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「ながたんと青と-いちかの料理帖-」磯谷友紀 〜ブックマークチャレンジ03〜

最近本はKindleで読むので、自然と新しい本はKindleでの紹介になります。
磯谷友紀「ながたんと青と-いちかの料理帖-」です。

漫画表現は日々進化していて、作品そのものに絶対値があるなら確実に近年の漫画は僕たちが若者だった頃より高くなっている。それをより感じさせるのは、ワンピースや鬼滅の刃のようなメガヒット作ではなく、本作のような良作だと思う。

舞台は戦後すぐ。京都の老舗の料亭の娘として生まれ戦争未亡人の主人公「いち日」は34歳。女であることだけで、料理の世界で育ったものの料亭では板場に立てない。夫を戦争で失ったあと、西洋料理の世界に飛び込みシェフとして一本立ちしようとしていた。
そんなとき大阪のホテルの三男と政略結婚で結婚が決まる。相手は19歳、15歳差。

急激に時代が動くなか、新しい風をつかもうとももがく主人公たちは時代に翻弄されながらも前に進んでいく。

夫婦が主人公にも関わらず「恋愛」が主題ではない。困難な時代に力強く生きる人々が、他人の決めた価値観に抵抗しながら、困難を乗り越えて自分たちも価値を守り育てていく。登場人物全ての人生を、丁寧にまとめているきれいな漫画。
そのうちドラマになりそうな。でも、たぶん漫画だからこそリアリティのある作品です。
まだまだ連載中、生き生きした誌面が気持ちいい。

ながたんと青と -いち日の料理帖-

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