空①

インドで誕生した般若心経には"空"という概念がたびたび登場する。

空(くう)とは何か。

空(そら)のことではない。

舎利子は観自在菩薩に問うた。

「一体、あなたの得たビジョンとは何か」

この質問に対して観自在菩薩は次のように答えた。

「舎利子よ。色は空に異ならず。空は色に異ならず。色は即ち是れ空。

空は即ち是れ色。受想行識もまたかくの如し。」

つまり、観自在菩薩は五蘊(色・受・想・行・識)はすべからく空であると述べた。

五蘊とは

色→物体

受→感受

想→表象

行→意志

識→認識

私たちが見たり感じたり考えたりすることはどれも実体のないものであり、空とは寄せては返す波のようなものである。

波というのは元をたどれば海と同じ水でできている。

私たちが「見たり感じたり考えたり」することも波のように浮かんではまた海に戻っていくというわけだ。

ないものがあるというのが空の概念である。(まさに禅問答である)

同じ般若心経に頻出する"無"という単語もあるが、空と無はまた別物である。

空とは"からっぽ"ということ。

入れ物に何も入っていない状態のことを"空"と呼ぶ。

対して無とは、入れ物さえも無いことを指す。

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