安価にVR Ready対応なPCに改造した話

概要

これはもうPCゲームを引退するつもりだった私がVRChatに出会い
あり物のPCを改造し、なんとかVR Readyに対応するまでの話
実体験を話しているだけで今後誰かの参考になるかは不明
結果だけ見たい人は目次から「9.構成とベンチマーク」へ
(2023.4.6更新)補助電源不要の新型グラフィックカードが発売されたので一部更新

0.はじまり

日々の生活が忙しくネットゲームも辞めてエロゲーもやるような若さは無くPCゲームから距離を取っていたあるときブラウジングやYOUTUBE再生機として活動していた数世代前のゲーミングPCが壊れてしまったところから話が始まります

メモ、取り合えずPCを買わねばならない世代

年齢が3X才後半以上のちょっとオタクな男性はPCで育ってきたと言っても過言ではない世代だと思う
エロから始まりコンシューマーで出ないような高品質なゲームが遊べたりDiabloをはじめとしたオンラインゲーム等、青春時代に大きな衝撃を受けたことにより最早生活必需品と言うほどの位置にある人は多いのではないだろうか

1.マイクラが動けば良い程度のPCを買った

2020年7月、がっつりとPCゲームをやる気はないが取り合えずPCを用意したいという意思は固かった
軽く見積もり等を計算している中で長年の知識からIntelのオンボードグラフィックの貧弱さは身に染みていた
ゲームをやらないがコストを無視してグラフィックカードを取り付けるか動作速度を諦めるかという選択を迫られることになる
そこで選択肢に上ったのはAMDのAPU内蔵GPUを搭載しているRyzenのGシリーズだった、当時のIntelの内臓グラフィックとは比較にならないほど高速な処理が出来るというものだ(比較する相手が弱すぎるだけでそれほど高度な事は出来ない)
どんな程度のものかとYOUTUBEを探してみると軽量設定のフォートナイトやヴァロラントは60FPS以上、新しめなゲームはギリギリだが30fpsで動いている動画があり、この程度であれば普段使いでは困らなそうと判断した
RyzenのGシリーズに狙いを定めて検討していくと発売から1年近く経った旧型のRyzen5 3400Gをすぐ買うのか発表があったばかりのRyzen5 4000番台を待つという2つの選択肢があった
が、情報を探しているときに丁度目にしたLenovoのアウトレットセールでお値打ちPCをみつけた旧型に即決した
Ryzen5 3400G 搭載のLenovo ideacentre 510a 49,816円
メモリが8GB1枚だったので+8GB RAM 3,999円追加しておいた
マイクラ程度は問題なく動きブラウジングや動画視聴等の当初予定していた使用には快適に動きPCの買い替えが案外安く済んだものだと満足していたのだった

結果から言えばこの時出惜しみせずにグラフィックカードを付けていればもう少し話が簡単だったでしょう

2.VRChatに出会ってしまう

2021年1月、VR向けSNSらしいソフトVRChatというものは以前から知っていたがノータッチだった
友人が興味があるから一緒にどうかと言う話があり、自分のゲーム向けではないPCでも動くという事だったので一緒に体験する事にした
VRChatでは個人のユーザーが3Dモデルを組み合わせて作ったゲームのフィールドの様なものをアップロード、公開している
そこを探索したり集まって雑談したりと自由に過ごせる空間だった
またC言語によく似たスクリプトでゲーム等を作ることが出来るという
今で言うメタバース空間に無限の広がりを感じ新時代の幕が開けたなと勝手に感動していた
この時点で私はVRChatをコミュニケーションツールとしてではなく人が作ったワールドを見る観光ゲームという意識だったと思う
無限にステージが増えるゲームみたいな感覚

メモ、VRゴーグルを買わないであろうと思っていた

自分語りとしてゲーマーでガジェット好きでVRには元々興味があった方だったと思う
バンダイナムコの運営していたVR ZONEに行ってVR鉄骨渡りも体験したしVRゴーグルの先駆け的なヘッドマウントディスプレイも買っていた
だからこそ装着が面倒なのは知っていたし部屋にセンサーを設置するのも面倒でVRゴーグルも買う気はなかった

