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お酒が大好きな弟

2020年5月。
弟が亡くなってもうそろそろ丸2年になります。

2019年の夏、病院の先生に私と両親が呼び出されました。
『もう1、2カ月だと思います。
年内,生きられることはないと思います・・』

ドクターの悲しい宣告でした

しかし私も両親も沈んでもいられませんし、何とか元気になってほしいといつも通りの生活を送りました。

一方寝たきりの弟は点滴で手足はかなりむくみ、呼吸の機械を外す時間が少なくなってきていました。

モルヒネを使う事も多くなりつつありました。

そんな中、弟は『退院するから施設を探してくれ!』

と言い出しました。それがよかったのか悪かったのか、わかりませんでしたが、弟は、病院ではなく、退院してお酒を飲んだり、友人と語り合ったり、少しでも普通の生活に近い生活をしたかったのです。

私たちは必死でALSを受け入れてくれる施設を探しましたが、弟の病状で受け入れてくれる施設はほぼありませんでした。

生活の全てに人の手が必要になります。

そんな中、一か所受け入れてくれる施設がありました。

2019年10月、弟は病院から引っ越ししました。

寝たきりであまりいい状態ではありませんでしたが、弟は夜寝る前になると現在の私の夫を呼び出し、ほんの少しお酒を飲ませてもらうんです。
日本酒を少しストローで・・・

『いや~うまいな~』
あまりに美味しそうなその顔を夫は今でも忘れることができないのだそうです。

病院を退院し、好きなお酒を飲み幸せだったことでしょう。

好きなお酒に付き合い、世間話をし、歯を磨いてあげ、顔をふいてあげ、手作りの足用のナースコール用のボタンの場所のを整え、身の回りを整え、夫は冬の寒空の中帰宅しました。

今日出会ったある方が私に言いました。
『私は介護で人の生死にかかわったことがあるのよ。友人で難病だったの。
途中、なんで私が?と嫌になったとき、ある人に言われた言葉で納得して介護をさせてもらったの。』

『お友達は前世ではあなたを助けてくれた人なんだよ』

その言葉で目が覚めたそうです。今恩返しなのね・・・

きっと夫も私も前世では弟に助けられたのかもしれません。

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