T警部補 証人尋問再現(統合版)
2023年6月30日の証人尋問。H警部補に続き、大川原化工機事件の捜査で重要なポジションにいたT警部補が出廷し、実態を証言しました。
報道では、追加捜査の必要性を捜査幹部に進言したところ「事件を潰して責任取れるのか。」を一喝されたとの証言が注目を集めました。T警部補は、経産省との打合せにも出席しており、当時の経産省が警視庁の提示した「殺菌」の概念及びその実証方法に疑義を呈していた様子も証言しています。
証人申請が原告・被告東京都の双方からなされたため、尋問は、東京都主尋問→原告主尋問→国反対尋問→東京都再主尋問→原告再主尋問→裁判所補充尋問、の順で行われました。
この統合版は、被告東京都及び原告による各主尋問をベースに、被告国反対尋問、被告東京都再主尋問、裁判所補充尋問を統合して、論点ごとに整理したものです。こうした分析過程は本来判決前に公表するものではありませんが、これまで本件を見守ってくださったサポーターの皆様のため、速報することにしました。
各尋問及び証言は、当事務所の弁護士のメモをベースにしているため、一部再現に不十分な点がある可能性があることをご了承ください。
1. 導入
<被告東京都主尋問>
陳述書に訂正はありますか?
→ありません。
<原告主尋問>
陳述書作成にあたり、被告都の代理人に噴霧乾燥機の実験について覚えていない、などと言ったことはありますか?
→ありません。
陳述書の日付から今まで2ヶ月近くありましたが、今日の出廷にあたり捜査の記録に目を通してきましたか?
→はい。
<被告東京都主尋問>
本件捜査にいつ従事していましたか?
→2017年4月から公訴取り下げまでです。
本件捜査を指揮していたのは誰でしたか?
→W警視、M警部
<原告主尋問>
あなたはメーカー、ユーザーのほかCISTEC、経産省、大学教授への聴取に関与していましたか?
→はい。
H警部補の尋問ではあなたの役割は全体の調整役という話があったが、そういう理解で良いですか?
→多少なりとも人だしや窓口は担当していました。
各捜査員の捜査メモも読んでいましたか?
→はい。
2017年4月から5月にかけて、あなたやA警部補は、CISTECの方から初期的な聴取を行いましたか?
→はい。
当初CISTECの方は、規制要件ハの「滅菌又は殺菌」の方法について、付属ヒーターによる熱風で滅菌殺菌を行うこともできると話していましたか?
→当初はしていません。
乙8の19(藤崎電機捜査メモ平成29年6月26日)を示します。メモを見ると、藤崎電機は、「殺菌概念があいまいで判断基準が不明確であることから、殺菌できる可能性がある」と判断して該非判定書に記載をし、許可申請を行ったなどとと書いてあります。聴取の実施者としてあなたの名前が書かれていますが、聴取結果はここに書かれているとおりで間違いないですか?
→はい。
2. 温度実験
(1) 温度実験の目標
<原告主尋問>
RL-5型の噴霧乾燥器を用いた温度実験を最初に行ったのは2017年11月ですね?
→はい。
実験を開始した2017年11月当時、公安部は経産省に殺菌の解釈や証明方法について相談をしていましたか?
→はい。
当時経産省は、公安部の殺菌解釈や、やろうとした実験方法について難色を示していましたか?
→はい。
具体的には、内部を殺菌できる噴霧乾燥器の証明について、芽胞形成菌を指標菌とする実験でなければ意味がないと指摘をしていましたか?
→はい。
公安部も当初は、滅菌と同程度の性能を実験で証明しようとしましたね?
→はい。
その後、芽胞形成菌を死滅できる温度は無理だと分かり、大腸菌を死滅できれば殺菌できるとしようと考えて目標を引き下げましたね?
→はい。
公安部内でそれを言い出したのは誰ですか?
→W警視、M警部
捜査幹部は、公安部の考えに沿った供述を有識者から取得して、経産省を説得する方針を立てましたね?
→はい。
(2) 温度の上がりづらい箇所〜測定口について
<被告東京都主尋問>
RL5の温度実験に立ち会いましたか?
→はい。
RL5の最低温特定実験を行った目的は何でしたか?
→警察が組み立てた乾熱殺菌理論の実証をするため。
最低温箇所をどのように特定しましたか?
→噴霧乾燥器のメーカーから最低温箇所を聴取しました。
メーカー名は?
→A社(注:同社からの要望により匿名化しています)
A社に最低温箇所を聞いた理由は何でしたか?
