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【コラボレーターの仕事術】世界や社会とのつながりを感じることが世界平和への道 合同会社Fuan CEO 石崎 陸

小学生のときに聴いたジョン・レノンの曲に影響を受け、そこから世界平和について考えはじめたという石崎さん。海外で感じた差別や貧困を解決するためには現地で仕事を作ることが大切だと気付き、アフリカで養鶏場を運営し始めました。2021年には写真集を出版するなど、世界平和について長く活動されています。石崎さんが実際に海外に行って見えたこと、そこから何を感じて今の活動に至ったのかを伺いました。

■世界平和について考えるきっかけになったのは『イマジン』


ーー今までの経歴や、ウガンダに関わるようになったきっかけをお聞かせください。

石崎さん(以下、石崎):国際貢献に興味を持ったのは、小学校低学年のときです。当時小学校の教頭をしていた伯父と、旅行中に聴いた曲に衝撃を受けたんです。それがジョン・レノンの『イマジン』でした。

ちょうどイラク戦争が終わって数年だったので、テレビで戦争の映像が流れていたのを現実味を感じずに観ていました。伯父との旅行中、英語の曲が流れたので伯父に聞くと、ジョン・レノンの『イマジン』だと教えてくれました。その場で伯父が翻訳してくれたので、「あの映像はいま世界で起きていることなんだ」と気づき、旅行中に泣いてしまったんです。

「自分も何かしないと」と思い、そこから世界平和について考え始めました。最初はお金で解決できると思ったんです。サッカーが好きだったので、ロナウジーニョみたいになってお金を稼いで、それで世界を平和にしようと思いました。なので、毎日公園でサッカーの練習をしていましたね。小学校高学年から暴れん坊でしたが、小学校の卒業文集には世界平和への想いを書いたのを覚えています。

中学校1年生のときに、1ヶ月間アメリカにホームステイをしました。ホストファミリーと過ごす日々の中で、黒人差別みたいな一面を見てしまい、「これはお金では解決できない」と気づいたんです。でもどうしたらいいかはわかりませんでした。

高校2年生のときには、イタリアに1年間留学をしました。スーパーに毎日通っていたのですが、そこには物乞いをされている方がいて、自然と話すようになりました。

その男性が実はウガンダから来ていて、妻子を養うために出稼ぎに来ているんだと話してくれました。その時、途上国に必要なのは、お金の寄付だけではなく、”仕事を作ること”が根本的に必要だと思ったんです。

■アフリカで養鶏場を運営

石崎:それを聞いてから、「大学生になったら仕事を生み出すためにアフリカに行こう」と決めたんです。大学生になって、実際にアフリカのウガンダに渡航して養鶏場を建てました。そこで得た収益は、孤児院の子供たちの養育費にするというプロジェクトを日本人の友人と2人で始めました。

しかし、管理をしていた私が帰国して、養鶏場のニワトリが盗まれてしまったんです。天候にも左右されて、エサの仕入れが困難なこともあって、養鶏場は一時休止。
コロナの情勢もあって、子供たちはさらにギリギリの生活。何とかしたいと考えていたときに、ウガンダはフルーツがおいしいことを思い出しました。これを全世界の人に楽しんでもらって、それが孤児院の運営自立・雇用創出に繋がったら面白いんじゃないかと考えたんです。

そこから養鶏場の小屋でドライフルーツをつくって販売して、そこで得た利益で孤児院の子供たちが学校に行けて、しっかりした洋服が着られたらいいと思って計画をしました。

ーー高校生のときに決意して実際に行動した、その原動力は何だったのでしょうか。

石崎:おそらく社会にメッセージを訴えたかったんだと思います。僕は日本の教育に合わなかった人間で、中学生のときは結構暴れたりしていて。何か社会に言いたいと内に秘めていて、反骨精神みたいな部分があったのかもしれないですね。

ーー伯父さんが校長先生だったら起業は危ないとか、しっかり大学に行きなさいとか言われそうですが。

石崎:はい。起業もそうですし、ウガンダに行くときも母親に言われました。うちは母子家庭なんですけど、母が看護師ですごく真面目なんです。

ウガンダに行くと言った日は泣かれてしまいました。なぜ息子がそんなに危ないところに行かないといけないんだと。それでも、「ワクチンや予防接種は全部打っていきなさい」とか、「ちゃんと帰ってくると約束して」と、最後は私の背中を押してくれたんです。母には感謝しています。

