【小説】何某

今日は思いつきにつらつらと!
深く考えずに読んでください。笑

こちらのご使用は御遠慮ください。

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  何某(なにがし)

 2つの影が長い道を歩いていた。
 すらっとした背高の影と小柄な影だ。
 辺りは温厚な気候に木が生い茂っているのだが、道は煌々と太陽に照らされ白い明かりが反射している。
 日差しよけなのかローブをすっぽり被りこみ、すっかり底の薄くなった重い靴を履いている。
 その背にはそれぞれ、糸がちょいちょいほつれた、安っぽく大きなリュックが背負われている。
 しかしながら2人の足取りは軽く、顔も涼しい。

 突然、小柄な影が背高の影を呼び止める。何か道の脇に見つけたらしい。背高の影も、速やかにそちらに寄った。
 そのものを確認すると、2人は道端に屈みフードをとると、そっと手を合わせた。 其々の手首についた石の法具がゆれる。
 見つけたものは骨であったのだ。
 背高の影はゆっくりそれに触れると、瞼を伏せて何度か撫でる。小柄な影もその様をじっと見守る。
 ――さてどれほど時間が経ったか、ざぁ……と爽やかな風が通り過ぎた。
 2人はもう1度手をあわせると立ち上がり、軽く会釈をする。そしてまたフードを被ると、元向かっていた方向に歩き出した。
「年老いたリカオンだったね。食べ物が無くなっての果てだったようだ」
「随分と昔のものだったのには驚いたね。この辺は雨が少ないそうだから劣化が少なかったのかな」
 背高の影と小柄な影は足取り軽く進んでいく。
 暫くは先程の骨の話で言葉がラリーされていたが、直にそれもなくなった。
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2020/05/22 瀬尾時雨

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