3.同行者、早々とVR化

数週間後、最初に自分をVRChatに誘ってくれた友人が気付いたらVRゴーグルであるOculus Quest2買っていた

ここでVRと非VRの差を軽く説明しておきたい
・視界が広い
ディスプレイを見るのとヘッドマウントディスプレイでは表示領域に差が出る、周りの机等が見えないから没入感が大きい
・ポーズ
非VRで取れるポーズは予めアバターに仕込んだものの中からフォートナイトのエモートの様な決まったものを定型的に使うしかなかったので記念写真を撮るときなどはほぼ同じポーズになってしまう
VRゴーグルを使用すると頭部のセンサーで頭と両手に持ったモーションコントローラーで手、指を自由に動かせるのである
おはようと言って手を振るだけでも自然だった
・手が動く
現実世界では当たり前過ぎてありがたみが無かったかもしれないがVRChatでは違った
両手で物を持てる、持った物の角度を自由に変えられる、カメラを使って写真が撮れる等
・表情の切り替えが楽
VRでは指の形に割り当てた表情を素早く表示できる
非VRではShiftキー+F1~8を同時押しする必要があった

自在に自分のアバターを操る友人を見てようやくVRChatのコミュニケーション部分の魅力に気付くのだった

蛇足なメモ、友人は自分と同時期の2020年夏頃にPCを買い替えておりグラフィックカードにGTX1050を搭載したPCで無理やりVRゴーグルを使っていたらしく動作はとても厳しい物だったという(なおその数か月後PCを丸ごと買い替えていた)

4.続々集まりVR化する仲間たち

2021年8月 バーチャルマーケットが開催される
複数の企業や個人で3Dモデルを販売している方々の展示会が開催された
通称vketと呼ばれている
この時ちょっとしたきっかけが起こる、まあまあ動いていた非VRのVRChatだがVketの作りこまれた容量の大きいワールドだと動作が遅くなり歩くのも困難になってしまった
ここに限らず作りこみが凄いところや最適化が不適当な場合も同様に動作困難になり限界を感じるようになる
その後2021年9月~12月 VRChatに月1で合流してくる友人たち+3名
この3人もVRゴーグル買うまでが凄い早かった
どちらかと言うと買う前提だがVRChatを試して納得いったから買ったという印象
VR組4人+非VR私。なんというか私も買うかなーと意識し始めた頃

5.結局VRゴーグルを買った人

2022年4月特に理由もなくしばらく離れていたVRChatに戻りVRゴーグルの事を考え始めた、ゴーグルに対応できるPCはVR Readyと呼ばれVRAM6GB以上であることが条件の一つだった
しかし条件を満たすグラフィックカードにはPCの電源から生えている補助電源と言うものが必要なのだがメーカー製ミニPCにはグラフィックカードの増設は考えられていないため最初から補助電源が無かったことから増設で済ませるのは諦めた

そこでPCを丸ごと買い替えを検討するが流行り病により電子機器が大きく値上がり気軽に買い替えるレベルをオーバーしていた
妥協を重ねとりあえずVRは置いておいて非VRでのVRChatを快適にするのに今のPCに補助電源不要なグラフィックカード刺したら良いんじゃないかと言う案を採用した
当時、補助電源不要なグラフィックカードで一番強いのは3世代落ちのGTX1650 VRAM4GBだった
ビットコイン高騰のあおりを受けグラフィックカードが値上がり気味なのと、PCケースが小さいので念のためロープロファイル(幅の小さい物)を選んだため30,000円もした、これでも数週間様子を見て底値で買ったのだけれども
ちなみにPCと一緒に買っておけば当時で15,000円ほどだった…2倍…
結果として非VRでのVRChatは快適になった

せっかくグラフィックカードを買ったのでついでにVRゴーグル買えば動くのではないだろうかと言う考えがよぎる
友人はVRAMの容量が同じGTX1050Tiで動かしていたしこれで動くのではないだろうかと思いTwitter検索するとGTX1650でVRでVRChatをやってる人数名をみつけた、見つけてしまった
まあ動くんじゃないという軽い気持ちとこれで動かなかったらお金の無駄ではないかと言う気持ちが鬩ぎ合い結果ヤフオクで中古のOculus Quest1を落札していた
ジャスト9000円。顔にあたる部分を買い替えても凄い安い(ニッコリ)
こうして結局VR買ってしまった

