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【コラボレーターの仕事術】おっぱいのアートで社会課題を問いかける 株式会社andGALLERY 代表取締役 タナカ ナミ

今回インタビューさせていただいたコラボレーターは、タナカ ナミさんです。現代アーティストであり、おっぱい展 代表として、ご自身の体験から感じた社会課題をアートを通して問いかける活動をされています。どんなことを思って事業を展開しているのか、今までの経験や今後のビジョンについて伺いました。

タナカ-ナミ

■絵を描くことが自己表現だった

ーー今までの経歴や現在に至るまでの話をお聞かせください。

タナカさん(以下、タナカ):最初に芸術家になろうと思ったのは6歳のときです。子供の頃は人見知りだったので、母がいつでも絵が描けるように紙とペンを持たせてくれたんです。絵を描くことは私が自己表現をする手段でした。

私は子供らしくない絵を描く子でしたが、絵画教室の先生が「大人っぽくて良い」とほめてくれました。自分らしくいられるのが絵を描いているときだったので、「将来は芸術家になろう」と思いました。それからずっと油絵や水彩画を描いていましたが、アートには彫刻や陶芸などがあると知り、大学では造形的な立体物を勉強したくて陶芸を選びました。


ーー卒業してからの進路はどのように考えていたのですか?

タナカ:私のなかで雇われる働き方がピンとこなくて。自分で陶芸家と名乗れば、陶芸家になれると先生から聞いて、卒業と同時に21歳で陶芸家デビューしました。最初は技術を磨けば仕事になると思っていましたが、営業も何もできない状態で陶芸家と名乗っても仕事はなく、アルバイトも経験しました。

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■妊娠して体感した女性を取り巻く課題

タナカ:この先を考えていた22歳のとき、妊娠をして結婚しました。子供ができても何も変わらないと思っていましたが、アートは仕事ではなく趣味と思われたり、子供がいるのにやりたいことをすると批判もあり、世の中の厳しさを知りました。

陶芸家を続けたい気持ちはありましたが、焦れば焦るほどただの土の塊にしかなりません。余裕もなかったので陶芸家からは一度離れて、生活していくために仕事を探しました。子供がまだ1歳にもなっていなかったので、面接に行っても落ちてばかり。陶芸家でも仕事がなく、子供がいると面接で落とされてしまう。世の中の女性は生きづらいと感じましたね。

ーーそこからまたアートの世界に戻られたんですよね。

タナカ:陶芸家も落ち着いたらまた活動できると思っていましたが、22歳で子供を産んでから2人目、3人目と産み、気づけばすでに32歳。「アーティストでもなく、ただの主婦として自分らしさもなく生きている」と、昔の自分が今の自分を見たらがっかりするだろうと感じました。まだ取り返せると思い、32歳で陶芸家の個人事業主として開業しました。

そして、習い事やイベント、赤ちゃんを連れていけるレストランなどを紹介する『フリーペーパーdrops』を作りました。授乳室やおむつを替える場所があるかなどの、実体験を元にしながら、営業もデザインも1人ですべてこなしました。

陶芸教室も出張スタイルにしました。「幼稚園や学校、ご自宅でも行きます」とフリーペーパーに載せたところ、仕事がたくさん来るようになりました。そのうちに、ママ向けのイベントの主催や企画の依頼をたくさんいただき、それが今の会社につながっています。

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■「アートとは何か」問いかけて見つけた表現方法

タナカ:陶芸家としてやっているうちに、次第に違和感が出てきました。世の中に何かを伝える表現としての作品なのに、お客さんは器の値段しか見ていません。売れる作品も作っていましたが、自分の表現したいものと売れるものでズレが生じていました。世の中に問いかけるような作品を作りたいはずが、「これでは器屋さんになってしまう」と感じました。

アートとは何かという悩み、家庭、子育てなど精神的な負担から心の病気になった時期もあります。心療内科の先生に相談したところ「あなたの病名は芸術家だ」と言われました。こうあるべきと枠に縛られず、芸術家なんだから思うようにやれば良いと言ってもらい、心がすっきりしましたね。誰かに認められるためのアートではないと気づきました。

