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令和最新版仮想世界攻略 - 初級 -

ラッシャイ。よく来たな。俺の名は鯰田。げんこつ山のたぬきだ。俺は毎日サイバーでジャンキーな仮想世界にダイブしていて、様々な人間のインターネット仕草を見てきた。インテリヤクザな浜のヤンキー、日を追うごとに爛れていくサキュバスもどき、様子のおかしい異常既婚男性美少女。何を言っているかわからないかもしれないが昨今のメタバースの片隅…VRChatってのはそういうクレイジーなところだ。今日は特別にお前がそのヤバい世界で生きていくための小手先の技を教えてやる。

で、まずお前はどんなUserだ?始めたばかりか?それともこの狂った世界に入り浸ってる住人か?ああ皆まで言うな。どうせお前はゲーム開発エンジンであるUnityを触るのが嫌でアバターのアップロードや改変をするのが億劫になっているだろう。せっかくBoothで購入したアセットはダウンロードフォルダの下の方に埋もれている。俺は山で一番賢いたぬきだからお見通しだ。だから先ずはUnityなんかよりも基礎的な部分から話す。

お前にとってのVRChatとは何だ

お前はもしかすると、VRChatを現実とは違いなんとなくふわふわした思想でアイドルやらタレントやら有名になれる、何者かになれる場だと思っていたかもしれない。だがそれは大きな間違いだ。VRChatとは、現実の喧騒から逃れてきた奴やらMMOの攻略戦争から降りてきたいわゆる退役軍人により形成されたスラムであるが、基本的には皆優しい。聞いたことには答えてくれるし人によっては1を聞いて10を教えてくれる老師もいるだろう。しかしお前が自分自身の手で切り拓いていかねば道は無い。何も言わずパブリックやフレプラで突っ立ってるだけで人に囲まれるなんてのは稀だ。いいか、よく聞け。VRChatで上手くやるためには、最高に着飾ったアバターもインスタ映えする自撮りも3Dモデラーとしての技術も必要ない。必要なのはお前自身の……勇気だけだ。

基礎の挨拶

まず基礎の基礎から教えてやる。真の仮想住民は初対面にアバターの容姿に頼らない。ニンジャを思い出せ。たとえ戦いであっても挨拶から入る。相手がバナナであってもナインボールであっても、対面した際の挨拶は不可欠だ。これができない奴はスゴイ失礼にあたる。そう、ここで一匹狼を気取った不愛想な奴を演じてしまうとお前を知らない奴らは離れていき、そのクールな対応は自らを痛めつける刃と化してこのインターネットスラムですら居場所を失うハメになる。やがてお前はSNSに上げた自撮りを削除し、アカウントを非公開にした後……転生の炎を身に纏いJPチュートリアルに再誕するだろう。しかし誰にでも挨拶をしてみるとどうだ。お前は会話に入り、友人が増え、そしてコミュニティという大きな輪に入ることでそのうちイベントのキャストにすらなれる。その第一歩が挨拶というわけだ。Joinした先が会話をしている途中だから?人が集まっているから?関係ないね。人のインスタンスに入ったのならまずは挨拶。お前のインスタンスに友人が入ってきたのなら歓迎の意を示せ。腰抜けになるな。

表情の使い分け

じゃあ次は…何?上手い改変の仕方?今バーチャルパブリックシティで一番流行っている服飾?まぁ待てそりゃ後回しだ。お前が次にやるべきことは「表情の使い分け」だ。現実世界コミュニケーションが苦手で表情筋が弱まっていようがここでは関係ない。ハンドジェスチャーに登録された表情を覚え適切なタイミングで使うことだ。
さて、さっき挨拶について話したな。その時に合う顔とはなんだ?そう、笑顔だ。デフォルト顔で挨拶しても良いが小手先の技を覚えろ。オープンハンドに入れておけ。友達と写真を撮るときはピースで別な笑顔、フィンガーポイントには困った時や驚いたときのために白目。そんな感じで割り当てをしろ。お前の中でテンプレートを作れ。使えるものは全て使え。ついつい座って話しているとその手には酒とツマミを持つが故にコントローラーを置きがちだがそんな手抜きは仲良くなってからにしておけ。ああ後コントローラーを置いてがたがた揺れるなよ。そっちの"手抜き"は場合によっては不評となる。まぁサキュバス崩れには喜ばれることもあるかもな。