実はQuest2ではなく1を選んだ理由は値段だけではなくQuest1は2と比べて画面の解像度が低く負荷が低い(はずな)のである。映像の綺麗さは損なわれるが動かないよりマシという気持ちが大きかった
ピクセル数に直すとQuest2が7,034,880で1が4,608,000ということで約1.53倍解像度の差があるからその分負荷が低いと考えたわけでした

6.動くかといえば動くが動かないと言ったら動かない

結果としてはGTX1650でVRでのVRChatは動いたが
16人以上居る集会などはフリーズするレベルで重たく友達数名とまったりするだけならば問題が無かった
例えるならば日常生活には支障がないがスポーツは出来ないみたいな仕上がりだった
それほど人が集まるところに行く用事もないしこのままVR壊れるまで遊ぼうという気持ちで落ち着いていた

流行りのVR音ゲーことBeatSaberのsteam版はカクツキが酷くプレイに耐えなかったとメモしておく、後日Quest単体動作版を買って楽しんだよ

7.全く関係ない所から新たな着想を得るのは良くある話です

2022年12月AIお絵描きツールが流行り出す、個人向けのパッケージが出回る
自分のPCで手軽にできると言われたら触ってみたくなるのがちょっと動けるオタクの使命だった
ツールがリリースされた直後は必要VRAMが6GB以上とGTX1650では動作不可だったが頭の良い人たちの活躍ですぐに4GBでも実行できるようになったのであった
そうして色々な人の生成したおもしろ画像をみながら動作環境等を見ていたら目に付いたのがnVidia RTX A2000(VRAM6GB)である
今までQuadroシリーズとして展開していた業務用グラフィックカードの
一番新しいもの、省電力でロープロファイル

前置きが長くなったがRTX A2000こそが唯一VR Readyの条件である
VRAM6GBをクリアした補助電源不要なグラフィックカードだったのだ
GTX 1650、お前最強じゃなかったのか
その勘違いの理由は私がGTX1650を買ったのが2022年 4月1日
RTX A2000の発売日は2022年 4月28日
買う数週間前から下調べしていたが流石に業務用グラフィックカードの情報は仕入れていなかった
ついでに言うと発売当初これを見つけていたとしても当時の最低価格は8万円、完全に予算オーバーだし買えなかったよ

※2023.4.6更新
NVIDIA RTX™ 4000 SFF Adaが発売されました
RTX a2000と比較すると消費電力ほぼそのままでVRAM20GB
単精度性能、RTコア性能は約2.4倍、Tensor性能は約5倍と面白スペックアップです
現在の価格は約25万円と2.7倍になっておりますが
非常に高価ながらロープロファイルかつ省エネモデルとしては非常に高性能です

8.という事で買ってみた

どうせなら低電力で動くVR Readyを目指してみようという怖いもの見たさで
恐らくビットコイン暴落によりマイニングリグから取り外されて放出されたであろう中古カードをオークションで30000円で入手
画像を見た時からなんとなく想像していたけれど結構大きいヒートシンクに小さいファンが1つしか付いていないので回転音が結構うるさい
VRChatの動作は数値化するのが難しいが快適になった、VRAM1.5倍はちゃんと効果があった
補足で、お金がある人RTX A2000にはVRAM12GBモデルもあるからそっちのほうがもっと快適だと思う(予想)

9.構成とベンチマーク

Lenovo ideacentre 510a
CPU                 Ryzen5 3400G
RAM                8GB+8GB
STORAGE M.2 256GB
       SATA SSD 500GB+1TB
GPU                 NVIDIA RTX A2000
PSU                  210W

SteamVR Performance Testでの結果は
GeForce GTX1650   平均忠実度 6 から
Nvidia RTX a2000    平均忠実度 10
となっており消費電力のわりにVRがまあまあ動く程度にはなったでしょう

10.注意事項

電源が弱ってくると動作不良を起こしそうな予感はしている
このレノボのPCはPCI-Express Gen4.0に対応していないため本来のグラフィックカードの性能は引き出せていません

11.まとめ

このグラフィックカードを安価に入手することが出来れば企業放出品っぽい新しめのCore i5搭載のミニタワーを買いメモリ足してこのカードを刺せば安価にVRできるのではないだろうかと考えられる


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