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note15「Relation」

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記事一覧

リレー小説 note15 『Relation』#1

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
 長くなったので、分割してあります。

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#1 →#2

 私はちっぽけな欠片でしかなかった。
 いや、私は私ですらなかった。
 あの時までは。

 彼は魔法使いと呼ばれる存在だった。
 彼の手にかかれば、どの様な扉もあっさりその内を晒し、彼が一度守りに入れば、その一角をも崩せる者など居やしなかっ

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リレー小説 note15 『Relation』#2

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#1#2  →#3

 その少年の名前は、タケシと言った。
 漢字で書くと、武士。サムライを意味する文字だ。
 厳密に言えば、武士=侍ではない、と言うのは検索するまでのなく判っているし、この場合は特に重要でもないことなので・・・。

 どうも、彼の理屈

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リレー小説 note15 『Relation』#3

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#2#3  →#4

「じゃあ、行ってくるよ。いつも通りだろうから、14:00には戻ると思う」

 出口に向かいながら、タケシは私に声を掛けてくる。
 今日は、月に一度の検診の日。
 いつもは医者が来て診療するところだけれど、この月一のチェックだけは特

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リレー小説 note15 『Relation』#4

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#3#4  →#5

 実際問題として、彼を探す時間はほとんど無い。
 彼を見つけて、救出し、投薬するまで。
 その手際、隠密性を考えれば、発見後、無事彼を救出するためにこそ、時間は必要となる――――犯人はプロで、力を持った組織だ。

 そして誰かが、

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リレー小説 note15 『Relation』#5

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#4#5  →#6

 何度目のだろう。
 開店祝いに来てくれた夏実と、妻と、3人で乾杯をした直後、店の黒電話が鳴った。

「こんな時間にお店に電話?開店してすぐで、そんなに繁盛してるの?」
 笑いながらからかう夏実の声を背に、私は居間を出、電話の置い

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リレー小説 note15 『Relation』#6

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#5#6  →#7

 そして、冬顔は、全てに繋がった。

 街角で。
 秘密の場所で。
 それぞれの部屋で。
 遠い時空の彼方で。
 神々の宴で。

 そこに、その全てに冬顔は繋がり、そして、彼を探し続ける。
#5#6  →#7

リレー小説 note15 『Relation』                #6-1

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#5#6  →#7
#6 -1
#6 -1-1 東京 某駅前(May 2014)

「ごめーん!待った?」
 『駅前で14:00の約束』に15分遅刻してきた香澄に、明里はため息をついた。
 スマホから顔を上げ、駆けてきた香澄に突きつける。
「うん。ア

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リレー小説 note15 『Relation』                #6-2

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#5#6  →#7
#6 -2
#6 -2-1 某国軍 情報司令部(Sep 2017)

 その室内は今や、騒然としていた。
 それもその筈、現代において国防の要とも言うべき情報戦の中枢となるDBに、正体不明のアクセスがあったからだ。

 いや、正確

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リレー小説 note15 『Relation』                #6-3

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#5#6  →#7
#6 -3
#6 -3-1 日本 某所 個人宅(Aug 2016)

「今日は何のこと書こうねー?」

 ベッドソファーに寝そべり、仰向けで雑誌を掲げ、眺めていたノトは一人呟いた。
 仕事のこと、プライベートのこと、気になったこと

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リレー小説 note15 『Relation』                #6-4

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#5#6  →#7
#6 -4
#6 -4 不明(不明)

 着陸してからこちら、すっかりお役御免となってしまった航行管制、アンシブルシステムは休眠状態にあった。
 いや、ライブラリと、医療、分析系のラボシステム以外は、船としての機能は殆どが休眠して

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リレー小説 note15 『Relation』                #6-5

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#5#6  →#7
#6 -5
#6 -5 不明 神々の宴(不明)

 神々の集うゲーム会場で、ざわめきが広がった。

 絶対神を含め、参加した神々の持つタブレットに「干渉」があった。

 一瞬だけではあるが、序列最高位の神の領域を侵す事の出来るもの

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リレー小説 note15 『Relation』#7

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#6#7  →#8

 莫大な情報の奔流。
 通常であれば回線がパンクする程のトラフィックが発生している筈。
 どこから、どう流れ込んでくるのか、それさえわからない状態の中、冬顔はただ、処理を進める。
 スーパーコンピューターとは言えど、真っ当な処理方

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リレー小説 note15 『Relation』#8

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#7#8  →#9

「タケシに会わずに、良いのか?」
「構わないわ。会っても、どうなるものでも無いし」

 タケルの後ろに並ぶ、難しい顔をした面々を眺めながら、冬顔が言う。
 メインプログラムが収納されているスーパーコンピューターは、既に外部のライン

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リレー小説 note15 『Relation』#9

 この物語は、空音さん主催のリレー小説企画への参加作品です。
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#8#9

 件の事件の後。第一線を退いた父親の後を追いかける事にして1年目。
 タケシは独力で人工知性を生み出すことに成功した。
 ただし、表向きは、あくまで人工知能として公表された。
 あまり話題性のないニュースとして、それは直ぐに風化していった

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