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DAO

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ブロックチェーン技術を用いれば、管理者や支配者がいるような既存の中央集権的な組織構造とは異なり、参加者同士の投票で意思決定しながらプロジェクトを推進する自律的な組織構造を作ること…
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2023年10月の記事一覧

海外子女の学習塾が受講NFTを始めた理由、DAOコミュニティで感じた子ども達の変化(NFTコラム)

香港で誕生した海外子女専門の学習塾「epis Education Centre(エピス・エデュケーション・センター)」(運営はTBX Company Limited、以下、エピス)は2023年夏、Web3技術を活用した子ども向け学習プロジェクト「Learning Ecosystem(ラーニングエコシステム)」の実証実験を行いました。内容は、中国・深センの教室にて夏期講習またはSTEAM学習を受講した中学生20人に学びの修了NFT(受講NFT)を付与するとともに、香港(香港・ホ

DAO_#5:DAO運営と資金調達の課題 - ガバナンストークンの狙い

企業が株式を発行し、それを売却することで資金を調達し、株主が企業を共同所有するのと同じように、DAOは「ガバナンストークン」を発行し、それを売却してETH(イーサ)等の資金を調達し、トークン保有者がDAOを共同所有します。DAOが企業と異なるのは、経営が概念的には自動化されたシステムによって行われることです。この単元では、DAOによる資金調達の課題について解説します。 NFTによる資金調達との比較投資家らがトークンの二次流通の期待で引き寄せられ、出資者らの意図がプロジェクト

DAOにまつわる事件からDAOの課題を考える(2)(コラム)

「DAOにまつわる事件からDAOの課題を考える(1)」では2016年に起きたThe DAO事件、2022年に起きたBeanstalkのマルウェア事例、MakerDAOのリスクについて解説しました。今回は2023年に起きたDAOにまつわる二つの事件を解説します。 Arbitrum AIP-1事件Arbitrum(アービトラム)は2020年9月にEthereum Layer2(イーサリアム レイヤー2)として稼働を始めたチェーンです。2023年3月下旬に過去のユーザーなどにエア

DAO_#4:DAOにまつわる事件からDAOの課題を考える(1)

過去にはDAOに関連した暗号資産(仮想通貨)流出事件が起きています。具体的に何が原因で事件が起き、その後、どのような対応がとられたかなど、事件を振り返りながらDAOの課題を考えてみましょう。 The DAO事件■The DAOとその概要 The DAOは2016年4月にSlock.it(ドイツ)によって展開されたEthereum(イーサリアム)上の分散型投資ファンドであり、スマートコントラクトを使用した最初のDAOの一つと考えられています。参加者はETH(イーサ)をThe

DAO_#3:スマートコントラクトによるDAOの可能性と重要な課題

スマートコントラクトによるDAOでは、組織のルールがコードとして記述され、そのコードが実際に実行されることによって組織が運営されます。しかし当然ながら、この自動実行だけでは実際の組織を運営することはできず、現実に行おうとすれば人間の助けが必要になります。そんなスマートコントラクトによるDAOの可能性や課題について解説します。 コードで組織運営、アプリケーションの提供も可能■資金管理やDeFiとDAO 人間が労働する物理的な世界とスマートコントラクトの状態とを同期させるのは

DAO_#2:「DAO」の基礎知識 - 分散型自律組織とはどういう組織?

DAO(分散型自律組織)にはその名が示す通り、「組織」という意味があります。組織とは、何か特定の目的のために集まった一群の人々を指します。つまり、DAOであるかどうかに関わらず、まずは何の目的のためにその組織を作ったかが一番大事な問題と言えるでしょう。その上で、DAOが組織として目新しいのは、その構造が独特だからです。この単元ではDAOの概念や構造について解説します。 DAOとは何か?■DAOの基本的な概念 DAOと言うと「組織の所有権は自分たち一人ひとりにある」という話

DAO_#1:はじめに

この章の学習目標ブロックチェーン技術を用いれば、管理者や支配者がいるような既存の中央集権的な組織構造とは異なり、参加者同士の投票で意思決定しながらプロジェクトを推進する自律的な組織構造を作ることも可能です。こうした新しい組織をDAO(分散型自律組織)と言います。 ただし、DAOが真に自律的な組織となるためには、検討すべき課題が多く残されています。例えば、DAOを通じて暗号資産(仮想通貨)の流出や、参加者同士の組織運営(ガバナンス)への意識の違いなどがあります。 この章を通