菌でなければだめだと。
そのような内容が捜査メモにも残っているということですか?
→はい。
12月8日には経産省と公安部が面談しています。その面談でも同内容を面と向かって言われたのでは?
→はい。
指摘をした経産省の担当者は誰ですか?
→T検査官
T検査官は陳述書で、警視庁に話した内容は「個人的見解」で、経産省としての見解ではないと言っているようですが、あなた方公安部は、その前提で打ち合わせしていたのですか?
→いいえ。
組織の見解を求めていたのですよね?
→はい。正式な面談でしたので。個人的な見解は求めていませんでした。
先ほど示したとおり、公安部が有識者見解に基づく殺菌解釈を定めたのは2018年1月初旬です。その後、2018/1/16に経産省と打合せを行っていますが、経産省は公安部の解釈に同意しましたか?
→いいえ。
(3) 経産省の姿勢が変化したのはいつか
丙3号証(経産省回答書)を示します。経産省のこの最終回答は、平成30年8月10日付です。1月16日でNoだったものが、8月では見解が変わっていいます。いつ、変わったですか?
→2月8日。
どのように変わったのですか?
→ガサに入るのはいいと思うと言って。
ガサはいいけどというのはどういう意味ですか?
→立件するのは別の件を探してください、経産省に許可申請を出しているのは藤崎電機の1件であることを担当の検察官に説明してください、ということでした。
2月8日に見解が変わった理由について、経産省から説明はありましたか?
→ありました。
何という説明ですか?
→公安部長が動いたからいける、と。
2月8日の打合せには、笠間課長補佐は出席していましたか?
→はい。
笠間課長補佐が警視庁との打合せに出てきたのは2月8日が初めてでしたか?
→いいえ。
甲158(経産省打合せ日一覧)を示します。笠間課長補佐が打合せに出てきた日はいつですか?
→11月7日
渡部警視が出席した回ですか?
→はい。
11月7日の打合せでは、笠間課長補佐は、殺菌の解釈をはっきり定めていないと言っていませんでしたか?
→はい。
具体的になんと言っていましたか?
→法令には不備がある、省令が曖昧で、解釈がはっきりしない、まずは、法令の改正やAGへの提案が先だという話をしていました。
(4) 経産省の運用通達は日本独自に上乗せ規制を行う趣旨か?
AGにおける定義では、disinfectionの手段は薬液消毒に限定されています。他方、経産省の通達では、薬液消毒に限定されていないように読めます。この点について「日本独自に上乗せ規制を設けた」といった説明が、一連の打合せにおいて経産省からなされたことがありましたか?
→いいえ。
捜査メモにもそのような記載はないですか?
はい。
一連の打合せにおいて経産省から、AG参加国において乾熱殺菌をもって規制該当としている国は他にない、他国との調和なく我が国だけ突出した規制を行うべきでないとの指摘はありましたか?
→受けた。
(5) 曝露防止に関する経産省の見解
規制該当というには粉体の曝露を防止できる必要があるという指摘はありましたか?
→ありました。
HEPAフィルタの性能について何と言っていましたか?
→HEPAフィルタで菌が漏れないようにする必要があると。
経産省は、仮に許可申請が出ていればどうすると言っていましたか?
→許可申請が出ていたら許可していたと言われました。
すべて捜査メモに書かれていますか?
→はい。
(6) 経産省宛て照会書の添付書類の位置づけ
丙2(経産省宛て照会書)を示します。大川原化工機の噴霧乾燥器RL5が輸出規制に該当するかの照会書です。添付書類が列挙されているが、照会を行うにあたり、何を添付書類とするかについて経産省と警視庁とですり合わせが行われましたか?
→はい。
すり合わせの結果、経産省から「該当すると思われる」との判断を得るのに必要と経産省に言われた資料が添付されているということですね?
→はい。
すり合わせの経過についても、捜査メモか何かに残されていますか?
→メモにはないが捜査記録に残っています。
「別添資料25」は、A警部補の報告書で、藤崎電機からの電話聴取です。HEPAフィルタの設置により粉体が漏れない状態を保つことが可能とする書類ですね?
→はい。
ということは、すり合わせの際に、経産省が公安部に対して、曝露防止性能に関する資料の添付を、求めたということですか?
→そうです。
「別添資料17〜20」は、本件要件ハの「殺菌することができる」の解釈に関する、学者からの聴取結果報告書です。その添付を求めてきたということは、当時、殺菌について経産省自身が明確な解釈を有していなかったから、学者の見解を添付してくれということですか?
