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50万円から1000万円へ

掟破り

 相場を引退してから約2ヶ月半。8月も終盤。給料は生活費やローンの返済に充てた分以外、全て貯金していた。6月末にちょうどボーナスが入ったことは大きく、口座には50万円がたまっていた。(実はキャンバスを空売りしたとき、私は銀行からカードローンで約20万円をすでに借金して資金に当てていた。なのでトータルでは−21万円の借金になっていた…)。

 相場が怖いという感覚は残っていたものの、株価の情報はたまに見ていた。また少し株をやりたくなっていた。ただ以前のようなギャンブル投機はもうできない。今まで放置していた需給やアルゴリズムと呼ばれるものについて勉強しないと結局今までと一緒だ。本気でそう思った。そして、株はもうやらないと伝えた弟に心の中で謝りながら、証券口座に50万円を移した。


4422 VALUENEX

 9月に入った。皆に人気のある銘柄は避け、これ以上は下がらないがリターンも期待できるであろう小型のマザーズ銘柄を調べた。目に止まったのは以前から知ってるVALUENEX(4422)。時価総額は20億円弱。ビッグデータ関連。チャートは上場してからずっと下降を続け、底を横横していた。手垢はまだついていない。業績はパッとしなかったが将来に期待を持てる事業内容だった。他のビッグデータ関連銘柄(ALBERTやユーザーローカル)の決算が先に出ていたので比較した。するとあちらの業績は伸びていた。DXは国策だし、これは思惑でVALUENEXもくるのではと思い、フルレバで約160万円分買った。もし万が一倒産しても100万円弱の損失。これならカードローンとか使って自分だけで返せる。独身だし、この先の人生失うものはこれ以上ない。
 買ってからすぐに運良く、4422は動き出した。しかもかなり強い上昇だった。決算が近づいてきて同じように考えた人達が思惑で買ったと思われた。頭と尻尾はくれてやれ。腹八分目でいいんだと言い聞かせ、勢いのある内に売却した(今まではこれができなかった)。840円で買った株は1320円で売れた。資産は150万円になった。


4575 CANBAS


 9月半ば、次に選んだ銘柄はキャンバス。退場のきっかけとなった銘柄だったが、不思議と買うことに怖さはなかった。以前のIRをチェックすると治験しているCBP501の第Ⅱ相試験ステージ1の何らかの情報が、8~9月頃に出るというIRをみつけた。情報はまだ出ていなかった。チャートは直近でつけた高値1054円から半分近くになっていた。シェアードリサーチのレポートの中で第Ⅰb相試験の結果がまとめられていた。患者数は少なかったが、結果からこの薬はかなり有望であることが感じ取れた。レバを使って580円4000株、230万円分買った。この数日後また運よく、会社から試験状況についてのIRが出た。思っていた以上のとんでもない結果だった。株価は一気に976円まで駆け上がった。キャンバスは公式ツイッターで株主との丁寧な対話とIR発信を続けていることもあり、次第に注目を浴びて12月には1500円前後にまでなっていた。途中で枚数を追加したこともあり、資金は500万円を超えて安定した。※1


4263 サスメド

 12月初めツイッターでサスメドの情報に注目が集まっていた。何やら厚労省の薬事・食品衛生審議会にかけられて承認が近いという話。この審議会は重要で、株価に影響を及ぼすことはシンバイオで経験済みだった。調べてみるとサスメドは不眠症アプリなるものを作っているということ。アプリで治せるのか?と疑問だったがこういう新しい技術は思惑で買われやすい。会社の想定売上は楽観的で甘い印象だったが、この波に乗ってみようと思った。キャンバスの枚数を減らして信用を使い1508円で3500株、約530万円で買った。審議会開催日近くまで株価は上がり続けた。思惑といえど急な上昇。時価総額、収益見通し、出来高も総合すると明らかに過熱状態だったので1965円で売った。案の定その後チャートは崩壊。審議会で承認の了承がされたにも関わらず株価は下がり続け、1000円台にまで暴落した。危なかった。キャンバスの上昇も相まって、このとき資産は700万円を超えていた。

