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【cEDH】トラティムミッドレンジのデッキ解説

ジェスカイ(WUR)を含む4C以上のリストをいくつか検討したが、検討中に得た知見を素にトラティムを組み直した。cEDH Nexus等で何度も回して勝率が上々だったため、記録を残しておく。

トラティムとは?

大きな特徴として《トリトンの英雄、トラシオス》と《織り手のティムナ》の両統率者が軽量ながら単独でアドバンテージを稼ぐことが出来る性能を持っていることが挙げられる。

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この特徴から両統率者はキープ基準の軸に添えることが出来る。更にキープ基準の緩い色でもあるため、妥協のない攻め寄りのマリガンが可能。一方で速度はないため、アドバンテージを稼ぎ続ける準備段階で相手に流れを持っていかれる、もしくは敗北しないためにどこまで動くのか的確に判断する必要がある。

勝利手段

《タッサの神託者》コンボ
緑が含まれているため《タッサの神託者》へのアクセスは容易。クリーチャーサーチから《Demonic Consultation》や《汚れた契約》にも繋げられるように《呪文探求者》を採用している。基本的にサポートなしでは通らないため、打ち消しや《沈黙》系の呪文を駆使して押し通す。コンボ始動前にクリーチャーサーチから《堂々たる撤廃者》に繋ぐことが多い。

《研究室の偏執狂》コンボ
上記のコンボと大体同じ。勝利条件を満たすためにドローの手間が掛かる上に除去で止まってしまうリスクがある。《タッサの神託者》に何かがあった時用のコンボで積極的に狙うものではない。以前は2枚目の《タッサの神託者》として《法務官の掌握》を採用していたが、マナの伸び方的に唱えたターンに勝つことが困難だったため《研究室の偏執狂》を選んだ。《むかつき》後に勝てる確率もこちらの方が高い。

《むかつき》
派手なマナ加速がないため、相手のターン中に唱えることがほとんど。相手の動きに合わせて唱え、自分のターンを迎えるのが王道パターンとなる。《むかつき》前にマナを確保しつつ動いたり、通った後にターンが帰ってくるまでを耐えるためのピッチ呪文が役に立つ。

逆転棒は非採用
トラシオスがいるため、無限マナを出せる《等時の王笏/Isochron Scepter》と《劇的な逆転/Dramatic Reversal》が採用されていることもあるが、本リストでは非採用としている。理由は下記の通り。

逆転棒が非採用の理由
1. クリーチャーサーチを厚めに採用しており、両コンボパーツが非クリーチャーで揃えづらい
2. クリーチャー除去による損失を最小限に抑えたい(マナ源が足りない状態で揃っても勝てない)
3. 展開力が《波止場の恐喝者》を有する赤に敵わないため、2を補うためにキープ基準に関わらないマナファクトを採用したくない
4. 打ち消しだけでなくファクト妨害(除去含む)でも止まる

キープ基準

誰がどう見ても強いキープ基準の他に、本リストには各統率者を軸としたキープ基準があるため、これらについて紹介する。

ティムナ軸
理想的な動きはT1クリーチャー着地、T2ティムナ着地から即攻撃でドローを開始する流れ。ただ、そう上手くは行かないため、基本的な動きはT1マナ加速->T2クリーチャー->T3ティムナとなる。ここでT2ティムナすることも可能だが、除去された時のテンポロスが大きいため限られた条件下でしかやらない。構築ではこの流れの安定化とこの道中に敗北しないことを意識している。

トラシオス軸
T1加速->T2トラシオス->T3構えの流れも可能だが、ここでマナを使って妨害呪文を唱えることになるとテンポロスが大きい。そのため、確実に遅くてマナを伸ばし続けることに意味のある卓でない限りやらない。ただし、《訓練場》がある場合はその限りではない。また、《悟りの教示者》を含む初手でマリガンをしたくない場合はT1《訓練場》サーチ->T2トラシオス->T3《訓練場》着地&構えで始めるのもなくはない。

ブルー/グリーンカウント

ピッチ呪文を多めに採用しているため、ブルー/グリーンカウントはそれなりに意識している。枚数を考える時に共通で考慮に入れている項目は下記。

ブルー/グリーンカウントで考慮に入れている項目
・共闘なのでライブラリー枚数が98枚
・統率者能力でライブラリーを掘れる
・ピッチスペルが必要なタイミング

これらに加えて、ブルーカウントについては《意志の力》を安定してピッチで唱えられるように枠が許す限り多めに採用。20前後のリストも見掛けるが、個人的には最低でも25枚は欲しいと考えている。
グリーンカウントは《忍耐》と《活性の力》用となる。《忍耐》はアタッカーとしての運用が強く、3マナを使って唱える価値があるため無理してピッチで唱えられるようにしておく必要はない。《活性の力》については序盤から速度低下のためにピッチで唱えたいため青と同程度の枚数が欲しくなるが、残念ながら緑のためにいじれる枠がない。ただ、最序盤で唱えたい盤面では自身のマナクリをピッチコストに充ててしまっても構わないと考えているため、青よりはやや少なめの枚数でもそこまで問題視はしていない。

