見出し画像

臨死体験それとも・・

2クール目の化学療法が終わって退院した夜に不思議なことが起きました。息苦しくて目が覚め、トイレに行ってから寝床に戻ると俄に眼前が明るくなってきたのです。勿論まだ夜明けではなく目も瞑っていますから周囲は真暗闇のはずです。一体何が起きているのか・・と焦りを覚えたかと思うと、その明るさが体の中でじわじわ広がっていきました。ちょうどCT検査で造影剤を入れられた時の感覚に似ています。そして、何とも言いようのない多幸感に包まれてきたのです。この一連の感覚が潮の満ち引きのように三回ゆっくりと繰り返しました。その後、何事もなかったかのようにすべてが終わり、ただ寝床にぽつんと寝ている自分に戻っていました。

この不思議な経験はこれまで多くの人が報告した臨死体験に酷似しています。私の場合は生死の境を彷徨うような状況ではなかったので、おそらくは抗がん剤の副作用だったのでしょう。しかし、もしこれが死ぬ時の感覚であれば、死は怖くありません。そればかりかお迎えが来るのであれば笑顔で迎えに応じることができます。臨死体験を経験した人の多くがその後の人生を肯定的に捉えられるようになり、周囲に対する感謝の念が強まったと語りますが、私もまさにそういう心境です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?