その後、胸に腫瘍があることが発覚しました。幸い乳がんではなかったのですが、誰にも相談できずに半年くらい悩んでいました。心の病気のこと、腫瘍ができたこと、アーティスト活動、母として生きてきたこと......。そのすべてを含めて何かできないかを考えてできたのが、『おっぱい展』です。私は子供3人を母乳で育ててきて、おっぱいはすごく身近なものなのに、なぜか周りから変な目で見られてしまうんです。

授乳室がなくて施設の端っこで母乳を飲ませていたら、「トイレに行ってくれ」と言われたこともあります。そういう社会の違和感をアートで表現して世の中に伝えたいという想いからおっぱい展は生まれました。最初は地元の福岡県田川市で、チャリティーに賛同してくださる方々とグループ展という形で開催しました。

2回目はもっと全国に印象に残るようなことをやりたいと思い、チャリティーイベントではなく、全国からアーティストを募集しました。1人20万円の製作費を出して、1人1部屋の個展としておっぱいの世界を作ってもらうように依頼しました。

それでもやはり資金はないのでクラウドファンディングにも挑戦。残念ながら社会貢献のためのアートはなかなか理解されず、達成はできませんでした。アートで発信する意味はあるのかと厳しい意見はありましたが、お金を集めて寄付するだけでは持続的な活動にはなりません。社会課題に気づいていない人たちにきっかけを与えたかったのです。

おっぱい展にはさまざまな方が関わってくださり、最初は怒られたり、名前の変更を提案されたこともあります。やっていることは自己満足なんじゃないかと思い、社会からの評価を確かめるために、おっぱい展を福岡デザインアワードに応募しました。名前で落とされるかと思いましたが見事に入賞し、良い取り組みだと評価されたことが自信につながりましたね。


ーー今後のビジョンや、コラボレートしてみたいことなどありましたら教えてください。

タナカ:株式会社andGALLERYという私の会社は、アートで社会を良くしたいというソーシャルビジネスとして作りました。単に作品を売るのではなく、アートとコラボレートすることで、もっと表現して伝える活動にしたいです。

今はコロナの影響でおっぱい展が開催できませんが、法人向けに提供している『妄想美術室』というワークショップに力を入れていきたいですね。私は「世の中全員をアーティストにしたい」というビジョンがあって、アートと絡んだら新しい価値が生まれると思うんです。どこでどのようにつながるかわからないので、みんなで絡むと面白いことができると思っています。


▼ワクセルコラボレーター
現代アーティスト・おっぱい展 代表・株式会社andGALLERY 代表取締役
タナカ ナミさん

<プロフィール>
大分県立芸術文化短期大学 工芸デザイン科 卒業。
アートの自由な楽しさを広めるため、学生の頃よりボランティアとしてこども向けのアートワークショップを企画。
卒業後は、陶芸家(アーティスト)として創作活動をスタート。
22歳で母親となり「女性として、母として、社会の中で感じる違和感をアートで解決したい」と子育てをしながらママのための「フリーペーパーdrops」 の発行や、2014 年より、幼稚園や子育てサークル・美術館・企業などで出張陶芸教室やアートワークショップや出張陶芸教室を行い、2017年には子どもから大人まで年間 500名以上の方にワークショップを行う。
2017年自身の右胸に腫瘍(良性)ができた経験から「おっぱい展」をスタート。
2019年 NY ブルックリンでの「おっぱい展」企画・主催をきっかけに、「ART and 〇〇で世の中をもっと楽しく」をコンセプトにした株式会社andGALLERYを設立。
現在は、アーティストとしての活動の他、アート × 〇〇のコラボレーションで社会課題の解決に繋げる企画などを行っている。

<代表作・主な実績>
第 20 回 福岡デザインアワード「おっぱい展」 入賞
and GALLERY
おっぱい展


■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY『ワクセル』
ワクセルは、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。健全に学び、チャレンジし、成長し、達成し続ける人が次々と集まるコミュニティを作り続けます。 さまざまな分野で活躍する著名人や経営者、クリエイターの方々とコラボレートすることにより、下記の取り組みやコンテンツ制作を行っていきます。

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