採用カードの一部紹介

《Elvish Spirit Guide》
唱える必要のない0マナ加速。T1マナクリから展開した場合にT2ティムナ即誘発の手助けになる。《むかつき》後に緑マナを生成したり緑ピッチのグリーンカウントになったりと役割の多いマナ加速枠。通常であれば緑生成マナクリ三人衆を全部採用するのだが、計算上2枚でも十分キープ基準を満たせる構築になっている。そのため、冒頭の理由に加えて全体火力を有する赤との相性も考慮して採用に至った。

《忍耐》
ピッチで唱えられる墓地対策。アドバンテージを稼ぐ準備が完了するまでに敗北しない役割とアタッカー兼ブロッカーの役割を担う。元々受け用に採用していた2マナの打ち消しと入れ替えた。MV3の緑色クリーチャーと打ち消し耐性が高いため、《タッサの神託者》コンボや《死の国からの脱出》コンボ対策として信頼できる。単体で使うには後ろめたいが、ティムナの能力でアドバンテージ源としても運用できる点が構築に合っている。

《呪文捕らえ》
T2から呪文に対応してもテンポ損をしない数少ない飛行アタッカー。対象に取れる呪文のマナ総量制限はあるが、打ち消すのではなく追放する点が強い。高速卓ではコンボ関連呪文を、そうでない場合は統率者を対象に唱えてトラティムのペースに持ち込む。

《さまようアルカイック》
妨害、コンボサポート、アドバンテージ稼ぎと様々な役をこなせる。トラシオスとの組み合わせでよく見る《種子生まれの詩人》と交換で採用した。単体で仕事ができ、除去がなければアドバンテージに繋がることが多い上に自分の呪文はほぼ打ち消されなくなるため勝利に近づく。除去が飛んできてもその除去をコピーすれば損失のバランスを取れる(*取らされる場合もある)。裏面は唱えたことがない。

《むかしむかし》
キープ基準を緩めるために採用。このカードの代わりに土地を採用していたのだが、グリーンカウントを稼ぎたくて採用に至った。初手になかったとしても土地がない時にサーチ妨害に引っかからないマナ加速、逆に土地が余っている時はクリーチャーを探せたりと腐ることは少ない。

《召喚の調べ》
妨害枠を兼ねたクリーチャーサーチ。これまでは妨害範囲が狭くイマイチな性能だったが、《ダウスィーの虚空歩き》の登場で勝利にも繋げられる墓地対策が可能となり強化された。相手のターン中に唱えやすい《否定の力》や《精神壊しの罠》も採用しているため、手札次第ではインスタントタイミングで《タッサの神託者》コンボを狙うのも良い。

《モックス・アンバー》
アドバンテージを稼ぎ続けられる準備が整ったところからの展開力補強と《むかつき》後マナ加速のために採用。マナ加速枠のため《息詰まる徴税》も検討したが、早い環境に合わせて唱えたターンに即加速できるこちらを優先させることにした。

非採用カードの一部紹介

《イーオスのレインジャー長》
《ダウスィーの虚空歩き》の登場に合わせて黒を濃いめにする過程で白を薄くしたため抜いた。《堂々たる撤廃者》はそのまま唱えるよりもクリーチャーサーチから直接場に着地させることが多く、2マナと軽めなため続投している。

《唱え損ね》
元々採用していたが、最序盤で負けないための優秀なカードが増えてきたため不採用とした。自身のペースに持ち込んだ後だと全員それなりにマナが伸びていることが多く、《唱え損ね》を唱え損ねることになるのも理由の一つ。

《マナ吸収》《ドビンの拒否権》
2マナ打ち消し呪文は自身のコンボを守るためにはやや重く、妨害のためだけに使われることが多い。トラティムではプロアクティブに使える《忍耐》等の高性能な妨害クリーチャーが存在し、これらにはインスタントでのアクセスも可能である。そのため、2マナ打ち消し呪文に枠を割く必要はないと判断して不採用とした。

《石のような静寂》
《溜め込み屋のアウフ》のように肉体があればアドバンテージ源になり得ることからキープ基準にも絡めた運用が出来たのだが、残念ながら肉体は持っていない。アーティファクト対策が強力なのは間違いないが、本構築のプランと照らし合わせて考えると残念ながら枠を割く程の性能ではないと判断した。

《森の知恵》
最初の構築時には採用していたが、リターンが遅い割には着地後のヘイト上昇が大きく、割に合わないと感じた。両統率者の弱点であるドロー制限の影響を受ける点もいただけない。《森の知恵》を採用するのであれば両統率者によるドロープランを補強した方が強いと判断して不採用とした。ドローするためのライフペイと着地による集中砲火で余計なライフを失って《むかつき》プランを失いたくない点も大きい。

最後に

今回の記事はMoxfieldのPrimerに英訳して載せることを前提としたフォーマットで書いてみた。採用理由だけでなく非採用理由も書く文化はとても良いと考えているため、早速マネしてある。トラティムの構築や回し方だけでなく、リストの組み方の参考にもなれば幸いだ。

執筆中に飲んでいるコーヒー代に充てさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。