→噴霧乾燥器を作っているメーカーだから
藤崎電機にも聴取しましたか?
→はい。
藤崎電機は最低温箇所はなんと言っていましたか?
→わからないと言っていました。
丙6を示します。これがA社の聴取結果に基づき実験した報告書ですか?
→はい。
サーモラベルはどの部分に取り付けましたか?
→乾燥口、バグフィルタ、排風口など合計10箇所。
どの部分が一番温度が低くなりましたか?
→バグフィルタの下部
バグフィルタ下部の温度は90度で間違いないですか?
→はい。
当時の認識としては、RL5に測定口があったことを認識していましたか?
→していません。
噴霧乾燥器の構造について、資料は調べましたか?
→はい。
どのように調べましたか?
→インターネット、国会図書館の資料
噴霧乾燥機の測定口が温度が低くなることについて記載された資料はありましたか?
→ありませんでした。
調べた資料では温度が上がらない場所についてどう書いてありましたか?→風の通らない箇所。具体的にはサイクロン下部。
A社の見解と矛盾する資料はありましたか?
→いいえ。
メーカーやユーザーからの聴取内容は把握していますか?
→はい。
測定口の温度が低くなるという話は出ましたか?
→出ていません。
メーカー、ユーザーの聴取は何社位行いましたか?
→300社程度行いました。
A社やユーザーから測定口の話は聴取していますか?
→していません
実験で使用した機器の所有者から測定口の話は聞きましたか?
→聞いていません。
<原告主尋問>
RL5の温度測定の実験について。A社から「サイクロン及びバグフィルタの下部」は熱風の通りが悪いため排気口よりも温度が上がらない可能性があるとの考えを聴取したのは、2018年3月ころでしたね?
→はい。
A社は大川原化工機の噴霧乾燥器を扱っていましたか?
→いいえ。
A社からの聴取後、ユーザーからの聴取等の追加捜査を行いましたか?
→行っていません。
そうすると、A社の供述のみに依拠して最低温箇所の候補をリストアップしたのですか?
→はい。
噴霧乾燥器の内部のすべてを殺菌できるか、温度の上がりにくい箇所があるかないかは、今となって考えると重要な事項でしたね?
→はい。
当時熱風が通りにくい場所が他にないか調査しろとの指示は、捜査幹部からありませんでしたか?
→はい。
大川原化工機の役職員の任意取調べを開始した直後、複数の従業員から、温度の上がりづらい箇所が存在する旨の指摘があったことは知っていましたか?
→はい。
捜査メモとして公安部内で共有されてましたか?
→はい。
甲23・甲24(大川原従業員の陳述書)を示します。原告従業員から、測定口といったかどうかはともかく、袋小路になっていて温度が上がりづらい箇所を指摘したとありますが、あなたの認識と相違ありますか?
→ありません。
甲27(相嶋メール)。2019年1月28日の相嶋さんのメールです。「マンホール、のぞき窓、温度計座、差圧計座及び導圧管等極端に温度の低い箇所があるため完全な殺菌はできない」と指摘したとありますが、あなたの認識と相違ありますか?
→ありません。
相嶋さんは大川原化工機の役職員の中でも、特に噴霧乾燥器の構造に詳しい方でしたね?
→はい。
(3) 大川原従業員らからの指摘を受けた後の対応
<原告主尋問>
こうした指摘を受けて、検証のために再度実験をすべきだと考えませんでしたか?
→考えました。
それを捜査幹部に言いましたか?
→はい。
誰に言ったのですか?
→M警部
他の捜査員で進言した人もいましたか?
→わかりません。
M警部はそれに対し何と答えましたか?
→「従業員の言い訳だ。信じる必要はない。」と答えました。
丙14号証(L8i温度測定結果報告書)を示します。2019年5月9日に行われた実験ですが、(この時も)測定口の温度は測っていませんね?
→はい。
L8iの実験が行われたのは大川原従業員からの指摘があった時よりも後ですね?
→はい。
実験の時点で、大川原従業員から指摘があったことは公安部の皆さんは分かっていたのに、測定口の温度を測らなかったのですか?
→はい。
なぜ測らなかったのですか?
→幹部の指示だからです。
幹部というのは具体的に誰ですか?
W警視、M警部
指摘を受け測定口が最低温箇所になるのかユーザー等に聞いたことはありましたか?
→ありません。
聞くだけなら簡単だと思いますが、聞いていないですか?
