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One Loveでなければ世界は変えられない。全然Everything is gonna be alrightじゃなくても〜ボブマーリー・ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ

音楽はあらゆるジャンルを聴く私としては
レゲエが特別、大好きというわけではないのだが
ボブマーリーはやはり”神”だと思う。

「ボブマーリー、ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ、レゲエ・サンスプラッシュ」デジタルリマスター版を映画館に観に行って改めてそう思った。

レゲエとは夏にビール飲んでBBQしながら聴く音楽だと
あなたがもし思っていたら、ぜひこのドキュメンタリーを観て欲しい。
レゲエとは楽しいダンス音楽ではない。
抑圧と搾取の歴史で苦しんできたアフリカ人の魂の解放の音楽だ。

1979年にジャマイカで開催されたレゲエ・サンスプラッシュの収録と当時のスラム街の様子と貧困に苦しみ険しい顔つきをした人々の表情やラスタマン達のインタビューを絡めて、後半は”神”ボブ・マーリーのパフォーマンスで解放された人々の恍惚の表情を映し出し絶頂に達する。

前半に出てくるパフォーマー達や彼らのインタビューの後に、ボブ・マーリーが登場した途端になぜ彼が”神”なのかが理解できた。

多くのラスタマンたちはアグレッシヴだ。
もちろん彼らの怒りは正当性が十分にあり誰も文句のつけどころはない。
けれども居心地の悪さを感じさせる。怒りを音楽で感じることはとても体力が要り、聴いている者を疲れさせるのだ。

ボブ・マーリーももちろん怒り、反逆を歌う。
けれども彼の音楽の根底にあるのは「慈愛」なのだ。
そして根底にあるのが「慈愛」だからこそ
国境と時代と宗教とを超えて心を揺さぶるのだ。

「Everything is gonna be alright」と歌う時
彼は全然alrightな表情をしていない。彼の目はとても悲しそうだ。
本当はalrightなんかじゃない事を彼は知っているのだ。
彼が目撃してきたものも、彼が死んだ後に世界で相変わらず起きていることもちっともalrightではない。

けれども彼はEverything is gonna be alright と慰めてくれる。
絶望の中からしかこんな慈愛は生まれて来ない。
ほとんど親鸞じゃないか!?

怒りや憎しみや反逆だけで世界は変えられないことは
もう私たちは痛いくらい思い知らされている。

そうか、やっぱ愛なのよ。
うんうんと一人頷きながら映画館を後にした。
私がヨガで伝えようとしていることは、やっぱりまちがっていない。


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