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【コラボレーターの仕事術】日本の福祉のイメージを身近で明るいものに 福祉KtoY代表/コミュニティデザイナー 平岩 なつみ

今回、福祉が従来持っているイメージを変えるべく、学生時代から地域福祉活動や福祉関連のイベントに取り組み、現在では、福祉に興味関心ある若者の為のコミュニティの運営やシェアハウスの運営も行っている『平岩 なつみ』さんにインタビューさせていただきました。

平岩さんは幼少の時から福祉に触れる機会があり、福祉に携わることを目標に大学でも学ばれていました。
その中で、福祉を身近に感じづらいことや福祉業界への進路を反対される社会的風潮を見て、課題意識を感じてさまざまな福祉活動をスタートされました。

平岩さんが福祉に関する活動を始めるきっかけから医療福祉活動を行う上で大事にされていること、仕事で大切にされていることやビジョンについてインタビューさせていただきました。

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福祉を身近なものとして感じられるようなイベントを作りたい

インタビュアー)
福祉に関する活動を始めるようになったきっかけについてお聞かせください。

平岩さん)
福祉KtoYの活動を始めたのは大学3年生の4月からです。

幼少の時から祖父が認知症で福祉職の方にお世話になる機会が多かったこともあり、私にとっては福祉は身近な仕事でした。
その影響で高校生の時から福祉の仕事をしようと思って大学も選びました。

しかし、世間的には福祉の仕事には3K(きつい、汚い、給料が安い)のイメージがあったり、人によっては身近に感じられない、自分には関係ないといったマイナスのイメージが付いていると感じました。
実際に、私の周りには福祉を仕事にしようとする人は少なかったです。

このように今後高齢化社会が進んでいく中で、興味があるのにマイナスイメージによって進路にすることをためらってしまう私のような学生がいることや、親や学校の先生といった周囲の人から止められることが福祉業界の現状だと課題意識を持つようになりました。

大学生になって社会人の方や地域課題の解決のために学生団体で精力的に活動している同世代の学生たちとの出会いが増え、「自分が将来本当にやりたいことは何か?」を考えさせられる機会に恵まれました。
その時に「福祉のマイナスイメージを払拭したい」という想いが自分の中にあることに気づいたんです。

ご縁と自分の想いによって、ただサークル活動をするのではなく、自分が今学生という立場だからこそできることに取り組んで、実際に社会への働きかけをしていこうという思いから、福祉活動を始めました。

インタビュアー)
実際にどのようなことから取り組みましたか。

平岩さん)
真っ先に取り組んだのは、地域福祉活動で、高齢者の方のお宅訪問を金沢市から委託事業として行い、身近にある福祉への関わり方を学生へ伝えようとしました。

また、自分たち自身もより福祉への理解を深めるために「フクシル」というイベントを開催しました。講師の方をお招きし、その方のお話から学んだり、同時に参加者と一緒に学べる形にしたり、自分も周りも知識を深める機会を作りました。

今では1年に1回程度開催している「AMAZING FUKUSHI FESTA」は、もともと福祉の就活イベントとしてつくりました。
業界を良くするためにも、福祉に興味があまりない人に興味を持ってもらい、少しでも興味がある学生さんの進路選択に入るように、そして、福祉に携わっている人がよりいきいきと働けるようになるように、という3つの目的を詰め込んだ盛りだくさんのイベントにしました。

最初のイベントではバレンタインデーが近かったことから、「バレンタイン×福祉」というテーマで、参加特典で障害者就労支援施設でつくられたチョコレートをプレゼントしたり、石川県の各地の就労支援施設からスイーツを集めたスイーツバイキングや介護ロボット体験を無料で行ったりしました。
その時は100人くらい参加していただいたこともあり、自信になる経験となりました。

その後もイベントは継続していて、昨年行った「AMAGING FUKUSHI FESTA  Ⅳ」では、金沢21世紀美術館を使わせてもらい、今、私が働いている東京のデイサービスをオンラインで繋ぎながら現地の方だけでなく、全国どこからでも参加できるイベントを開催しました。
企画を考えるところから現地の高校生や大学生の皆さんに経験してもらうなど、福祉にふれる機会作りをしています。

実際に、そのイベントをきっかけに、福祉は身近でないと感じていた高校生が、福祉を身近に感じるようになり、大学生になった今でも福祉KtoYの運営メンバーとして関わり続けてくれています。

私自身、行政の福祉就活イベントに参加したことがありますが、参加者数の少なさや殺風景な印象に対し、あまり興味を持てないなと感じた経験がありました。

だったらもっと福祉に触れる機会を作れるようにいろんなイベントを参考にしながら、学生目線で参加したくなるようなワクワクするイベントを自分でつくろうと思ってつくってきました。

また、医療福祉学生・若者コミュニティ「WelCaMe」は去年7月に立ち上げを行い運営を始めました。
コロナウイルス蔓延の影響から、基本はオンラインで活動していますが、リアルな繋がりをつくる場所として、シェアハウス運営にも携わっています。

