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「Liberal Arts 101」 May Week 2

◉小論文:「見解を簡潔にまとめる」練習

課題:

映画『東京物語』を☆で評価し、その理由を一パラグラフでまとめてみる。

ジェンダー論を扱った先月のクラスで、小津安二郎の『東京物語』(1953)を短く取り上げました。その後、受講生全員がこの作品を視聴してくれたため、上記の課題を設定してみました。おそらく、全員にとって、これが人生初の「映画批評」となったはずです。

一例を紹介しましょう。

“★★☆☆☆

東京物語の作風は全てにおいてローテンポである。現代の若者が見る映画はセリフ、曲、映像全てにおいてハイテンポの物、言い換えれば視覚的、聴覚的に刺激が多い。若者は映画自体に物語の良さ、またそれ以上の刺激を求めている。日常を淡々と描いている東京物語においては物語の良さを理解する以前にその低刺激故、睡魔が襲う。結果として度々意識を喪失し、内容を理解できないままクライマックスを迎え、充分に楽しむ事ができない。”


◉講師コメント:

『東京物語』を評価する場合、当然ながら、1953年と2024年という時間の経過、その間に起きた日本社会の「パラダイム転換」、ジェネレーション・ギャップetc. を考慮することが不可欠です。

クラスでは、上の評からさらに一歩踏み込んで考察を深めるために、日本人の「時間意識の変化」という問題を取り上げました。

サブスク全盛の現在、自分の選択によらない作品を共有し、それについて評価を述べ合うというのは、それ自体、貴重な経験です。


参考資料:

内田樹「今さえよければそれでいい」社会が“サル化”するのは人類が「退化のフェーズ」に入った兆候内田樹インタビュー「サル化」が急速に進む社会をどう生きるか?」


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