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ライブ中のメンバーを自由に動かしたり、雨音で音楽を奏でたり。 これが、「VRChatだからできること」。 #VRChatワールド探索部 Vol.7

みなさん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします、VRChatワールド探索部のタカオミです!🔥
それでは2021年最初の探索日誌をお届けします。今回は気合がすごいです。

“舞台装置に干渉できる” 新しいVRライブ! #解釈不一致 「memex live archive - #fuitch 30 May 2020 [VRAA02]」

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言わずと知れたバーチャルアーティスト「memex」さんのVRライブ「#解釈不一致」を体験できるワールドです。VRライブとは何か?を論じるのならばぜひ体験してほしいこちらのワールド!

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いきなりカッコいい。何かが始まりそうな予感がすごいです。

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memexのお二人が登場し。ライブスタート!
お二人のアバターがジャギジャギになっているのが、また良いですね。
解像度を下げられた彼らの像がどう視えるのか、それも各々の解釈次第、ということなのでしょうか。
しかしこのワールド、ただライブが見られるというだけではありません!

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なんとこのVRライブではワールドに配置されたオブジェクトを持って動かすことができるのです!頭上にあったキューブを下に持ってきました。
観客の立場である我々が、ステージそのものに手を加えられる、これがVRライブか……、と思いきや?

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memexのメンバーすら、手に持って動かせる!!どうなってんだ?
ネズミに運ばれる、memexボーカルのアランさん。こんな遊び方しちゃっていいんですか?

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お二人を宙に浮かべたり、オブジェクトと組み合わせて、なんかいい感じにできます。
まさに前代未聞です。見る人の解釈次第で、舞台をいろんな形に変えることができる。ライブの内容は同じでも、見るライブは人によってそれぞれ異なる。これが #解釈不一致 ということか!凄まじいコンセプトだ!

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これが俺たちの解釈不一致だ。

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VRライブは、今もいろいろな人がたくさんの表現や演出を日々研究、実践しており、
「これこそがVRライブだ!」と言えるものはなかなか存在しないらしいのですが、この #解釈不一致 というライブはとてもおもしろかったです。
VRライブに興味のある方は必見!ぜひ一度、体験してみてください。


これぞVRChat体験だ!雨で音楽を奏でるワールド Amebient

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次にご紹介するのはVRAA02 大賞受賞作品のワールド、Amebientです!

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崩れかけのビル。外には雨が降っていて、見下ろすとすぐそこに水面が。滅亡後の世界なのでしょうか?

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さあ水中に飛び込んでください、と言わんばかりの台!ジャンプ!!

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沈みました。しかしどうしてか、水中での感覚がめちゃめちゃ心地いいんですよね。
自分はあまり水泳が得意じゃなかったこともあり、子どもの頃はマリオ64の水中ステージすら怖くてプレイできなかったんですが、ここの水中は何故かむしろ安心すら覚える。不思議。

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ここで探索部メンバーが、あることに気づきます。
滴り落ちる水滴の下に、落ちている調理器具やドラム缶などを持ってくると、音を奏でることができる

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場所によって水滴が落ちる間隔が違い、いろいろな場所にオブジェクトを置くことでAmbient Music(環境音楽)を作ることができるんです。なるほど、これがAm”e”bient!

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楽しすぎていろいろ配置を変えたりして遊んでいると、突風が吹いて落雷。

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建物内が通電したのか、謎のコンソールやモニター類が点きました。
パネルの使い方がわからず格闘しているうちに、これまで奏でられていた音たちがフッと鳴り止みます。
そして屋上の方で何やら大きな何かが落ちたような音が。状況を理解できず、おろおろしていると……、

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建物が水没してしまいました。この世界は終わりを迎えてしまったのか?

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水没後もワールド内を回遊することができます。これはこれで楽しい!ずっと居られる〜!と終末後の世界を楽しむメンバーたち。最初から最後まで美しいワールドでした。

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……と思いきや、浸水後に行けるようになるビルの最屋上部分に何やら暗号めいた文字!ゴウランガ!Amebientって書いてるだけか?
ここにはポータルも置いてあり、入ると「水没する前のAmebient」に戻ることができます。なるほど……。

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「繰り返す。私は何度でも繰り返す。同じ時間を何度も巡り、たったひとつの出口を探る。」
この先はぜひご自身で!


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このワールドには非常に感銘を受けました。
特に注目すべきは、自由度(VRChat感)と、ストーリーテリング設計の両立。その秀逸さです。

ここのところVRChatワールドにおけるストーリーテリングの手法について考えていたのですが、このワールドはまさにひとつの答えを指し示してくれたと言って良いでしょう。

「水没しつつある朽ちかけたビル」の光景が眼前に広がることで、ここが「終わりかけている、あるいは既に終わってしまった世界の話」であるとすぐにわかるワールドのビジュアル設計

そして、いろいろと試していると音を奏でるワールドであることがわかり、見つけた楽器で遊んでいると雨量が増えて落雷。するとコンソールパネルなどが光り……、パネルの使い方を探ってみたりしているうちに建物が水没、という、時間軸がありながらも、それらがインタラクティブに動く設計

水没後に行けるようになる場所へ行くと、謎の暗号を発見。これをコンソールに打ち込むことで、水没の未来を変えられるのでは……。と思いつき、そして世界に入り直して、暗号の解読を試みる、という行動誘導の設計。全てが自然に進む物語になっています。

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しかし、このワールドにはそこに辿り着くまでのガイドが一切ありません。「雨音で音楽を奏でられる」というこのワールドのキモにあたる部分すら、なんの説明もないのです。