→聞いていません。
(4) 逮捕後の大川原従業員らからの指摘、とこれを受けた検事の対応
<原告主尋問>
逮捕・送検後の検事調べでも、大川原化工機の一部従業員が温度の上がりづらい箇所の存在を主張していたようですが、知っていましたか?
→はい
塚部検事から追加捜査の指示はありましたか?
→ありません。
補充捜査を行わなかったことについて、塚部検事が「湿度が一部だけ高いというのはありえないので問題ないのでは」とコメントしたようなのですが、ご存知ですか?
→はい。
これについて捜査メモが残っているそうなのですが、ご覧になったことはありますか?
→はい。
(5) L8iの製品回収容器の底部は「内部」か
<原告主尋問>
丙14号証(L8i温度測定結果報告書(ハイドロックス)を示します。報告書には「排風機後のダクト」と「サイクロンの下部」の2箇所に温度データロガーを設置したと記載されていますが、実際には回収容器の底部もデータロガーを設置して温度を測っていましたか?
→はい。
なぜ測ったか。この実験の当時、警視庁では、回収容器の底部も噴霧乾燥器の内部、すなわち殺菌できなければいけない箇所と捉えていたのではないですか?
→はい。
実験の結果、回収容器の底部は期待した温度に達しましたか?
→いいえ。
目指していた温度が出なかったから報告書には記載しなかったのですか?
→そのとおりだと思う。
記載しないことを決めたのは誰ですか?
→W警視かM警部
この実験後、回収容器の底部が内部ではないといの整理に変更されたのですか?
→はいそうです。
(6) 粉体を用いた温度実験をしていないこと
原告、被告東京都からの尋問はなし
3. 経産省との打ち合わせ
(1) 打合せ開始当初の経産省の見解
<原告主尋問>
2018年1月16日から2月8日までの間、公安部と経産省の打ち合わせに参加していましたね?
→はい。
それ以前の打合せ内容についても部内で情報共有を受けていましたか?
→はい。
当初、経産省は、省令の定める殺菌について、「明確な解釈がなく曖昧だ」といった説明をしていましたか?
→はい。
経産省は「省令に規定する細菌のうち1種類の菌を死滅できれば良く、曝露防止を要しない」という解釈を、打合せの当初から述べていましたか?
→いいえ。
公安部では2018年1月5日に殺菌の解釈を定めているようですが、公安部内でこの解釈を最初に言い出したのは誰ですか?
→M警部
報告書によれば、省令に列挙されている何らかの細菌を死滅できれば殺菌に該当するということは、四ノ宮教授、清水准教授、浦島教授の3人が言っているということになっていますね?
→はい。
しかし、これらの有識者は皆さん科学者で、法律家ではないですよね?
→はい
法律の専門家でもないのに、法令上の殺菌に該当すると自発的に述べたのですか?
→自発的ではないと思う。
乙8の36(大久保名誉教授メモ)を示します。大久保名誉教授のメモでは、乾熱の場合は150度〜180度にならないと滅菌も消毒もできるとは言えない。指標菌は芽胞菌を使用すると書いてありますね?
→はい。
AGの規制リストでは、disinfectionは薬液消毒を指すものと明確に定義されていますね?
→はい。
捜査報告書には、大久保名誉教授の話も、AGの定義にも触れられていないですよね?
→はい
そうすると、公安部は、規制の大本であるAGの定義も、異論を唱える複数の有識者見解も無視して、警察が考えた見解を別な有識者に言わせて、経産省を説得しようとしたように見えるのですが、違いますか?
→そう思います。
(2) 2018年1月16日〜2月2日までの打合せ経過
<原告主尋問>
2018年1月16日に経産省の打ち合わせに参加しましたね?
→はい。
経産省の参加者はどなたでしたか?
→T上席検査官、T検査官、あと一人の名前は思い出せないが合計3名。主に話していたのは、T上席ともう一人(Tではない方)
この日は、捜査幹部の打ち立てた殺菌解釈に沿った有識者の見解と、2017年12月に実施したRL5の温度実験の結果を経産省に報告しましたね?
→はい。
これに対し、経産省は公安部の考えで良いと言いましたか?
→いいえ。
省令に列挙された細菌のうちいずれかを死滅できればよいという考えについては、経産省はどのように言っていましたか?
→1種類だけではないということだったと記憶しています。
曝露防止の要否については経産省はどのように言っていましたか?
→必要だと言っていました。
AGにおける定義や他国での扱いと異なる解釈をする点については経産省はどのように言っていましたか。
→日本だけ突出した規制をするのは意味がないと言っていました。
国際協調だからということですか?