当初はすでに福祉を学んでいる学生さん向けに、学校の先生や親以外でも相談先となるような、学生同士や卒業生との横の繋がりを作れるような場所にしようとしていましたが、今は福祉を学んできたかどうかに関わらず、福祉に興味があり、これから学びたい、福祉業界で働きたい、業界に貢献したいと思う若者ならば誰でも参加できるようにしています。

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ご縁に感謝し、大切にする

インタビュアー)
医療福祉活動を行うにあたって、大切にされていることは何でしょうか。

平岩さん)
私の人生理念でもありますが、「ご縁に感謝する」ということです。

その時その場でしか出会えなかった人たちがたくさんいると思っています
その時のチャンスやご縁を大切にして選択をしています。

例えば、昨年5月から今年の1月まで、東京都北区王子で“医療者”の集まるシェアハウス「REGIEハウス東京」の管理人にチャレンジしました。
“医療者”とは、「資格の有無に関わらず、医療福祉に想いがあり、『人を幸せにしたい』という想いを持つ人」のことです。

学生時代にREGIEの代表の方と知り合い、東京で偶然再会して「管理人をやってみませんか?」と言われたのが始まりでした。

管理人時代に、赤字経営が続いていた同系列の「REGIEハウス大阪」のオーナーにチャレンジする機会をもらい、10月からそちらの運営責任者にもなっています。
現在は新たな管理人を立ててリニューアルし、「リバ邸GIFT」という名で運営をはじめ、先日シェアハウス存続をかけたクラウドファンディングも成功させました。

大阪にはもともと縁もありませんでしたが、現管理人の看護学生を筆頭に、たくさんの夢ある“医療者”たちが、そのシェアハウスを居場所として大事にしてくれている様子を見て、自分が関わることでこの場所を守り続けご縁を紡いでいければと思い関わっています。

リバ邸GIFTのクラウドファンディングを終えた現在は、石川県能美市から委託していただいた、医療福祉の現場と学生・若者とのマッチングイベントを企画運営するコーディネーターのお仕事に力を入れています。
このイベントを、「WelCaMe Festa in 能美」と名付け、高校生・大学生と、福祉事業所の若手職員の皆さんとが一緒になって、企画運営に取り組んでいます。
内容は、福祉事業所のご利用者様のなりたい姿やオシャレしたいという願いを叶え、福祉の仕事の魅力の本質を学生さんたちに伝えながら、誰もが輝ける最高のステージをつくる「ごちゃまぜファッションショー」というイベントと、能美市の事業所を知ってもらい、各事業所でのインターンシップにつなげるための「WelCaMe Match in 能美」というインターンシップフェスの二本立てです。

この仕事をいただけたのも、もともとは学生時代にお世話になった能美市役所の方からお声がけいただいたのが始まりなので、ご縁を大事にするといろんな機会やチャンスがいただけるなと思います。

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いろんな人の橋渡しをして、幸せをつくる

インタビュアー)
エネルギッシュに動けている原動力は、どこから来るのでしょうか?

平岩さん)
いろんな人のご縁の連鎖をつくり、幸せをつくっていると感じられることが原動力になっています。

自分の​​イベントを通じて、本来出会うはずのなかった人同士が出会うきっかけをつくり、その後、お付き合いして結婚をされたご夫婦がいらっしゃるのですが、このように自分の活動を通していろんな人同士の出会いや幸せが生まれているなと思うと、とてもうれしいですし、頑張って続けてきて本当によかった、また頑張ろうという気持ちになります。

私にとっての幸せとは、自分の身近で大切な人が幸せでいてくれることなのですが、そこに至るためには、彼ら・彼女らの大切な人も幸せでなければならない。
そう気づいた時に、私は幸せになってほしいと思う大切な人が多すぎて、自分一人の力でできることには限りがあると感じました。
けれども、自分の大切な人や、大切な人の大切な人が困った時に手を差し伸べてくれる人が世の中に増え、生きづらさを抱えた人たちに真っ先に寄り添ってくれる医療福祉の仕事をしている人たちがいきいき働ける世の中になったら、社会はどれほど生きやすくなるだろう。
そんな社会を実現できたら、きっと、私の大切な人も安心して幸せに生活できるようになるし、自分がそのことに貢献できたら、この上なく幸せだろうな・・・。そんな想いに至ったことが、私が今の活動を続けられる理由です。

私は、福祉の仕事のイメージを変え、目の前の困った人に自然と手を差し伸べられる人、すなわち「福祉な人」を世の中に増やしていくことをビジョンに掲げる今の活動が、社会にとって価値あるものだと信じているからこそ、続けてくることができました。

あとは、ご縁はもちろんですが、ワクワクするかどうかも大切にしています。
自分一人で仕事をする訳ではないので、誰と一緒に仕事をさせていただくかはとても大事だと思います。一緒に仕事をしてワクワクできるかの観点を大事にしています。

