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ユートピアズ/うめざわしゅん★★★

「ダーウィン事変」でこの人を知ったのだが、同僚がこの短編集を貸してくれたので読んでみた。

「ナオミ女王様に仕えた日々」
国が認定する「公認女王様」を育成するボランティアとして自らSMの奴隷になることを志願し、家庭内に女王様候補のお姉さんを迎え入れる小学生の潤一郎。それを優しく見守るパパとママ。ホームドラマ仕立て。
「どつきどつかれて生きるのさ」では漫才が社会の隅々まで浸透している。家でも会社でも、人々は相方を持ち、ボケたりツッコミを入れたりしながら生活している。相方と出会ってコンビを結成することは、結婚することと同じくらい重要な人生の節目である。そんな世の中で、理想のボケと出会ったツッコミ青年のドラマ。

…と書くだけでも、いかにぶっ飛んだ設定であるかがわかるだろう。
敢えてカテゴライズするならシュールな近未来SFということになるだろうか。
着想がとにかく新鮮で奇抜。あり得ない話を卓越した画力でもって、すごくリアルに、淡々と描く。設定の説明を徹底的に排しているところもいい。

そういえば「ヘイトウイルス」は少しアレンジされてフジテレビの「世にも奇妙な物語」に使われていた。でもこちらの原作の方がしっくりくる。

面白い。お勧めです。

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