→はい
総じて経産省は、該当と判断することに否定的な見解を示したということですか?
→はい
そのことは捜査メモにも書いてありますか?
→はい。
その次の1月26日の打ち合わせで、経産省の見解に変化はありましたか?
→いいえ。
2月2日の打ち合わせでは、経産省の見解に変化はありましたか?
→いいえ。
(3) 2月8日の打合せで経産省の姿勢が変化したこと
<原告主尋問>
あなたは2月8日の打ち合わせにも参加していましたね?
→はい。
経産省側の参加者は誰でしたか?
→K課長補佐、T上席検査官、T検査官
K課長補佐が出てきて経産省の見解にどのような変化がありましたか?
→それまでは、回答は出せないという話が、回答は出せるという方向になりました。
前向きな方向になったということですか?
→はい。
経産省は具体的にどのように言っていましたか?
→「法令が曖昧なので、欠陥はある。そのため、該当という文書を出しても変わる可能性があります」という話でした。
前向きな回答は出すけど、判断が変わる可能性がありますよと言ったということですか?
→はい。
K課長補佐が言ったのですか?
→はい
2月8日以前に、K課長補佐が打ち合わせに参加したことはありましたか?
→ありませんでした。
あなたが参加する前にはどうでしたか?
→記憶にありません。
2月8日に経産省の見解が変わった理由について、H警部補は「公安部長が動いた」と話していたが、知っていますか?
→はい。
この話をもう少し具体的にお話できますか?
→公安部長が経産省に働きかけ、経産省の解釈が変わった。
普段は公安部長は動いていないのですか?
→はい。
公安部長に働きかけたのは誰ですか?
→外事課第1課長
課長が公安部長に泣きついて、公安部長が経産省に働きかけたということですか?
→はい。
消極的だった経産省を動かしたことは、部内でもビッグニュースだったのではないですか?
→はい。
これについてW警視あるいはM警部は当時何と言っていましたか?
→M警部が「課長に感謝しなければならない」と言っていました。
(4) 経産省の運用通達の内容とAGの齟齬について
<原告主尋問>
AGにおける定義では、disinfectionの手段は薬液消毒に限定されています。他方、経産省の通達では、文言上、薬液消毒に限定されていないように読めます。この点について経産省から「日本独自に国際合意と異なる上乗せ規制を設けた」といった説明がなされたことはありましたか?
→いいえ。
一連の捜査メモにもそのような記載はないですか?
→ありません。
(5) 最終的な経産省の回答書
<原告主尋問>
丙3(経産省回答書)を示します。回答として、「添付書類の内容を前提とすれば該当すると思われる」とありますが、経産省としては添付資料の内容が正しいのであればということですね?
→はい。
「該当と思われる」という表現のニュアンスについて何かわかりますか?
→経産省の話なのでわかりません。
4. A警部補の取り調べ
(1) 任意の取調べの不当性
<原告主尋問>
甲141号証の2(弁護士のメール)を示します。警視庁の任意の取り調べのやり方について、2019年4月28日に、弁護士からクレームが入ったことがありましたね?
→はい。
あなたが弁護士からの電話を受けましたね?
→はい。
島田さんに対するA警部補の取り調べで、島田さんが虚偽の事実を告知されて揺さぶりをかけられているといった話を弁護士から聞きましたね?
→はい。
これを受けて、あなたは事実関係を確認しましたか?
→はい。
A警部補の取り調べや調書のとり方に、問題はありましたか?
→本人に確認したところ、「問題はない、弁護人が牽制しているだけだ」と言ったので確認は終わりました。
例えば、島田さんの取調べで、熱風により菌がある程度死ねば殺菌できると言えるという間違った解釈を述べて、これを前提に殺菌に関する島田さんの供述を誘導しようとしたことを、聞いたことがありますか?
→あります。
ある程度菌を殺すことができれば殺菌にあたるという誘導は、A警部補だけでなく、大川原化工機の役職員の聴取を行っていた他の捜査員も行っていましたか?
→はい。
他の捜査員も行っていたということは、捜査幹部からの指示によるものということですか?
→はい。
A警部補が島田さんに対して、大川原化工機の噴霧乾燥器があってはならない場所で見つかったと言ったようなのですが、そのような事実はありましたか?
→ありません。
公安部内で、大義名分、中国と繋がっているという外事性を無理やり作り出そうとする動きはなかったか?
