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2022年映画ベストテン(邦画編)

2022年キネマ旬報ベストテンの発表も間近に控えているということで、ここで2022年のマイベストテンを発表させていただく。

まずは邦画ベストテン。
<邦画 2022年公開>
1.春原さんのうた
1.ケイコ 目を澄ませて
1.LOVE LIFE
4.メタモルフォーゼの縁側
5.こちらあみ子
6.ちょっと思い出しただけ
7.マイスモールランド
8.ある男
9.愛なのに
10.恋は光

<スペシャル・メンション>
そばかす
ハケンアニメ!
窓辺にて
THE FIRST SLAM DUNK

以上がベストテン(+スペシャル・メンション)のラインナップだ。ベストワンが3作品になったのは、どうしても甲乙つけがたく、特別な映画体験を与えてくれた3作品であったため、同率とさせていただいた。感動した瞬間の多さであれば『メタモルフォーゼの縁側』が1番だった。『ちょっと思い出しただけ』は一昨年の東京国際映画祭でのプレミア上映があまりにも心に残っていて、コロナ禍ということもあり、思い出深い作品となった。
『恋は光』は、永遠の推し・西野七瀬さんが史上最高に輝いていた映画であり、原作漫画も非常に大好きなため、どうしてもベストテンに食い込ませてあげたくなるような、応援したくなる作品だった。惜しくも選外となったスペシャル・メンションの作品もベストテンと遜色ない作品ばかりで、特に『そばかす』はベストテンを決める当日に観て大泣きしたため、入れようか悩んだが、スペシャル・メンションとさせていただいた。『THE FIRST SLAM DUNK』は比べるものがないほど素晴らしかったためスペシャル・メンション。

<主演女優賞>
○岸井ゆきの(ケイコ 目を澄ませて/神は見返りを求める/やがて海へと届く)
西野七瀬(恋は光)
倍賞千恵子(PLAN75)
伊藤沙莉(ちょっと思い出しただけ)
吉岡里帆(ハケンアニメ!)
木村文乃(LOVE LIFE)

主演女優賞は岸井ゆきのさん。今年鑑賞した3作品で主演を張っており、特に『ケイコ 目を澄ませて』での肉体にケイコを宿した演技が素晴らしすぎた。他の2作でも輝きを放っていたため、受賞に至った。次点としては、『LOVE LIFE』での伝説のダンスシーンを残した木村文乃さんも素晴らしかった。また、『PLAN75』で強く印象に残るセリフ「じゃあどうにかしろ」を放った倍賞千恵子さんも圧巻だった。

<主演男優賞>
○稲垣吾郎(窓辺にて)
妻夫木聡(ある男)
松坂桃李(流浪の月)
森田剛(前科者)
佐藤二朗(さがす)

主演男優賞は稲垣吾郎さん。『窓辺にて』での、相手を受ける態度が非常に素晴らしく、それでいて自分らしさを失わない、誠実な人柄が出た芝居だった。次点は妻夫木聡さん。『ある男』で感情を露わにしそうになりながらも、なんとか理性で抑える様から、人生を感じさせられた。『前科者』の森田剛さんの演技にも引き込まれた。

<助演女優賞>
○河合優実(ちょっと思い出しただけ/愛なのに/PLAN75/ある男)
前田敦子(そばかす)
夏帆(さかなのこ)
伊藤蒼(さがす/恋は光)

助演女優賞は昨年新人賞に輝いた河合優実さん。今年も良作に多数出演し、独自の輝きを放っていた。温度は低いが、魅力的で、知性とかわいげを感じさせられる素晴らしい女優さんだと思う。青木柚と並び、これからの邦画界には欠かせない存在だ。『そばかす』の前田敦子さんも素晴らしかった。芯の強さと、共に寄り添えるやさしさを兼ね備えた素敵な役柄だった。

<助演男優賞>
○磯村勇斗(前科者/PLAN75/さかなのこ)
柄本明(ある男)
三浦友和(ケイコ 目を澄ませて)
奥平大兼(マイスモールランド)
柳楽優弥(さかなのこ)

助演男優賞は磯村勇斗さん。3作品で印象的な役を演じていて、自らの立場と目の前の相手との間で揺れ動くような役が多かったが、絶妙に演じ切っていた。また違う役柄の磯村勇斗さんも楽しみだ。あとは『ある男』の柄本明は恐ろしかった。今村昌平の『うなぎ』の世界からそのまま出てきたような老獪な役で、物語を締めていた。『ケイコ 目を澄ませて』でボクシングジムのオーナーを演じた三浦友和も見事だった。

