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「Liberal Arts 101」 April Week 3

◉主要テーマ:「ジェンダー」

Week3 の主要テーマは「ジェンダー」(社会的・文化的性差)です。Week1で取り上げたBBCの元東京特派員ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズさんのエッセイ記事の中で、日本の「家父長制」(patriarchy)についての言及がありました。

記事では、現代アメリカの「オルタナ右翼」が日本社会を一つの理想としているという文脈で、「社会的調和」と並んで、「家父長制」が挙げられています。

クラスでは、「フェミニズム」とは何かを世界史的な流れを抑えつつ解説し、「家父長制」、「性差別」、「ジェンダー規範」、「ジェンダー役割」、「社会化」、「男性中心主義」、「ミソジニー」、「パターナリズム」など、基本的なキーワードについて学習しました。

▶︎クラスで取り上げた主要人物:

・上野千鶴子

・オランプ・ド・グージュ

・メアリ・ウルストンクラフト

・エメリン・パンクハースト

・平塚らいてう

・市川房枝


Olympe de Gouges


▶︎クラスで使用した資料(一部):

・歌謡曲・ポップスの歌詞(さだまさし「関白宣言」、奥村チヨ「恋の奴隷」、テレサテン「時の流れに身をまかせ」、西野カナ「トリセツ」、ヤングスキニー「本当はね、」)

上野千鶴子「平成31年度東京大学入学式祝辞」

内田樹『<おじさん的思考>』韓国語版の序文

・映画『未来を花束にして(Suffraget)』予告編

・映画 小津安二郎『東京物語』予告編

・映画 山田洋次『東京家族』予告編


◉講師雑感:

クラスで小津安二郎『東京物語』の予告編を見ることなったのは、使用した教材、思想家の内田樹『<おじさん的思考>』韓国語版の序文の中で、かつての家父長制にもあった「いいところ」(≒ メリット)の説明に小津作品が持ち出されていたからでした。

 講師として興味深かったのは、内田氏の「家父長制擁護論」が妥当かどうかではなく(それもありますが)、受講生たちの『東京物語』に対するファースト・リアクションです。当然予想されることではありますが、「デジタルネイティブ」で「さとり世代」(Z世代)に属する受講生たちは、『東京物語』には「食指があまり動かない」

 考えてみれば、無理もありません。まずは、「モノクロの壁」が高く立ちはだかっています!それをおくとしても、「映画を倍速で観る人たち」が増えている現代、『東京物語』のような<スロー>な映画をじっくり鑑賞するというのは、もはや「時代錯誤」(anachronism)以外の何物でもないのでしょう。。。。言われて久しいことですが、「映画」という文化のあり方が大きく変わってしまいました。それを「鑑賞」(消費)する我々のあり方も然り。良くも悪くもです。

 さようなら、「世界の小津」。。。

 しかし、MILEに来なければ、多分彼らが小津に「出会う」ことも、講師の老婆心ゆえに「一応観てみたらいいよ~」と薦められることも、「『東京物語』観るなら、倍速はダメだよ」とやんわり釘を刺されることも、多分なかったでしょう!


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