→わかりません。
あってはならない場所という事実の異なることを言ったのは公安部というよりはA警部補のやり方ということでしょうか?
→私の感覚ではそのように思います。
(2) 弁解録取書の破棄
<原告主尋問>
島田さんの2020年3月11日付け弁解録取書の作成経緯がこの裁判で問題となっていることはご存知ですか。
→はい。
丙A125(被疑者弁解録取状況報告書)を示します。裁断がされたのは3月11日、報告書が作成されたのは3月25日と2週間空いているのですが、その間何があったかあなたはご存知ですか?
→はい。
誰からこの問題について聞きましたか?
→Y巡査部長
いつ聞来ましたか?
→3月16日
その話を上司に報告しましたか?
→W警視にまず報告しました。
この報告書は部内で共有されましたか?
→はい。
A警部補から共有された報告書と、Y巡査部長から聞いた報告は違いがありましたか?
→はい。
どこが違いますか?
→「読み聞かせの上〜」が違います。実際には読み聞かせは行っていません。
Y巡査部長から聞いた話は具体的には何でしたか?
→A警部補が弁録に島田さんが言ってもいないことを書いて、それがバレて、島田さんが激昂したと聞きました。
修正したふりをしたらそれがバレたという話も聞来ましたか?
→はい。
5. 検事相談
(1) 検事相談の時期、塚部検事からの指示
<原告主尋問>
本件で、検事相談に行っていたのは、公安部側は誰でしたか?
→自分とM警部。
どれぐらいの頻度でしたか?
→記憶にない。
大川原の役職員に対する取調べの状況を塚部検事に報告をし、方針について指示を受けていましたか?
→はい。
逮捕状の請求のタイミングについても、塚部検事から指示を受けていましたか?
→はい。
検事相談について、捜査メモとして聴取結果を残していましたか?
→はい。
塚部検事から、温度実験について問題点・疑問点の指摘を受けたことはありましたか?
→ありません。
(2) 公安部から塚部検事への情報共有
<原告主尋問>
本件では、立件に不利な証拠が捜査メモの形で数多く残っています。これらは、捜査幹部は、意図的に塚部検事に共有していなかったのですか?
→されていなかったと思います。
捜査幹部が意図的に共有していなかったのいですか?
→はい。
なぜ共有しなかったのか?
→M警部の指示で。
塚部検事は、不利な証拠がないかどうか公安部に確認はしなかったのですか?
→していません。
AGのdisinfectedの定義からすると、本件噴霧乾燥器は明らかに規制対象ではありません。塚部検事には、AGの定義がどうなっているかという説明は、公安部から共有しなかったのでしょうか。
→していません。
(3) 逮捕後の塚部検事とのやり取り
①温度の上がりづらい箇所の指摘について
<原告主尋問>
従業員が検事の参考調べで温度が上がりづらい箇所の話をしたそうだが、塚部検事から追加の捜査指示はありませんでしたか?
→逮捕後、塚部検事からM警部に電話がありました。M警部が他の捜査員に検事からこんな指示があったという話があった。それを受けて、A警部補が藤崎電機に聴取を行ったと記憶しています。
②経産省の該非基準が当時定められていなかったことについて
<原告主尋問>
逮捕後、起訴前に、塚部が怒り出したことはありましたか?
→はい。
なぜ怒ったのですか?
→「経産省の該非の基準が犯行当時定められていなかったら立件できない」と私とT警部補に言いました。
それに対し、あなたはなんと言来ましたか?
→私ではお答えできないので、M警部に伝えて連絡させますと言いました。
そのことはM警部に伝えましたか?
→はい。
M警部はなんと言っていましたか?
→「わかった。電話しとくよ。」と言いました。
電話の結果どうなったか知っていますか?
→わかりません。
6. T上席検査官の「個人的見解」について
<原告主尋問>
経産省のT上席検査官は、警視庁に話した内容は「個人的な見解」で経産省の見解ではないと言っていますが、公安部はT氏の「個人的な見解」を聴取していたのですか?
→いいえ。経産省の見解を聴取した認識でした。
7. 逮捕勾留の相当性
<原告主尋問>
逮捕されるべきでない人が逮捕され11ヶ月間も身柄拘束されることは決してあってはならないことだと思います。捜査を担当した立場として、誰が、どうしていれば、この事態を防ぐことができたと思いますか?
→捜査幹部が、マイナス証拠をすべて取り上げないという姿勢。マイナス証拠をきちんと反証すればこういうことは起きなかったと思う。
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