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セキュリティ・トークン

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このマガジンでは、セキュリティ・トークンが金融商品取引法によってどのように定義されているのか、また、具体的にどんなことがセキュリティ・トークンで実現できるのか、実例を踏まえて解説…
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#セキュリティ・トークン

セキュリティ・トークン_#1:はじめに

この章の学習目標2020年5月1日に施行された改正金融商品取引法により、セキュリティ・トークンは「電子記録移転有価証券表示権利等」と規定され、証券会社などの金融商品取引業者や登録金融機関で取り扱いができるようになりました。セキュリティ・トークンは不動産や債券など各種資産の権利と紐づいており、ブロックチェーン上に取引が記録されます。 この章では、セキュリティ・トークンが金融商品取引法によってどのように定義されているのか、また、具体的にどんなことがセキュリティ・トークンで実現で

不動産セキュリティ・トークンの特徴、「手触り感」のある投資と消費が融合した商品(コラム)

不動産投資の新しい選択肢として、ブロックチェーン技術を活用した「不動産セキュリティ・トークン」と呼ばれる金融商品があります。どんな点が従来の不動産投資と異なり、市場規模はどのぐらいあるのか、野村総合研究所未来創発センター デジタルアセット研究室長の谷山智彦さんに、金融商品として見た不動産セキュリティ・トークンの特徴について話を聞きました。 小口投資で安定した分配金を享受――そもそもセキュリティ・トークンとはどのような金融商品なのでしょうか。 谷山:有価証券(セキュリティ)

丸井グループのデジタル社債で広がる社会貢献の輪、高まる顧客エンゲージメント(コラム)

セキュリティ・トークン(デジタル証券)を用いれば、証券会社などの金融機関に限らず、事業会社自身が販売会社となって債券を発行することも可能です。2022年6月に国内事業会社として初めて公募自己募集型デジタル債を発行した株式会社丸井グループは、その後も第2回(2022年10月発行)、第3回(2023年9月発行)と取り組みを継続しています。 このデジタル債はブロックチェーン技術を活用した社債(セキュリティ・トークン)のことであり、エポスカード会員を対象にしたソーシャルボンドとして

草津温泉旅館もデジタル証券で投資対象に! ST市場拡大のキーワードは積立投資(セキュリティ・トークンコラム)

セキュリティ・トークン(デジタル証券)に関した改正金融商品取引法が施行されたのが2020年5月1日。その1カ月前の2020年4月に設立された三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社(以下、MDM)は、国内外の不動産やインフラ投資を行う資産運用会社であり、これまでに様々な不動産を担保とするセキュリティ・トークンを発行してきました。なかでも、MDMが2022年3月に発行した不動産セキュリティ・トークンは、じゃらんや楽天トラベルなどが実施する温泉地ランキングで常に上位に入る人

セキュリティ・トークンはどんな投資体験を生み出すか - 神本侑季×佐々木俊典対談(コラム)

「セキュリティ・トークン」はブロックチェーン技術によって株式や債券などの有価証券をデジタル化したものであり、デジタル証券とも呼ばれています。日本国内においては、2020年5月施行の改正金融商品取引法によって法令に準拠した取り扱いが可能になり、不動産や債券を裏付け資産としたものから市場が広がりつつあります。 新しい金融商品として注目されているセキュリティ・トークンにはどんな魅力や可能性があるのでしょうか。世界最大のWeb3・デジタル資産報道メディア「CoinDesk」の公式日

国内初のデジタル環境債の次はデジタル証券市場創設! 日本取引所グループが描く未来(コラム)

2022年6月、株式会社日本取引所グループは株式会社日立製作所、野村證券株式会社、株式会社BOOSTRYと協業し、ブロックチェーン技術を用いた国内初となる公募ホールセール向けのグリーン・デジタル・トラック・ボンド(デジタル環境債)を発行しました。セキュリティ・トークンを通じて日本取引所グループはどんな未来を思い描いているのか、グリーン・デジタル・トラック・ボンドの発行に関わった日本取引所グループのJPX総研・フロンティア戦略部長の山藤(さんとう)敦史さんに話を聞きました。

セキュリティ・トークン_#5:セキュリティ・トークンに関する五つの課題

日本国内におけるセキュリティ・トークンは金融商品取引法の規制対象となっており、投資者保護の観点から、資金調達者や金融商品取引業者に対して情報開示や行為規制などの制約が設けられています。ブロックチェーン技術の活用や各規制への対応を通じて、セキュリティ・トークンの売買に関しては、安全な取引が期待できますが、広く一般に普及するためにはいくつか課題があります。この単元では、セキュリティ・トークンの現状と課題を解説します。 権利移転の仕組みが複雑「NFTの保証と限界 - 唯一性や真正

セキュリティ・トークン_#4:セキュリティ・トークンの具体的な活用例 - 不動産と債券

2020年5月施行の改正金融商品取引法により、セキュリティ・トークンは「電子記録移転有価証券表示権利等」と規定され、法令に準拠した取扱いができるようになりました。投資家に“新たな投資の選択肢”を提供するという意味でも話題となり、セキュリティ・トークンの発行事例が相次いでいます。この単元では日本国内における発行事例を紹介します。 不動産セキュリティ・トークン不動産セキュリティ・トークンは、不動産ファンドの投資持分をブロックチェーン上で権利移転できるようにした金融商品であり、一

セキュリティ・トークン_#3:セキュリティ・トークンで資金調達をする

セキュリティ・トークン(ST)で資金調達をすることをSTO(Security Token Offering)と言います。従来の方法では資金調達が困難であったプロジェクトや事業活動への活用や、ブロックチェーン技術を用いることで取引の透明化を図ることなど、新しい資金調達の手法としてSTOが期待されています。この単元ではSTOの概要や特徴などを解説します。 IPO、STO、ICO、IEOの違いSTOは元々、ユーティリティ・トークンを利用した資金調達方法であるICO(Initial

セキュリティ・トークン_#2:「セキュリティ・トークン」の基礎知識

セキュリティ・トークンとは、ブロックチェーン技術を用いて発行・管理されるデジタル化された金融商品(有価証券)のことであり、デジタル証券とも呼ばれています。この単元ではセキュリティ・トークンの概要と機能を解説します。 セキュリティ・トークン、暗号資産、NFT、それぞれの違いブロックチェーン技術を用いて発行・管理されるという意味では暗号資産(仮想通貨)やNFTと同じですが、セキュリティ・トークンはデジタルデータに、金融商品取引法などの規制の枠内にて有価証券と定義されるものです。