bioでお前自身を説明しろ

さて、基本は分かったな。しかし予習をしておくと更にグッドなコミュニケーションが取れるだろう。先んじて情報を得られるならそれに越したことはない。それがbio。自己紹介や経歴情報を短くまとめたセクションのことだな。そこにお前がどういうUserなのかを簡易的にまとめたテキストを入力しておけ。例えばログインする時間帯であったり、得意技、次の項目で説明するがオンラインステータスの状態などについて書き込む場だ。これを書き込んでおくことによって、周囲からお前にどのように接すれば良いのかを先んじて知ることができる。更新は公式ホームページにログインしてプロフィールからPCブラウザで更新すると楽だ。VRだと入力が大変だからな。

何?自己紹介をなんて書けばいいかわからない?なら俺がテンプレートをくれてやる。

  • 自分の名前(読み方)

  • ログイン時間帯

  • ファントムセンスの有無(例:VR感度があります。接触の際は一声かけてください など)

  • オンラインステータスの詳細(例:Online いつでも呼んで下さい/Ask me イベントに参加しています など)

ここまで詳細に書いておけばお前がどんな感じで接すればいいUserなのかが分かる。人間ってのは知らないものに警戒するもんだ。相手に情報を与えることでお前とその周囲が接近できるようになるまでの時間を短縮できる。やり得ってワケだな。

招待を送られやすくする工夫

お前はオンラインステータスを上手く活用しているか?面倒くさがって更新せずずっと「🟠hima」だとか書いたままにしているだろう。そしてせっかく招待を貰っても忙しく返せない…。書かれている状態と違う状況が続き、毎回返事がなかったり来てくれないと呼び出す方もそのうち億劫になってきてお前から離れていくだろう。これはお前の容姿がどれだけ優れたアバターを着ていてもそうなる。それに俺の経験上では基本的にオレンジステータスは「忙しそうだ」と送らない弱気なお友達ばかりだ。その上いつ見てもステータスが同じ文だと招待を更に送りづらい。お前に招待を送りやすくするために、気を遣ってやれ。事細かに変える必要は無い。気がついた時に自分の状態を反映するくらいでいい。そうすることでお前の友人はステータスを見て呼べるかどうか判断できると知り、お前の知らぬところで無駄な時間や気を遣わせないグッドな関係が築かれていくことだろう。ステータスもテンプレートを作っておけば先に説明したbioにも書けるだろう。さらにいい事がある。お前がfriendsでインスタンスを開いた時にオレンジやレッドのままにしていて「今日は人が来ないな…」なんていうしょうもないミスも防げる。
ああ、あと最近は招待の返信について日本語でのテンプレート対応ができるようになった。以前はVRで打ちづらいキーボードを使うのが億劫で返信を怠っていたかもしれないが、今はそんなこともない。ちゃんと行けないときや、少し遅れてから会いに行くといった時はメッセージを送ってやれ。そういう心遣いがモテの秘訣だ。

字が綺麗な奴は得をする

世間では職に就く時に書類を提出することがあり昔ながらの老人共は「文字にその人間の内なるうんたらが〜」などとのたまっている。このネットが普及した令和の時代にな。いや間違いじゃあない。文字でもなんでも綺麗であることを嫌う奴は少ない。お前は文字を書くのは得意か?しかし仮想空間上で空中に文字を書くのは難しいだろう。しかしこれを改善するポイントがある。QVペンを持て。ああ違うそんな後ろを持つな。そんな雑な持ち方では夏目漱石やエジソンのようなクッソ汚い編集者泣かせの文字になってしまう。そして読めない文字は怪異としてSNSに晒されお前はひっそりと仮想人生の幕を閉じるだろう。だがこれを読むお前にそんな未来は訪れない。ペンの先端を持て。そうするとブレがなくなりお前は空海も驚きのQVペン達人となれるだろう。自分の思い通りになるというのは嬉しいものだ。
それと、袖の長い服で書くのも手元が見えなくて書きづらくする原因になる。アウターは外せるようにアバターを組んでおくと良い。

