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2017年に書いた、特殊なスタイルの短編小説。 「模様」という概念を主人公とした小説…
2023年に書いた詩群。 音楽ジャンルで言えばグラインドコアか? 「入会」 「公園」 …
2022年に書いた詩群。 「子らしき音」 「出発」 「月」 「口裏」 「残響炎」…
鉢 金魚を監禁していることが 人生の楽しみのすべてのような 顔を晒して路上を歩く 通り…
塩を揉み込んだ夏の日差しが 勃起しながら遍在するのを 黙って見過ごそう 干から…
廃屋 盛大に発表されていく廃屋の数を水増しするための年月が まるで歴史的な日々のよう…
日向 灰色のカーテンの向こう側には窓などないと誰もが薄々気づいている密室で 通気口が 夕方の外気を 陽光がわりに差し入れる 風通しの良すぎる密室 自分のことを広大な空だと思い込んでいる天井 「歩行者」たちは 誰にも見せたことのない美しい靴底を まるで大地であるかのような 床にへばりつけている 饒舌な外気 せめてもの夕方らしさ まがい物の陽光は 灰色に染まることを 何もかもに強いている 壁の隅まで塗りたくられているはずの 無意味な 不可視の塗料 「歩行者」
気候 よしんば人々を粉々にしていたからといって 俺が善良であることに変わりはない わ行…
1 汗水たらして働いたかいがあって立派な棺桶を買えたらしく 隣人が 良い気分で死んでいる …
発作権 頻繁であることを誇っている発作者を 指でつつきつくしてやる 時代に遅れること…
破水 知らない乞食が垂らした洟を すくいあげまいと拒んでみろよ 少女の群れが巣に戻れず…
牛 おう 放火魔が漏らした小便 破水に似ている 液漏れした乾電池に降り注げば どこ…
小説投稿サイト『破滅派』に継続的に投稿している短編小説群を、同サイト内で短編集としてま…
傘 日傘は揺れながら泳ぎ方を覚えようと 水浸しの空を恥ずかしげもなく揺れながら 泳いでいる 泳ぎ疲れる踊りの友を待たせながら 踊る ふりかかる日の粉のような干しざおの隙間のような 面影をたたえながら友人のふりをしているような 空たちの涙さらいに踊りを 踊りを 踊りを 踊りを 見せつけながら 泳いでいる 内向きに 泳いでいる 日傘は 恥知らずにも 踊る そして 泳いでいる 泳ぎ方を覚えようとしているのかい 干の粉を浴び浴び 湯気を出してきたかのようなふりをして 干傘が 泳