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概念から始めるお料理教室

はじめに

料理は楽しいです。作るのも食べるのも。

特に好きな人に自分の作った料理を食べてもらって、「めっちゃおいしい」なんて言われた日には「どうれ、次回ももっと頑張って料理を作ってやるか」となると思います。

筆者である私自身は男性ですが、現在家庭での料理はほぼ私が行っています。妻に料理を食べてもらっておいしいと言ってもらうことにはまってしまい、結婚当初は半々だった料理当番は現在私が9割受け持っています。

とは言ってもせいぜい私の料理は「家庭料理なら美味しそうなほうだよね」レベルであります。そんな人間が料理教室なんて題した文章を書くのはおこがましいところではあるのですが、料理が不得意な同僚事務員さんの話などを聞くにあたり、「家庭料理を作るにあたっての基本的な調理ポイントができてないな…」ってなることを多々経験しております。

現在我々が「お料理」「初心者」でググっても、やれ包丁の持ち方や計量の仕方や火加減はどうか…などの情報しか出てきません。これはこれで大事なのですが、家庭料理が苦手な方が引っ掛かっているのは実はそこではないのです。家庭料理を作るにあたりもっともっと基本的なこと。

「どうすれば旨く栄養のある料理を毎日違うレシピで楽をしながら手早く作ることができるのか?」

ここです。家庭料理が不得意な方が包丁の持ち方や計量の仕方を先に覚えるのは、「バレーボールをやるにあたってルールを知らないのにレシーブの練習をする」のと同じなわけです。やっていくうちに何となく勘所を覚えていくのかもしれませんが、非効率なことこの上ない。家庭料理も同じです。やるべきはまず家庭料理の目的を意識することです。というわけで、始めます。

旨く

旨い料理を作るためには、
「味付け」
「火加減」
の2つを意識しましょう。この2つを意識するだけで、旨い料理は結構簡単にできます。

「味付け」
味付けに必要なものは5種類。
・出汁
味のベース。絶対入れる。とりあえずいれときゃ問題ない。複数入れても可。これがないと「なんか物足りんなぁ…」ってなる。これがしっかりついてたら、薄味でも結構満足感がある。
例:味の素
  和風だし
  コンソメ
  中華風だし
  鰹節
  昆布・塩昆布
  シイタケ
  ほとんどの野菜、肉、魚、海藻、キノコ類、醸造酒
  
・塩味
ないと味が決まらない。「なんか物足りんなぁ…」ってなったらまず出汁と塩味のどちらかを入れる。応用調味料には基本的に手を出さない。
例:塩
  塩味のついた材料

・甘味
入れるとおいしい。照りも付くし、満足感も増える。
でも、正直ちょっと入れすぎたくらいで味がぶち壊れることもないし、いれなくてもまぁまぁの味にはなる気がするので、そこまで気にせずにやっちゃっていい気がします。みりんをレシピの倍入れても嫁には気づかれませんでした。(何度も言いますが、これはプロの料理でなく、家庭料理の説明です)
例:砂糖
  はちみつ
  みりん
  
・応用調味料
味のゴール。これをいれるとこの味になる。これを使い分けることでレシピに応用が利く。使いすぎると単一の味になって、ちょっと飽きる。
例:カレー粉
  みそ
  しょうゆ
  めんつゆ
  お酢
  ウスターソース
  ケチャップ
  焼き肉のたれ
  オイスターソース
  テンメンジャン
  キムチ
  コチュジャン
  豆板醤
  etcetc…

・臭みけし
肉や魚に独特の臭みがある場合、それをなくすための材料。正肉の場合はいらないと思います。内臓や魚介類の場合は、なるべく使っていきましょう。
ハーブ類は初心者が使うにはしゃらくさいので、しょうがとにんにくと酒と油だけでいいです。何とかなります。あんまりにおいがきつい奴は家庭料理中級者になってから扱いましょう。
例:しょうが
  にんにく
  酒
  牛乳
  ごま油、オリーブオイル
  そのほかハーブ類(ミント、バジル、セージ、ローズマリー、タイム、八角、パクチー、レモングラスetcetc)
  
