盲目の鳥
この命は助けられた命だから、私は誰かが幸せになるんだったら喜んで命を捨てられる様な人になりたい。いや、そうでなきゃいけない。
でも、届かない。
私の手は自分で思うより短くて、誰も笑顔に出来ない。そんなんじゃ私は、何のためにいるの?
嫌いだ、大嫌いだこんな無能な自分が。
こんな理不尽な世の中が憎い。憎くて憎くて、けれどそれ以上にその世の中をどうしようも出来ない自分が憎い。
私の手がもっともっと長ければ、沢山の人を笑顔に出来るのに。
私がもっともっと強大な力を持っていたなら、沢山の人を救えるのに。
なんて、自意識過剰。
なんて、肥大した自己。
揶揄されようと構わない。この命は救ってもらった命だから、私は死ぬまで見えない誰かの為に奔走するんだ。
ああ、なんて哀れな鳥だろう。
盲目な鳥は狂い鳴きバタバタと羽を動かして檻から出ようと必死にもがく。
その檻の外に、理想郷が広がっているとただひたすら信じて。
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