■自分の目で見て聞いて知った本当の現実


ーー実際にウガンダに行ってみて、イメージは変わりましたか。

石崎:色々と考えさせられましたね。養鶏場をはじめて感じたこともあります。日本から持っていったファストファッションの洋服は、「作業で汚くなるから」と、私がわざわざ買っていったんです。でも、その服は貧困の搾取の上に成り立っています。そんな服を着て「貧困を助けよう」と言っているのは矛盾しているんじゃないかと。見つめるべきは、僕たちの思考や、一人一人の消費行動が世界をつくっているということなんです。

養鶏場の運営を半年ほどしていたときに、孤児院の運営母体であるNGOの理事に、「なぜ孤児院をはじめようと思ったのか」を聞いたんです。答えは「あなたたち先進国の人たちがアフリカというのを見たいと言ったから」でした。

最初は何を言っているのかわかりませんでしたが、よく考えたら、僕たちのイメージする“貧困やボロボロの服の子供”というアフリカのイメージを見せるためという意味だったんです。

それがわかったとき、頭が真っ白になりました。そういうイメージを利用した貧困ビジネスに、実は僕も加担していたというのがショックでした。SNSで世界のことを知った気になっていたんですね。

ーー今後の目標や、これからどういうことをやりたいと考えているのかをお聞かせください。

石崎:半年くらい前に『世界が世界に伝えるメッセージ』という写真集を出版しました。
これは「世界に生きている一人ひとりが、世界に対して何かメッセージを持っていたら世界はもっと素敵になるんじゃないか」という試みなんです。10カ国63人の方に「世界にメッセージを書いてください」とお願いして、写真を撮ったものを和訳と一緒に写真集にしました。

自分と世界、自分と社会がどうつながっているのかを想像しながら生きていく。「地球がきれいになれ」と思っている人はポイ捨てをしないように、世界がどうなってほしいかイメージをしながら生きていくことが、今の世界に必要ではないかと思っています。そういった社会と自分のつながりを感じられるような活動をこれからもしていきたいです。

そして、何より日本や世界のFanを増やしたいです。合同会社Fuanという会社名の由来は、「FunのFanであれ!誰かのFanであることが、Funに繋がる社会を創れ!」というモットーから来ています。日本のFan、世界のFanをもっと増やします。

ウガンダのフルーツ王計画も、フルーツを食べているときでもいいので、「ウガンダってどんな国なんだろう」と想像してもらえるきっかけがつくれたらと考えています。

▼ワクセルコラボレーター
合同会社Fuan CEO、ウガンダのフルーツ王
石崎陸さん

<プロフィール>
10歳頃
 John LennonのImagineを聞き、国際貢献に命を注ぐことを決意。
16歳~17歳
 イタリアに1年間留学。
19歳~
 ウガンダの孤児院運営自立を目指して養鶏事業を発足。

帰国後は、メディアには写らない社会問題に斬り込むワークショップ、講演会や写真展を日本全国で行う。

2021年8月には、「世界に住む1人1人が、世界に対して何か1つメッセージを持っていたら、世界は素敵になる」というアイデアから、世界各国で「世界に1つメッセージを書いてください」とお願いして撮影してきた写真の写真集を出版。全国の書店で販売されている。

現在、合同会社Fuanの代表として、日本の森林価値の最大化を目指す林業と、ウガンダでドライフルーツを作り、販売収益を孤児院の子供たちに還元するプロジェクトを進めている。
著書に『世界が世界に伝えるメッセージ』がある。

<代表作・主な実績>
著書 『世界が世界に伝えるメッセージ』

会社HP

国産木材ブランド「都舟」「都旅」

■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY『ワクセル』
ワクセルは、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。健全に学び、チャレンジし、成長し、達成し続ける人が次々と集まるコミュニティを作り続けます。 さまざまな分野で活躍する著名人や経営者、クリエイターの方々とコラボレートすることにより、下記の取り組みやコンテンツ制作を行っていきます。

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