あらゆるゲームにチュートリアルがある現代においては、不親切とも言えるこの設計が、「ワールド制作者の意思によって我々が操られているのではなく、自らの意思で行動した」という感覚を非常に鮮やかに生んでいると思います。

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「VRに興味がある!」という方とお話しした時、VRChatでの体験をなんと表現すればいいか、よく言語化に苦しむのですが、VRChatというのはゲームでもない、SNSでも、コミュニケーションツールでもないのです。

探索部のメンバーたちと写真を撮ったり、ワールドの遊び方を手探りでいろいろ試してみたり、ただ雑談をしていたり、美しい景色に感動したり。これらの体験をあえて言葉にするのならば「人の営み」であると思います。

この感覚はVRChatの自由度に起因しています。本質的にVRChatは無目的なツールなんです。目的がひとつに定められてしまうとそれはゲームになってしまう。もちろんゲーム系のワールドもそれはそれで好きなのですが、ただただ綺麗なだけ、というワールドもあって、それもまた素晴らしい。

(この辺りのお話は、制作チームのお一人であるphiさんがAmebient Advent Calenderにて書いておられますので、興味をお持ちのかたはご一読をお勧めします。)

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そこには目的もなく達成もなくて、この世界ではどう過ごしていたっていい。それがVRChatらしさなのかな、と新参者ながら感じています。

Amebientも、この綺麗な世界をただ眺めていてもいいし、水没後の世界で水中にいるのもいいし、もちろん雨音で音楽を奏でる体験も楽しい。それら全てが非常に魅力的な体験として作られていると思いましたし、好きに遊んでいる中で自然と「この世界を救いたい」と思わさせられるその設計には恐れ入ります。

VRAA02大賞受賞の名は伊達ではありません。ぜひ一度、遊んでみてください。



RPGのラスボスステージ…?非現実的で美しい!「Giving Sparkle」

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今回も三日坊主さんのワールドに遊びに来ました!
年末に開催された伝説的なライブ「三日坊主を止めるな!2」が話題になっている三日坊主さんですが、このワールドもまさに三日坊主ワールド!という感じの様相。

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宙に浮かぶ謎のキューブ、悪魔的な模様をしています

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そして床は禍々しい……、
しかし画面中央にある台座を触ると、

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光り輝く天体のような美しいワールドに変化します!
(それでもちょっと禍々しさを感じるのはやはり三日坊主さんらしさですよね)

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台座や床のテクスチャの透明感や反射具合がめちゃめちゃ綺麗。

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以前もご紹介したphi16さんによる飛行システムが採用されておりますので、VR酔いになりにくい飛行体験が可能です。

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作者近影。

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先述した #解釈不一致 や Amebient のワールドからは、作者の方達のやりたいことがなんとなく感じられるのですが(ぜんぜん見当違いだったらすみません)、三日坊主さんのワールドはどういう発想からこれができているのかまるで想像がつかないところがすごいですよね。

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この宙に浮かぶキューブも何か意味があるようで……ないような……。
おそらく意味はあるのでしょうが、それを理解する必要はない、という感じなのでしょうか。
この辺りはぜひ一度ご本人に話を伺いたいですね!

Giving Sparkle、写真撮影ワールドとしてもオススメです!
今度自分も個人的に撮影用途でまた遊びに行こうかな〜と思っています。ぜひ一度お立ち寄りください!

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追記:髪色を変えてタバコを追加したCyber Catちゃんで自撮りしてきました。やっぱり映えるわ〜。


歴史的VRChatワールド!?いにしえのユーザーなら誰もが知ってる「Presentation Room」

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最後にご紹介するのはこちら!
置いてあるペンで空中に絵や文字を書くことができるワールドです。

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ホワイトボードが壁にかかってますが、
書こうとすると空中に書いちゃうので、別に意味はなさそう。

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全消しスイッチもあります。あ、これ不可逆性だ(そうだけど違う)。

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メンバーのokiさんから「立方体を描いてください」という問題が出たので描く一同。
VR慣れしてる人はちゃんと「3Dのキューブ」を描くらしいんですが、
意外とふつうの人は写真の中央右にあるような「一点透視図法を使った立方体」を描いてしまうそうです。おもしろい!

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Fukukozyさんの描いた車、うまい。

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まだVRChatにそれほどユーザーがいなかった頃、
みなさんこちらのワールドで絵を描いたり、作りたいワールドの相談をしたりして過ごしていたそうです。
まさにVRChatのヒストリック・ワールド。そんな歴史に想いを馳せつつ、VRお絵描き楽しいのでぜひやってみてね!


以上です!

今週のワールド紹介いかがでしたでしょうか?新年一発目ということでめちゃめちゃ気合が入ってしまったのと、遊びに行かせていただいたワールドがどこも素晴らしく文章量が過去最大に……。読み応えのある記事になっていたら嬉しいです。
VRChatで遊びたいけどひとりでどこに行ったらわからないよ〜という方、ぜひこの記事を参考にしてもらえれば!そして良ければ一緒に遊びましょう!!
ではまた来週!

ちなみに、#解釈不一致 と Amebient にはVRAA02のポータルワールドからも行けます!
この2作品以外にも素敵なワールドがめちゃめちゃリンクされていますので、興味のある方は見に行ってみてください〜〜!


制作:VRChatワールド探索部メンバー
タカオミ https://twitter.com/takamin_
隠岐 和史 https://twitter.com/uvwuvw
稲垣 佑樹 https://twitter.com/Yuki56ee
三日坊主さん https://twitter.com/mikkabouzu777
FUKUKOZYさん https://twitter.com/hukukozy







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