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「高所得世帯が払ってくれればいいんじゃない」の先にある未来

夫婦共働きの時代は本当に税金を支払うばかりの立場でした。
その後、子どもが生まれてから行政サービスの恩恵にあずかる機会も増えたのですが、そこで知ったのは、所得制限や優先順位といった方法でやっぱり高所得世帯への負担の偏在は大きいということです。

これについては、実生活では年収を暗に公表することにもなりますし、SNS上でも炎上リスクがあるのでなかなか声を上げるのがためらわれます。また、高所得者側には「だったら取られた分取り返すくらいもっと稼ぐ方が話が早いわ」と考える人も多くいることでしょう。

しかし、どれほど偏在しているのか、その事実は事実として知っておく意味があるのではないかと思います。

子育て関連での金銭面・行政サービス両面にわたる負担の偏在

まず、大前提としてそもそも住民税自体が累進課税となっていますし、児童手当や医療費無償化などの給付の面で所得制限が設けられているものが多くあります。

そこに重ねて、認可保育園の場合は保育料についても所得に応じたテーブルが適用されますので、同じ保育サービスに対して高所得世帯は高額な保育料を支払うことになります。自治体によりますが、幼保無償化対象外の乳児クラスでは月額無料から9万円台まで格差が広がることもあります。

さらに金銭的負担以外に、保育園の選考時において所得が低い方が優先されるというルールがある自治体も多くあります。これは子供の保育環境という単純に金銭的価値で測れないものに対してまで負担が偏在していることになります。
たとえば、立地的に安全性が高い園と低い園(大きな幹線道路に面しているとか)では、当然前者が人気となりますよね。そうすると親の所得が高いほど、子どもが安全な保育園に入園できる可能性が低くなります。
親が高所得だからといって、その子どもの安全を他の子よりも後回しにすることは「所得の再配分」の域を超えているような気がしますよね。

こうやって見ると金銭面・行政サービス両面において高所得世帯には幾重にもわたって負担が課せられていることがわかります。

お金のある人が払えばいいのか

これに対して「だったらお金がある人は民間の保育園に行けばいいんじゃないですか?」とか「所得の再分配という前提では、余力があるのであれば払うのが当たり前」と言ってしまうのは簡単です。
ただこれを続けていくとどうなるでしょうか。それは高所得世帯の転出です。国内かもしれないし、国外もあり得ます。

高所得世帯が転出してしまうと、今の準高所得世帯が高所得世帯に繰り上がることになります。そしてその準高所得世帯が転出すると…
もうわかりますね。
今、他人事だと思って「払える人が払えば…」と言っている層が現在の恩恵を受けられなくなり、より多く課税される未来が来るのです。
「そんな先のこと、自分には関係ないから知らないよ」とは言えません。なぜなら、次世代までこの構造が続く以上、自分の子どもや孫に影響が及ばないとは言えないからです。そして、一般的には現在の日本では階層は世襲し、固定化する傾向にあるのです。

自分のテーブル以外にも目を向ける大切さ

とにかく、所得に関わらずすべての世帯が自分事として問題意識を持つことが大切だと思います。そのためにはまず事実を知ることです。
「取りやすいところから取る」という政府のバイアスが働いていることを認識しておくことも大切です。
まずは第一歩として、保育料のテーブルを最上位の金額まで見てみてはいかがでしょうか。

私自身も子育て関連以外にもこの先のさまざまなライフステージにおいてどういった負担の偏在があるのかという広い視点を持って、物事を見ていきたいと思います。

【ご参考】こちらの放送から着想を得て書いています。
「関係ないと思う人ほど聞いてみて」の言葉が刺さりますね。
テーマがテーマだけに今後、有料放送となる可能性があるそうなのでお早めに聞いてみてください。


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