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車椅子
ALSの弟の生活の場所ははじめは実家、そのあとは病院、施設(サービス付き高齢者施設)などで暮らしました。
必ず私か両親が必ず顔を出し、話し相手になったり、食事の手伝いをしたり、週3回のリハビリに連れて行ったりとなかなか忙しい生活でした。
そんな中、とてもお世話になったのが車いすです。
ただ、うちの弟はめちゃくちゃデカかった。(身長182センチ)
車いすがなかなか体に合いませんでした...
介護保険で適用になる車いすは、その人にピッタリの大きさになっているわけではなく、
小柄な日本人向けように作られているとのことでした。
オーダーメイドもあるようでしたが、一度作ってしまうと病気の進行に合わせて変更ができないということもあり、ケアマネジャーさんと相談しながら、選びました。
いろんなタイプの車いすを試して、試して、弟が選んだものは一番軽いタイプの小回りが利きやすいものでした。明らかに弟の体には小さすぎましたが・・・
なぜかというと、弟を連れて病院や外出に連れていくとき、車いすを畳み、軽自動車に積み込んだりおろしたりしなければなりません。
コンパクトで積み下ろしをするのが私や、年老いた両親では、重いものを持ち上げることができないことを考慮し選んだんです。
そして手も足も動かない弟は全ての操作、乗り降りを他人に委ねるしかありません。
日々の生活には欠かせない道具で、起き上がりトイレに行く時、ご飯を食べる時、全て車椅子に乗せます。
そしてその車いすと共にいろいろなところに出かけました。
家や施設から病院に行くだけでも気分が変わり、体の調子がいいときはなるべく外出をしました。
弟が気持ちがスッキリすると言っていたお気に入りの神社に連れて行ったり、自然のあるところや花の咲いているところ、たまにはファミレスで食事をしたり、高校野球を札幌の球場まで毎週見に行ったり、大活躍してくれました。
軽量の車いすは軽くていいのですが、弟の大好きな自然の道や、神社のような砂利道では、なかなか思うようには動いてくれません。
『うわー、ここ動かないわ〜』と言うと
「しっかりトレーニングしろよ!」と上から目線??の弟に叱咤激励され、ちょっとムカつきながらも私も日々トレーニングとして、車椅子を押すことに励みました。
昨年私もコロナの濃厚接触者になって、自宅にこもりきりの生活になったとき、
外に出られないというだけで、けっこうなストレスになりました。
外に出て、太陽の光や風にあたり、自然の匂いを感じ、世の中の動きや人と触れ合うことっていうのはどれほど刺激があり、生きていることを実感することなのでしょう!
ALSの弟にとっても、外出というのは一番の薬であったと思います。
どんな薬より、自然の力は偉大です。
私たちは五感をつかって日々生きています。
これこそ生きていく喜びなのだと思いました。
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