「火加減」
火加減に関しては1つだけ。「(揚げ物以外で)弱火以外は必要ない」です。弱火はいいです。焦げません。油が飛び跳ねませんので掃除が楽です。火も通ります。揚げ物なら適した温度がありますが、揚げ焼きなら弱火でいいです。本当は料理によってベストな火加減があるかもしれませんが、おいしい家庭料理レベルにそんなものは必要ないです。

栄養のある

栄養のある料理を作るのに必要なことは2つ。
「日持ちする材料を常備する」
「最低限これ入れときゃいい材料を把握する」
ですね。順を追って説明します。

・日持ちする材料を常備する。
「毎日違うレシピで」でも説明しますが、日持ちのする材料を常備するのは非常に大事です。単純に一度に使う材料が多ければその分栄養素を確保する可能性は高まります。では何が常備しやすい材料でしょうか。
・雑穀(お米を炊くときに一緒に入れる)
・卵(実は半年くらい持つ)
・玉ねぎ
・にんにく
・しょうが
・たまねぎ
・にんじん
・じゃがいも
・キャベツ(葉物では一番)
・冷凍野菜(おくらとかブロッコリーとかめちゃくちゃ便利)
・缶詰(トマトは生だと足が速いのでこちらのほうがおすすめ、たんぱく質もツナやサバなどで確保できる)
・ナッツ類(サラダとかにぶち込む)
・冷凍食品(最近のはレベルが高い)
・キムチ
・わかめ
この中でも特に冷凍野菜と缶詰は非常にレベルが高いです。めちゃくちゃ応用が利きますので、どんどん使っていきましょう。

・最低限これ入れときゃいい材料を把握する
これがなかなかわからない方、おられると思います。「栄養栄養というけど、毎回考えるのめちゃくちゃきつくない…?」みたいな人です。簡単にいきましょう。
「米に雑穀を入れて、肉か魚か卵を焼いて、味噌汁の中に冷凍野菜をぶっこむ」
―――完璧ですね。これ以上何か言う必要があるでしょうか?

毎日違うレシピで

毎日違うレシピを作ることに対し必要なことは3つあります。
「応用の利く料理を覚える」
「これを入れときゃ違う料理になる食材を常備する」
「日持ちのする食材を常備する」

・応用の利く料理を覚える
自分の作れるレシピを増やすには、「アレンジ」と、「レシピの応用」の二つが非常に重要です。以下、例を出します。
ラタトゥイユという料理をあなたはご存じでしょうか?

ラタトゥイユ

https://cookpad.com/recipe/2137527(ビタクラフトさんの写真をお借りしました)
簡単に言えば洋風野菜のごった煮なのですが、非常においしい料理です。
作り方は非常にシンプルなのですが、これをアレンジして、どれだけの料理ができるでしょうか?
例:カレールーを入れる→カレーに
  シチューのルーを入れる→シチューに
  ひき肉を炒めて混ぜる→ミートソースに
  スパゲッティに混ぜる→パスタソースに
  水を入れる→スープに
  魚とワインを入れて→アクアパッツアに
  チーズをかけて焼いて→グラタンに
  ごはんと混ぜて→リゾットに
  ……とまぁ、1つの料理を覚えるだけで8種類くらいバリエーションが利きます。そして世の中には存外にこういった料理が多いのです。
もう一つ、「鶏のからあげ」を例に出しましょう。
例:チリソースで和える→からあげのチリソース炒め。
  卵とめんつゆでとじる→からあげ丼
  ネギソースをかける→(なんちゃって)油淋鶏
  ケチャップや酢と野菜を炒める→酢鳥
  カレー粉をまぶす→タンドリーチキン風からあげ
アレンジを増やすと、料理のメニューが思い浮かばないということとは無縁になってきます。アレンジは応用調味料を加えることから始めるのが簡単です。ぜひアレンジレシピを増やしていきましょう。

次に、「レシピの応用」についてみていきます。レシピの応用は、「アレンジ」をもっと基礎の段階から見つめなおす方法です。今回は、「ハンバーグ」についてみていきましょう。

