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ベルリン家探し #賃貸詐欺に注意編

twitterでフォローしているドイツ関連の方々の間で残念ながら賃貸詐欺にあわれてしまった方の情報が流れてきました。ベルリンも空室率2%と言われる住宅難で、常に新規流入者が絶えないため、残念ながら在独日本大使館が発行する「安全の手引き」に注意喚起が載るほど賃貸詐欺がポピュラーなのが現実です。

実は私も頭では「詐欺が多い」と知っていたものの、実際には住宅がなかなか見つからない焦りから、引っかかりそうになりました。注意喚起の意味を込めて、経験談をまとめておきます。

私が遭遇した詐欺のケース

私のケースは以下のような経過を辿りました。なお、WG(いわゆるルームシェア)などの場合はまた違うケースがあるかと思いますし、常に新たな手法が生まれていると思いますので、あくまで一例です。

・有名賃貸サイトで見かけた物件に、賃貸サイト経由で内見を申し込む
・貸主から、出張で海外におり、すぐに内見してもらえない旨返事がくる(独語。私は当時ドイツ語がわからなかったため、google翻訳で読みました。)
・貸主から、しばらくベルリンに帰れなくなったが、貸す気持ちがあるので、先にデポジットを払って貰えれば鍵を送ることができると再度連絡(独語)が来る。なお、デポジットは保険のようなものなので、こちらが部屋を見て気に入らなければ返金するとのこと。
 ※この時点で配偶者🇩🇪が疑問を抱き、詐欺を疑う。なお私は詐欺かどうかは半信半疑。
・旦那の強い懸念で返事をせずにいたところ、貸主から他の希望者も多数いるのだが、と焦りを煽るようなメールが来る(独語)。
・疑っている旦那はこの物件が引き続き賃貸サイトへ掲載されている様子を見て疑惑をほぼ確信へ変える。「そんなに人気なのにまだ募集しているのはおかしい」
・賃貸サイトから、この物件は詐欺物件ではないかとユーザー通報を受け調査をしているため、やり取りには慎重になるよう通知あり。
・そのまま放置していたところ、賃貸サイトより詐欺確定の旨通知あり。物件がサイトから削除された。

もし焦りを煽るメールのあと、仮にデポジットに関する取扱いの書類(例えば返金の条件を書いたものなど。ただし、サイン不要で実際には無効になるだろうけれど、一見信頼できそうなもの)などが送られてきていたら、住宅を一刻も早く決めたい焦りから、私一人であれば疑問を持ちつつも突っ込んで行ってしまった可能性は正直捨てきれません。

予防法

語学がわからなくても比較的簡単にできることをまとめました。どんな部屋の場合でも、一旦はやる気持ちを落ち着け、下記を確認することをおすすめします。

・まず、契約書にサインする前にお金のやり取りを提案してきた時点で、残念ながらほぼ限りなくクロです。サインをしていない段階では、お金は振り込まないようにしてください。また、たとえ振り込まなくとも、不用意に口座情報も教えないことをおすすめします。
・住所をgoogle検索。ストリートビューの風景と、外観の掲載写真が合っているか確認する。写真が掲載されていない場合は、貸主さんに送ってもらう。
・物件写真をgoogle画像検索。詐欺であれば、複数違う物件の写真として登場するケースや、フォトストックの写真を勝手に使っているケースもある。
・賃貸人(メアド、社名など)を検索、被害報告や疑問などが出ていないか確認する。これは必ずドイツ語の結果もgoogle翻訳で良いので確認すること。
・賃貸相場を第三者サイトなどでなるべく把握。相場より安いのに条件が良いなどは注意。

好条件の物件は、実際のところオンラインの賃貸市場に出回る前に、仲間内で貸し手が見つかることがほとんどです。オンラインで賃貸に出す場合、賃借人の審査や内見対応など負担が大きいため、多くの貸主(特に個人の場合)は知り合いの知り合い程度までの関係内で信頼できる人間に貸せる場合、そちらを優先しています。したがって、相場よりも良すぎる条件の物件がオンラインで出てきた場合には、喜びすぎずに詳しく確認しましょう。

なお、項目最後の賃貸相場がわかりにくいかもしれません。アパートを借りる場合、ベルリンの日刊紙であるMorgenpost紙が運営する賃料相場サイトがおすすめです(WGは残念ながら対象外)。インタラクティブなため、ドイツ語があまりわからなくても確認ができます。

また、エリアによって平均賃料は変わりますが、概ねの相場(2019年時点)として建築年と広さによって㎡単位の単価を掲載しておきます。ソースは同じくMorgenpost紙の今度は記事になりますが、可能な限り、必ずご自身でも最新情報のご確認をお願いいたします。

なぜ引っかかってしまうのか?