<監督賞>
○三宅唱(ケイコ 目を澄ませて)
深田晃司(LOVE LIFE)
杉田協士(春原さんのうた)
森井勇祐(こちらあみ子)
早川千絵(PLAN75)
松居大悟(ちょっと思い出しただけ)

監督賞は『ケイコ 目を澄ませて』の三宅唱監督が受賞された。ケイコの日常を、東京の下町を舞台にフィルムカメラで淡々と捉えて、生きた人間の物語を生み出したその手腕に拍手。杉田協士監督の詩的な物語を作り出す創造力も讃えたい。

<脚本賞>
○深田晃司(LOVE LIFE)
松居大悟(ちょっと思い出しただけ)
今泉力哉(愛なのに)

脚本賞は『LOVE LIFE』の深田晃司監督が受賞された。ひとつの曲をベースに、何年もかけて奥行きのある人間ドラマを書き上げたその胆力が、日本映画史に残る名作を生み出したのだと思う。

<脚色賞>
○メタモルフォーゼの縁側
○恋は光
さかなのこ
春原さんのうた
THE FIRST SLAM DUNK

脚色賞は『メタモルフォーゼの縁側』と『恋は光』が受賞した。漫画原作の映画が増え、玉石混交の作品が多い中、この2作は大成功を収めたと言っても過言ではない。漫画に忠実でありながら、映画でしかなし得ない表現で、感動を与えてくれた。これからの漫画原作にも希望を忘れないようにしたい。

<音楽賞>
○THE FIRST SLAM DUNK
ちょっと思い出しただけ
LOVE LIFE
こちらあみ子
メタモルフォーゼの縁側

音楽賞は『THE FIRST SLAM DUNK』が受賞した。これはぶっちぎりだった。音楽のカッコよさ、かかるタイミング、全てが完璧で最高。バスケがしたくなる。

<撮影賞>
○岩永洋(こちらあみ子)
飯岡幸子(春原さんのうた)
山本英夫(LOVE LIFE )
近藤龍人(ある男)
四宮英俊(窓辺にて)
月永雄太(ケイコ 目を澄ませて)

大混戦の撮影賞を制したのは『こちらあみ子』の岩永洋撮影監督。圧巻のデビュー作『こちらあみ子』で、ウェス・アンダーソンばりのショットを積み重ねた岩永監督の手腕を褒め称えたい。
『春原さんのうた』だけでなく『偶然と想像』でも素晴らしいショットを撮った飯岡監督も、日本映画を支える1人だ。

<新人俳優賞>
○大沢一菜(こちらあみ子)
嵐莉菜(マイスモールランド)
坂元愛登(ある男)

新人俳優賞は『こちらあみ子』の大沢一菜さん。
この人抜きでは、この映画の成功はなかった。あみ子だった。『マイスモールランド』の嵐莉菜さんも素晴らしい。自分の出自を臆すことなく曝け出し、真実味を帯びた役を日本映画で演じ切ったというのが見事。『ある男』の坂元愛登さんも印象に残った。久しぶりに子役の演技で泣いた。

<新人監督賞>
○森井勇祐(こちらあみ子)
早川千絵(PLAN75)
川和田恵真(マイスモールランド)

新人監督賞はこれも『こちらあみ子』の森井監督が受賞。新人離れした圧倒的なデビュー作だった。末恐ろしい。早川千絵監督も野心的なデビュー作で、日本映画に期待を持たせてくれる監督だ。川和田監督も、社会性と物語性を両立しつつ、強いメッセージを観客に残すことの出来る監督として、これからの作品も楽しみにしている。

<ドキュメンタリー賞>
○ぼけますから、よろしくお願いします〜おかえりお母さん〜
香川1区

ドキュメンタリー賞は『ぼけますから、よろしくお願いします〜おかえりお母さん〜』が受賞した。ずっと泣いていた。マスクがびちゃびちゃになる程泣いた。こんなに泣いたことはないほど泣いた。家族って、命って、強い。

<アニメーション映画賞>
○THE FIRST SLAM DUNK

アニメーション映画賞はダントツで『THE FIRST SLAM DUNK』。期待を上回るどころか、もう、スラムダンクというコンテンツの終焉を感じさせるほどに、完璧にファンを満足させる作品が生まれてしまった。井上先生は神様だった。


以上が2022年映画ベストテン(邦画編)でした。邦画は面白いです。まだ多くの人に届いていませんが、確実に誰かの心に残る作品ばかりです。ぜひ興味のある作品があれば、鑑賞していただければと思います。

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