→はい。
5. A警部補による弁解録取書の破棄
A警部補が島田さんの弁解録取書を裁断した件が今回の裁判で問題となっていることは知っていますか?
→はい。
丙A125(被疑者弁解録取状況報告書)を示します。裁断がされたのは3月11日、報告書が作成されたのは3月25日と2週間空いています。その間何があったか知ってますか?
→はい。
誰から聞いたのですか?
→T警部補
いつ聞いたのですか?
→3月23日か24日
Y巡査部長(弁解録取の立会補助者)から直接話を聞いたことはありますか?
→あります。
Y巡査部長から直接聞いた話と、報告書に内容に違いはありますか?
→あります。
どこが違いますか?
→A警部補が島田さんに弁録を取った時に、島田さんから訂正を求められ、そこを直したふりをして示して、それをたまたま島田さんが見つけて「警察がこんな事するのか。」と言っていました。
そのやり取りが抜けているということんですか?
→はい。
この報告書には過失で裁断したと書かれているのに対し、A警部補は先週、送致不要であるとの誤った認識で裁断してしまったと供述を変遷させています。そうすると、A警部補は当初、虚偽の内容の被疑者弁解録取状況報告書を作成したことになるということんですか?
→はい。
報告書の内容は、A警部補一人で作成していたのか、それも捜査幹部からの指示ですか?
→もちろん幹部からの指示です。
なぜ幹部からの指示とわかるのですか?
→これを配られた時に「部としてこういう結論になりましたから」とA警部補が言ったから。
6. 起訴前の検事相談
本件で検事相談を行っていたのは、公安部側は誰ですか?
→W警視、M警部、T警部補
経産省は、もともと殺菌について明確な判断基準や解釈を持っていなくて、公安部の考え方を説得して最終的には了解してもらったという経緯について、塚部検事に共有していましたか?
→伝わってなかったと思う。
なぜそうわかるのか
→検事が怒っていましたので。
怒っていた?なんで怒っていたのですか?
→経産省が解釈を出すのが遅くて、犯行時に基準がなかったのは問題だ。私はそういう解釈でやってきていたのだと思っていた、と言っていました。
怒ったのはいつか
→起訴前の3月23〜25日くらいの下旬。
結局は起訴しましたね?
→はい。
7. 粉体を使った耐熱実験
公安部は、千葉大の清水准教授、岐阜大の田中教授に委託して、乾熱滅菌器を用いた大腸菌の耐熱実験を行いましたね?
→はい。
いずれも粉体化した菌ではなく、培養した菌をそのまま使いましたね?
→はい。
乙8の15(環農水研捜査メモ)を示します。2017年12月5日大阪府立環境農林水産総合研究所から行った聴取です。あなたは「焦げた部分の菌は死んでいるだろうが、その下の菌は生き残っている可能性がある」と聴取しましたね?
→はい。
他の聴取先からも同様の指摘はあありましたか?
→メーカーだとG社。ユーザーだとM社。
これら指摘を受けて、捜査幹部から、実際に粉体を使用して実験を行うようにとの指示ありましたか?
→ありません。
起訴してしばらく経った後、駒方検事から、大腸菌の代わりに乳酸の粉体を使った耐熱実験の指示を受けたことはありましたか?
→ありました。
耐熱実験はどこに依頼しましたか?
→千葉大の清水准教授
その結果、粉末の乳酸菌は、期待通りに死滅しませんでしたね?
→はい。
この実験は環農水研からの指摘を受けた2017年12月時点でも実施可能だったのではないですか?
→はい。
8. 逮捕勾留の相当性
本件は経産省が解釈を決めていなかったという問題が根本にあったと思いますが、公安部がそれに乗じて事件をでっちあげたという点は否めないかと私は思うが、違いますか?
→まあ、捏造ですね。
客観的資料は揃っており任意取調べも行われ、1年近く捜査しています。口裏合わせの可能性もないです。逮捕勾留の必要性はなかったと思いますが、違いますか?
→必要性はなかったと考えています。
逮捕されるべきでない人が逮捕され11ヶ月間も身柄拘束されることは決してあってはならないことだと思います。捜査を担当した立場として、誰が、どうしていれば、この事態を防ぐことができたと考えますか?
→幹部が捏造しても、更に上の立場の人間が防げていた可能性がある、警視庁の通報窓口に捜査員から通報があったのですから、警視総監が承認した事件であっても、通報は通報で真摯に受け止めていれば、ここまで酷くなかったと思います。
立ち止まる機会は何度かあっただろうということですか?
→はい。
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