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どんな人でもいれるような、コミュニティづくり

インタビュアー)
今後のビジョンを聞かせてください。

平岩さん)
長野県伊那市にある実家をごちゃまぜのシェアハウスにしたいです。

私は一人っ子で、父親を大学4年生の時に病気で亡くしておりまして、母親には実家で一人暮らしをさせてしまっているので、ここ2、3年のうちに、実家に帰りたいと思っています。

そして、実家を改装し、地域の高齢者や障害者や子どもから大人まで、いろんな人の居場所になれて、さらにはこれまで各地でご縁があった方々が宿泊できるゲストハウス機能もついたシェアハウスを母親と一緒につくりたいです。

そこで子育てもしたいですし、仕事を創ることもできたらと思います。
農業や農作物の加工販売、赤ちゃんからお年寄りまで集まってくつろげる地域の居場所となるようなカフェや福祉事業所の運営など地元に貢献できるような場所を作っていきたいです。

こういった場所を全国にも広げて、全国のWelCaMeメンバーが集まれるシェアハウスをさらにいろんな場所につくって、医療福祉業界をよりよくしていこうという想いを持った仲間たちや友達が各拠点にいて遊びに行ける、という形が理想です。

あとは福祉教育を拡げていきたいです。
国公立大学では福祉を専門に学べる学部、学科があまりないので、福祉を学べる大学を増やしたいと考えています。
そこで、自分が学生達にいろいろなことを伝えていけるような存在になりたいです。

また義務教育にも福祉の学びを取り入れられるようにと思っています。
福祉KtoYでは、私の学生時代から「リアル人生すごろく」という、遊びながら福祉について学べるボードゲームを作っていて、その時の対象や目的に合わせてマスの中身やルールや形を変え、これを使ってワークショップを行っています。最近はリアルで集まってボードゲームをすると、コロナウイルスの感染リスクがあるため、オンラインでワークショップを開催しています。

こちらのボードゲームは福祉の知識を学べますし、お互いの異なる価値観を知ることもできる仕様になっていて、いろんな団体さんにお配りして、その団体独自のバージョンをつくって共有していただく取り組みも行っています。そうすることでたくさんの人に体験してもらえたらと考えています。

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しんどい気持ちは成長痛であり、喜ばしいこと

インタビュアー)
20代、30代のこれからチャレンジする人に一言お願いします。

平岩さん)
いろんな人と出会って、やったことないものにチャレンジしてみる、いただいたご縁を大切にしていけるといいと思います。

もともと私は積極的にチャレンジするタイプではありませんでした。
小さな一歩でもいいのでチャレンジしてきたことで、失敗は失敗ではなく全て学びになったなと思います。

私が昔人間関係で悩んでいたときに経営者さんに言ってもらって、印象に残っている言葉があります。
「辛い時、しんどい時、それを乗り越えたときに人は成長するから、むしろ喜ばしいことなんだよ。辛いな、しんどいなって思った時は『成長痛キタ――(゚∀゚)――!!』って思えばいいよ」って・・・。私も辛い時、しんどい時はいつもこの言葉を思い出して乗り越えてきましたし、今もそうしています。
チャレンジする人は様々な壁にぶち当たります。その時はぜひ「成長痛」だということを思い出し、乗り越えていってほしいです!

一同)
長いお時間、ありがとうございました。


▼ワクセルコラボレーター
平岩 なつみさん
https://waccel.com/collaborator/hiraiwanatsumi/

<プロフィール>
金沢大学地域創造学類福祉マネジメントコース卒業。
大学3年生の時に学生団体「福祉KtoY」を立ち上げ、地域福祉活動や福祉のイメージアップ・魅力発信活動を開始。現在法人設立準備中。

新卒で医療福祉ベンチャー企業に入社後、2020年に独立し、全国医療福祉学生・若者コミュニティ「WelCaMe」立ち上げや様々な福祉イベントの企画運営や医療福祉系シェアハウス「REGIEハウス」東京・大阪の運営等、活動は多岐にわたる。

■代表作・主な実績
2017年7月9日  第2回学生団体総選挙オールジャンル部門準グランプリ受賞
2017年12月9日 第3回学生団体総選挙ダイバーシティ部門グランプリ受賞
─ 取り組んでいることを教えてください。
1.全国医療福祉学生・若者コミュニティWelCaMeの運営
2.スカウト型医療福祉就活イベントWelCaMe Match
3.AMAZING FUKUSHI FESTA(福祉のイメージが変わる、福祉がもっと身近になるイベント)
4.リアル人生すごろくプロジェクト
5.ごちゃまぜカフェ&シェアハウス(準備中)等
6.WelCaMe Festa(ごちゃまぜファッションショー&医療福祉系インターンシップフェス)

■公式ホームページ、SNS等
ウェブサイト
https://peraichi.com/landing_pages/view/fukushiktoy
インスタグラム
https://www.instagram.com/fukushiktoy/
Twitter
https://twitter.com/fukushi_ktoy
Facebook
https://www.facebook.com/fukushi.KtoY

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持続可能な社会づくりや社会課題の解決のための各種取り組み、講演会、トークセッションを開催しております。

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