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マシュマロへの回答:変わりゆくキミの想定線

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大変お待たせしました!ワダチイチロです!
マシュマロを送って下さりありがとうございます。

「時間を経て絵柄やデザインが変わってしまっても、同じキャラクターとして見ることができるか」というご質問ですが…。

正直、これは「場合による」と思います。
スカッとするような答えでなくてすみません…。

キャラクターの絵柄やデザインが、作品の初期と後期で変わってしまうのには様々な理由が考えられます。

①作品の展開に変化があった。
②作者の心身に変化があった。
③作品の売れ行きに変化があった。
④作品制作が長期に渡っている。
⑤作品が不条理をテーマとしている。
…など。

例えば①ですが、ある作品の物語がひ弱な主人公の成長を描いたものだとしたら、終盤までひ弱な見た目のままでいるわけにはいきません。
また例えば②ですが、ある作者が作品を制作するうちに技術に磨きがかかっていったとしたら、技術に応じた絵柄になっていくのは当然の結果と言えるかもしれません。

絵の単純な変化量に加えて、上記のような背景も考慮に入れると、大きな変化でも納得できる場合があるのですが、個人的に大事なのはココです。
この背景に「自分が納得できる何か・自分を納得させられる何か」があるかどうかです。

えー、ところで。

みなさんは『想定線(イマジナリーライン)』をご存知でしょうか?
これは映像制作におけるカメラワークのルールを指す言葉で、最近では漫画のコマ運びのルールとしても用いられます。
文章だけでは説明しにくいので図を用意しました。

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上の図のAとBを見比べてみて、どちらがより自然な流れだと感じましたか?
おそらくほとんどの方が「向かった方向に走り出しているAの方が自然だ」と感じたのではないでしょうか。
でも実は図のワダチ、AもBも動きとしては変わらず、向かった方向に走り出してはいるんです。
AとBの違う点、それは、ワダチを撮影しているカメラの位置にあります。

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[カット1]から[カット2]にかけて、Aのカメラはずっとワダチに向かって右側に位置していますが、Bのカメラは右側から左側へと移動しています。
この際、Bのカメラは、ワダチの進行方向に引かれていると想定される線=想定線を越えてしまっています。このせいで、ワダチがあたかも[カット1]とは逆の方向に走り出したかのように見えてしまっているのです。
このような誤認を避けるため、映像・漫画作品においては、想定線を越えるカメラ移動(カット編集)は行わない方が良いとされています。

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Bが不自然に見えるのは、おそらく、[カット1]から[カット2]への変化量が大きく連続性を感じさせないからでしょう。
要するに、欠けている連続性を補いさえすれば不自然さを緩和させることも可能なわけです。こんな風に。

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さてと、回りくどい説明は終わりにして結論を言いましょう!

[カット1]をキャラクターの変化前、[カット2]をキャラクターの変化後として、その間に連続性を補完する[カット1.5]、つまり「自分が納得できる何か・自分を納得させられる何か」を見出すことさえできれば、それは連続性のある1人のキャラクターとして成立すると考えます。

あなたの好きなキャラクターが、あなたの想定をはるかに越えて、かつて向いていた方向とは逆の方向に走り出し、しかもそれに大した理由がなかったらどうしましょう?愛するあの人が自分の知らない人に変わってしまったら?質問者さんは不安ではないですか?
ワダチに直接してあげられることは何もないですけど…もしそうなった時は、一緒に泣いてあげますよ。