見出し画像

Podcastの裏側〜収録機材編〜

 最近だんだんとポッドキャストをはじめる人が増えてきたように思います。とはいえ、RadioTalkやstand.fm等よりは少しばかり敷居が高く、どうしていいかわからないという人もいるかも知れないので、参考までに「そんない雑貨店」の収録環境、収録機材等について書き留めておきたいと思います。興味のある方はぜひ参考にしてみて下さい。

 今回は機材編ということですが、最低限パソコンが必要になります。もちろんスマホやタブレットでも収録・編集はできますが、ある程度編集の自由度を確保しようと思うと、どうしてもパソコンに分があります。
 僕の場合はMacBook Pro 16(2021)を使っています。ただしこれは別の仕事でも使うからで、実際にはそれほどCPUパワーは必要としません。動画編集じゃないしね。
 収録のときにはそれを外部モニターにつないで、片方は収録と通話ソフト、もう片方は収録の台本(実際にはメモ書き)を表示しています。
 収録中は通話ソフトは非表示にしておいてもいいし、収録用のソフトも確実に録音をスタートさせてあれば見えなくてもいいんだけど、やっぱり目に見えていた方が安心できるしなにかトラブルがあったときに対処しやすいので、できれば表示させておきたいところです。
「そんない雑貨店」の場合、通話にはDiscordを使っています。いろいろ試した中ではDiscordがいちばん音質がいい。最終的に96kから128kくらいのMP3に落とし込んではしまうけど、元の音質がいいに越したことはないです。
 以前検証したところだと、Skypeはある程度より上の周波数はバッサリと潔いくらいに切られてしまうので、これは現代の音声品質としてはあまりにも残念。もちろんそのぶん送受信データ量の削減には寄与しているのでしょうけれど、ADSL時代ならともかく、いまどきはそこまでデータ量を気にしなくてもいいんじゃないかな。
 というわけでDiscordを使っているのですが、そんないプロジェクトの各番組が有料配信しているaudiobookでは基本的にwavというCD品質の音声ファイルを使っているので、そうなるとやはり違いが出てきます。
 Skypeは通話中にファイルを送信すると「フォン♪」という送信音が入るので、これはこれでリスナーさんに対して「ファイルを送ったよ」という合図になるのですが、音質には代えられません。
「そんない雑貨店」リスナーの方は「あれ?でも『そんない雑貨店』では『フォン♪』っていう音が入っているんじゃ?」と思われるかも知れません。そうなんです。あれはSkypeの送信音を録ってあって、編集のときに入れているんです。
 確かにそんな音が入っていなくても気にならないとは思いますが、人間は無意識にいろんな音を聴いて認識しています。
 映画館で映画を観ると家で観るのとなにか違う、と思うことはありませんか?画面が大きいだけでなく、音が、なんかこう…、と。それは可聴域以下の音かも知れないし、サラウンドのつながりの良さかも知れません。マニアックな人を除けば、「ウーファーが」とか「サイドからリアにかけて」などとはいちいち考えないと思います。でもそれが、「おもしろかった」や「感動した」につながるから、「そんない雑貨店」でもそこは大事にしています。そのへんはまた別の記事で。

 閑話休題。
 僕が収録に使っているマイクはSHUREのBeta58Aというものです(見出しの写真)。これは指向性が強いのと丈夫なのが取り柄のマイクで、ライブなどでボーカルマイクとして使われることが多いです。
 自宅の部屋で収録していますので、家の内外からノイズが入ってきます。それをできるだけ拾わないように、口もとの音声だけを拾えるように指向性が高いBeta58Aを使っています。またインタビューのときもこれを複数本持っていって収録しています。
 このマイクがポッドキャストの収録に向いていると思うことのひとつは、「声が立つ」ということです。SHUREにはSM57というマイクもあって、こちらもライブ・ボーカルに使われるのですが、Beta58Aの方が高音域、低音域が若干ですが伸びます。そして高音域側が伸びているせいか、SM57よりも少しばかり抜けが良くなっているようです。
 この抜けの良さの付随効果として声が立ちます。
 インタビューにしても普段の番組収録にしても、声がまわりの音やBGMに埋もれてしまっては意味がありません。それは単にボーカルのボリュームを上げればいいというものではなく、周波数などのかねあいから聴き取りやすい状態で収録してやる必要があります。
 Beta58AはSM57に比べて高音域が伸びてはいますが、キンキンするようなことはなく、むしろ中音域が引き立っていて比較的丸い音、甘い声になるような気がします。コシのある音というか、しっかり聞こえるけれど硬くなりすぎない音という感じでしょうか。
 これにポップガードといって、マイクに息がかかってしまったときに「ブオッ」という音が入るのを防ぐネットをつけています。
 一昔前、テレビで使っているハンドマイクに黒や赤、青などのスポンジがついているのを見た覚えはありませんか。最近ではアーティストのレコーディング中の映像なども見られるようになりましたが、あのときにマイクの前についている丸い網のようなものです。

 このマイクをパソコンにつなげるために、オーディオ・インターフェイスを使います。僕が使っているのはbehringerのU-PHORIA UM2というものです(上の写真)。これはマイクの入力感度とイヤホンのアウトプットをつまみで調整できます。直感的に、かつ即座に調整できるので便利です。
 またBeta58Aはダイナミックマイクという形式ですが、コンデンサマイクを使うときにはファントム電源というものが必要です。オーディオ・インターフェイスにはファントム電源内蔵のものも多く、UM2もそのひとつです。コンデンサマイクを使いたい人はスイッチオン。
 マイクはマイクスタンドに刺して使用しますが、このときショックマウントを介して取りつけると不用意なノイズを拾わずに済みます。
 これはマイクを差し込む部分がゴムで宙に浮く構造になっているもので、これがないとマイクスタンドを立てている机に腕がぶつかったり、同じ机に置いているキーボードを叩いたときの振動が「ゴンゴン」というノイズとして拾われてしまいます。

 それから最後に部屋そのものですが、自宅をスタジオにしたり防音室に改造したりはできないので、できるだけ声が反響しないように工夫しています。
 実はここがいちばん聴いていて音の違いを感じるところかも知れません。
 部屋というのは意外と音が反響するもので、それをマイクが拾うと途端に安っぽい感じになってしまいます。ですので、僕の場合はマイクの背面にあたる壁にWhiteLeafという会社の吸音材を貼っています。
 吸音材はいろんなものが売られていますが、効果のないものもあるので注意が必要です。特に濃いグレーの、表面が波打っているスポンジ状のものはほとんど効果がないように思います。
 また、吸音材の代わりに部屋の中にたくさん衣類を吊すとか、マットレスを立てかけるという方法でもかなり反響を抑えることが出来ます。

 収録中の音声をモニターするために使っているヘッドホンもUM2に刺していますが、使っているのはiPodについていたイヤホンです。もう15年選手くらいじゃないでしょうか。
 このイヤホンは収録中だけでなく、編集中にも使います。プロの音楽制作現場ではSONYのモニターヘッドホンを使うのが一般的のようですが、あんまり良いヘッドホンで聴いてしまうと多くの人が聴く環境と違ってしまうおそれがあるのでこれを使っています。
 それにiPodやiPhone付属のイヤホンは実はけっこう音が良いです。

 もしご質問等があれば遠慮なくコメント欄にお書き下さい。


サポートありがとうございます。サポートのおかげで、新しい小説を書くことが出来ます。