ハンバーグの作り方(超簡易版)
1.玉ねぎ、合いびき肉などの材料と
2.卵、牛乳、パン粉などのつなぎと調味料を混ぜ、こねて
3.小判型にまとめて
4.焼く
今回はこれをさらに概念化させてみます。そうするとハンバーグの作り方は
1.メインの材料と
2.つなぎを混ぜてこねて
3.成形し
4.調理する
ここまで単純化させることができます。
たとえば、これのメイン材料をイワシのつみれにすると、イワシハンバーグができます。鶏肉にしてつなぎに味噌を入れると松風焼ができますね。成形を小さくして、調理を揚げる方法に変更すればミートボールです。成形の段階でパン粉を付けて揚げればメンチカツですね。成形を餃子の皮で包めば餃子ができ、調理の段階でそれは焼き餃子、揚げ餃子、水餃子に分岐させることができます……
とまぁ、全然別のものだと思っていたものが、単純化してみると実はかなり多くの料理において、材料や作り方が似通っているというのはよくあります。調理法や材料だけではなく、味付けもバリエーションを変えれば、さらにレシピは発展していくと思います。頑張ってください。

・これを入れときゃ違う料理になる食材を常備する
例えば卵焼きをイメージしましょう。プレーンな卵焼きがありますが、これに何を入れたら変わり種の卵焼きになるでしょうか。
・海苔
・青のり
・ゆかり(しそのふりかけ)
・ふりかけ
・チーズ
・ソーセージ
・魚肉ソーセージ
・ちりめんじゃこ
・キムチ
・ひじき
・カレー粉
・マヨネーズ
etcetc……
次に、肉を焼いてみましょう。どういう味付けがあるでしょうか?
・塩
・塩コショウ
・しょうゆ
・焼き肉のたれ
・生姜焼き
・オイスターソース
・キムチ
・ステーキソース
・和風だし
・みそ
・テンメンジャン
etcetc...
味噌汁でも作りましょうか。具は何がありますかね?
・ありとあらゆる野菜
・ありとあらゆる魚
・内臓以外のありとあらゆる肉
・ありとあらゆる大豆製品
・ありとあらゆる海藻
・麩
etc...
とみていただくとわかるように、なんやかんやいろんな食材を入れればなんやかんや色んな料理になるんです。日持ちする材料を確保して、それを使うことで料理のマンネリ化を防ぐことができます。

日持ちのする食材を常備する
「栄養のある」を参照ください。


楽をしながら手早く

楽をしながら手早くに必要なことは
「熱源の確保」
「省力化に手間を惜しまない」の2つです。

・熱源の確保
熱源とは、要するに調理器具です。これは私の好きなアカウントである借金玉さんがよくお話ししているライフハックなのですが、調理器具の充実はかなりの省力化と、時短を生み出します。当然ですね。2つしか調理器具がなければ同時に調理できる料理は2つまでです。
自分たちが調理に使用できる調理器具はどれで、いくつあるのかの理解は、非常に重要です。調理器具として見逃されがちなものとして
・炊飯器
・電子レンジ    
はよくあげられます。これらは調理器具として十分な性能を有しています。
ご飯を炊くときに一緒に鶏肉とか鮭とか豚のばら肉なり放り込んでおけばメインは簡単にできますし、電子レンジは温野菜、肉解凍、煮びたしやらなんやらたいていの料理はできます。自分の家がどれだけのポテンシャルを持っているかということは、しっかり把握するようにしていきましょう。
なお、個人的なおすすめは電気式圧力鍋クッキングプロです。これはめちゃくちゃ便利で楽。目を離しておいても料理が出来上がっているというのは楽で手早くという条件に完全に合致している。

・省力化に手間を惜しまない
楽をしましょう。以下。
・よく切れる包丁を買おう。
・鍋は複数持とう。蓋はきちんと買おう。テフロン剥がれたら買い替えよう。
 ・調味料は振って出せるようにすると楽。小麦粉とか片栗粉とか、わざわざ輪ゴムで止めて、使うたびに粉が舞ったりしてない?
・食洗器が買えるなら買おう。めちゃくちゃ楽だぞ。
・ちょうどあなたが冷蔵庫を買おうというなら、大きいのを買おう。冷凍庫が広い奴を買おう。
・目を離しても調理ができるようにしよう。ガスだと目を離したら火事になるが、タイマー付き電気ケトルや電気圧力釜なら調理中にほかの仕事ができる。

最後に

初めてnoteを書いてみて、つたないところがあったと思いますので、よろしければ感想お願いいたします。


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