アバターってのは色と髪だ

そろそろ基礎やら設定やらは飽きてきただろう。別な話をしてやる。まず……他人はお前のことを細かくは見ていない。判断材料はアバターの色と髪だ。パーソナルカラーを決めてお前という存在を確立しろ。で、お前は改変について詳しいか?改変って言ったってよくわからないしデフォルトでも可愛いじゃん!そりゃそうだ。Boothにある3Dモデルはモデラーが汗水垂らしたりかじかんだ手でマウスとキーボードを叩いて作った逸品ばかりだ。まぁそりゃ中にはちっとばかしアレなのもあるがそこはお前の慧眼でなんとかしろ。何?Boothに行くのは慣れてない?なら良い店を教えてやる。

あまり多くの選択肢があっても困るだろう。3つ選出しておいた。ここは名のあるサキュバスたちも利用するショップだ。パソコンやらVR機器に金を使ったお前の財布は既に悲鳴を上げているかもしれないがここまできたら五十歩百歩だ。いいから黙って投資しろ。
髪型は決まったか?なら次は色だ。アバターに使用する色というのはバランスを考慮すると2・3色が無難だ。あれも入れたいこれも入れたいと欲張らずにまずは1色。他の色は服や瞳などの細かい部分にも使われるからな。色についてこだわりがないならカラーチャートとでも睨めっこしておけ。

改変のやり方については「アバター 改変 やり方」とでも検索だ。面倒くさい?どうしようもない奴だなお前は。これを読め。

この解説によりお前は新たな髪型を付け、欲張って服まで実装してしまうことだろう。人間の欲は深い。いいか、着られるのは1着だ。アバター1体、髪型1つ、衣装1着。それだけにしておけ。あまり買いすぎてもフォルダに埋もれるだけだからな。

小規模なSNSであるということを意識しろ

さてこんなところか。ああ、最後に一番大事なことを教えてやる。仮想現実会話【VRChat】にはMMOのようにレベルや資産、装備などは基本的には存在しない。ほとんどが会話を中心としたプラットフォームだ。中にはPVPやPVE、アトラクションなどもあるがそれは主体ではなく友人と楽しくコミュニケーションをとるための一部だ。これがつまりどういうことか...?そう、どこもかしこも井戸端会議なのだ。お前の行動はすぐにこの村社会に浸透する。お気持ちを垂れ流すな。友人として登録されているソーシャルを見てプライベートワールドの表示が多いからといって「私には友達がいないんだ」とか言うな。友人だと思っている相手に失礼だろうが。そう言えば「大丈夫だよ!友達だよ!」と駆けつけてくれる優しい相手もいるかもしれないが、その優しさのリソースは無限じゃない。そんなしょうもないネガティブな成功体験を重ねても誰のためにもならん。入るインスタンスがないならイベントに行け。とにかく輪を広げろ。お前を支える場所を増やせ。問題があった時は即座にSNSに垂れ流すんじゃなく誰かに相談しろ。何?そんな悩み誰にも言えないって?今は人間じゃなくても相談はできるだろうが。ホラ、こいつだってお前にぴったりのパートナーだ。

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困ったらまずはアウトプット。ああ、そりゃ正しいが出力先を間違えるな。
まぁAIはたまにカスのウソも吐くけどな。しかし実際に文字に起こせば見えてくるものもあるはずだ。

どうだ。少しは上手く生きられるように思えたか?俺が最初に口にした「挨拶」という言葉に対し、脊髄発射で「そんな簡単なことw」と拒否反応を示した奴もいるだろう。そういう奴はもう出来てる奴か全く出来てない奴の二部に別れる。だがお前はここまで読んだ。忍耐を持ったつええ奴ってことだ。

それでもお前にはまだ、仮想世界で生きるのに一抹の不安があるのかもしれない。かつては国家間の戦争に巻き込まれたりスペースシップに乗って毎日のようにゴミ拾いに生きる一人前の冒険者だったはずのお前も、VRゴーグルを被って「俺は華やかなキャストにもクリエイターにはなれない…ただの消費だ…」など錯覚に陥っているだけだ。そして今日…それは間違いだったと証明される。お前は強くなれる。俺から伝える事は以上だ。お前は今日できることから始めていけ。真の仮想住民となれ。

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