 

日銀の実質利上げ

 12/20の前場引け後、あるニュースが市場を駆け巡った。日銀が長期金利(10年国債金利)を0.5%まで引き上げると発表した。このニュースで日経先物は数百円下げ、マザーズ先物も大幅に下落した。多くの銘柄が気配値を一気に切り下げ、後場開始とともに阿鼻叫喚となった。デイトレを連日していた私も被弾した。しかもこの時に限って1000万円を超える買いポジション(マイクロ波化学、マイクロアド)で前場を持ち越していた。後場寄った後も悪い癖が出てガチャガチャ動かしてしまい、結局100万円くらい吹っ飛ばした。キャンバスの株価も下がるし、翌日もデイトレで被弾した。この数日前には保有していたイメージマジックが下方修正を食らってー60万円の損もあった。最終的に-250万円ほどの損失を被り、資産は500万円近くまで落とされた。かなりしんどかった。


4594 救世主ブライトパス

 年が明けた。資産は500万円を割らなかったが、増えることもなかった。バイオ銘柄は好きでよくチェックしてるのだが、そんな折にブライトパスが目に止まった。先読み作戦司令室のコラムが出てた。チャートは日足の長期線に支えられ、底をゆっくり上昇してるように見えた。移動平均線は短中長期全てが上がりたそうに見えた。デイトレで経験を積んだことで、これは得意なパターンだと判断し118円で50000株、590万円で買った。その数日後、セルシードの上昇に釣られるようにブライトパスは一気に上昇した。160円で売って資産が一気に200円万ほど増えた。ブライトとはデイトレの相性もよくて、その後も何回か数万株単位でインアウトを繰り返した。結局+150万円ほど加わり、キャンバスの株価も底打ちから反転したこともあって、資産は一気に900万円を超えた。こんなこともあるんだと信じられなかった。


4593 ヘリオス

 このときバイオセクターには獲物を次から次へと食い散らかす生物がいた。セルシードの上昇をきっかけにそれが他のバイオにも波及し、一気上げする銘柄が続いた。1/27ヘリオスが目に留まった。ブライトパスと同じips関連。チャートは週足、月足で一時的に少し噴いてもいい頃合いだった。日足では徐々に上昇を続けていた。長期線に抑えられそうな感じはあったが、ブライトパスから資金がこっちに来る可能性もあるなと思い、前場から様子を見ていた。9時30分頃から急に出来高が上昇。体がすぐに反応し、298円25000株、750万円分で飛び乗った。303円付近で出来高がさらに増え横横しだして怪しくなったが、動き出した銘柄にアルゴは順張りするという自分の経験則と移動平均線全てが下から追ってきている状況を総合してホールドした。ヘリオスは強い上昇を続け、328円の終値をつけた。口座を見ると資産は1000万円の大台を超えていた。気持ちは浮つくことなく穏やかだった。


そしてキャンバスへ

 1/27の引け後に嬉しいIRが出た。キャンバスの治験中の薬CBP501がFDAからオーファンドラッグに指定された。しかもキャンバスが申請していたものよりも拡大した範囲で指定された。大きなプラス材料。承認される時期が会社予想よりも数ヶ月早くなることも期待される。PTSは+200円ほど上昇した。月曜日にこの価格だったら、保有株数から考えると資産は1100万円を超える。こんなにうまく行っていいのだろうか。


まとめ

 9月に株を再開してから私は運がよかった。この状況が続いてほしいが、明日には暴落に巻き込まれて資産を減らしているかもしれない。
 自分は欲に負けるとレバをかなり使ってしまう人間。自分との闘い。しかし退場を経験してからは、少なからず相場が怖いという気持ちが心の根底にできた。この気持ちは大事にしたい。

 目標の億り人の影がかすかに見えた気がした。


※記憶があいまいなところもあり一部フィクションも含まれます。

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