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「Liberal Arts 101」 April Week 2

◉使用テキスト:
ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ
「日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC東京特派員が振り返る」

◉解説:
BBCの東京特派員だったルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ氏(Rupert Anthony Wingfield-Hayes)が、2023年1月、離日前に公表したエッセイ記事です。当初、広く反響を呼んだので、ご記憶の方もいるかもしれません。
英語のタイトルは、"Japan was the future but it's stuck in the past"。この記事で、ウィングフィールド=ヘイズ氏は、戦後日本社会のさまざまな問題点を指摘しながら、その来し方と行末を「愛情」ある仕方で冷静に描き出しています。日本の現状をマクロに捉える上では、格好の入門的テキストです。
クラスでは、適宜、解説を加えながら、テキストを「精読」(かつ「音読」)しました。普段からどのぐらい広くニュースに触れているか、現時点で人文・社会科学系の基礎知識が備わっているかをざっと確認するのが、主なねらいです。その上で、イギリス人ジャーナリストの目に映った日本の姿を我々がどう受け止め、咀嚼し、反応できるのかについて考えました。

◉クラスで取り上げた主要トピック(一部)
・トヨタの「ジャストインタイム」方式
・「家父長制」 →  さだまさし「関白宣言」も共有しました!
・「ソフトパワー」と「ハードパワー」
・「オルタナ右翼」
・日本の「純血主義」と「社会的調和」 →  「単一民族神話」と「天皇制」の社会的・政治的機能
・幕末以降の人口の推移
・「長老支配」(gerontocracy) と「シルバー民主主義」
・「ジェンダーギャップ指数」

◉小論文の課題:「ウィングフィールド=ヘイズ氏への手紙」

ウィングフィールド=ヘイズ氏の「日本社会論」は、日本の現在についてどちらかといえば「批判的な」、そしてその未来については「悲観的な」見通しを示しています。もし、現代日本に生きる若者の一人として、あなたがウィングフィールド=ヘイズ氏に手紙を書くとしたならば、どのような事を主張しますか?(字数 800字)

◉講師コメント:
あるいは、ウィングフィールド=ヘイズ氏の日本に対するスタンスは、「ambivalent」(両義的な)と形容するのが適切かもしれません。
ともあれ、最初にこの記事を読んだ時、まず頭に思いうかんだのは、ニーチェのあの有名な「aphorism」(アフォリズム/箴言)でした。

The snake which cannot cast its skin has to die.
    「脱皮できないヘビは死ぬ。」

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