【映画評】孤独なアウトサイダーの政治 「デッドゾーン」(1983)論
「デッドゾーン」(デヴィッド・クローネンバーグ、1983)☆☆☆☆☆
言うまでもなく、これはキチガイについての映画である。当人の主観的な体験を一つずつ追ってみれば、なるほど、政治家を勝手な妄想で射殺しようとした犯罪者の言い分にも、いくらかの説得力があるのかもしれない。しかし、あるヴィジョンに囚われ、それを現実と思い込み、犯罪に手を染めていった数多のキチガイたちと主人公を客観的に隔てるものは何もない。キチガイの妄想が、それを必要とする人々に受け入れられた実績があるからと言っ