ところで、普通の状態であれば、おそらく大半の方が引っかからないであろう賃貸詐欺。それでも私が引っかかりそうになり、現に被害にあわれる方が絶えないのには、大きく3つ理由があると思っています。

理由1) なかなか住宅が見つからないという「焦り」と「貸し手優位」
理由2) 現地の賃貸慣習に詳しくない
理由3) 相手から急かされ、急ぎ結論を出さなければならないという「タイムプレッシャー」

1.なかなか住宅が見つからないという「焦り」と「貸し手優位」

とにかく、本当に住宅が見つかりません。前述の通り空室率がとても低い(供給が少ない)上に需要過多なため、そもそも希望のアパートが見つからないどころか、部屋探しのスタートにも立てないことが多くあります。

我が家は当初オンライン賃貸サイトを利用して家探しをしていましたが、「良いな」と思うアパートを見つけては内見を申し込むものの、申し込めど申し込めど返事すらこない日々が続きました。良いアパートは埋まるのも早いため、当初は場所はもちろん広さ、日当たり、階数など色々と希望を持って厳選していましたが、そもそも自分が良いと思う物件は周りも良いと思うわけで、競争率が高すぎてあっという間に(文字通り掲載からあっ!という間で)なくなってしまう。仕方がないと思って最低限の条件を満たした物件に手当たり次第内見申し込みを送ってみても、返事すらない。家を見に行って気に入らないとかではなく、そもそも内見にすらたどり着けない
それなのに、時間だけは過ぎていく…
ベルリンで住宅探しをされる方はblogなりで大変だと事前に情報収集されると思いますが、実際のところ、読むのと実際に自分が体験するのとは全く違いました。住むところがいつまでたっても判然とせず、荷解きも完全にはできず、借り暮らしなのに状況が何も進展しないというのは、予想以上に、精神的に追い詰められます。当初は「いや〜本当にすごいのね」と笑う余裕がありましたが、さすがに日数が経ってくると笑えません。

焦りの中、良い条件のアパート(詐欺物件は概ね条件は良い部屋を語っています)の賃貸主から「貸せる」と返事が来る。この藁をもすがる気持ちが届いた嬉しさ!この物件を逃したら他に候補がないんじゃないか、そういう心の隙間にすすすーっと入り込んできます。

2.現地の賃貸慣習に詳しくない

現地の生活に慣れてきて、相場を知っていたり、やりとりの慣習がわかってくれば「これは絶対におかしい」ということでも、初めての部屋探しで、現地で助けてくれる人もいないと、自分の疑問に確信が持てない時があります。
また、部屋探しへの焦りから、気になる点があっても、「そういうこともあるのかもしれない」とついつい希望的な観測に頼りたくなってしまうこともあると思います。

3.相手から急かされ、急ぎ結論を出さなければならないという「タイムプレッシャー」

住宅難だということを前提に、相手も足元を見てきます。つまり、「他にも希望者はたくさんいるので、あなたがすぐに判断しないのであれば他の人に譲る」とプレッシャーをかけてくるのです。
このタイムプレッシャーが他の人へ相談したり、アドバイスを広く求めることを阻害してしまいます。

繰り返しになってしまいますが、「きっと大丈夫」と思わず、少しでも疑問に思うことがあれば、「もしかしたら…」と思っていただけたらと思います。

今後状況の改善見込みはあるのか?

ベルリン市ではここ数年家賃の高騰が続いたため、2019年12月、先日家賃の平米単価に上限を定める法が可決されました。

この法のおかげで、少なくとも家賃の高騰については今後は落ち着くだろうという見解も見られますが、いずれにせよ住宅数そのものが爆発的に増えているわけではなく、しかし人口流入は続いている以上、住宅難は今後ももうしばらく続くものと思います。

新生活の拠点の確保は本当に大事な一歩です。少しでも被害に合われる方が減ることを願っています。

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