選ばない生き方

この世に存在するものは、全て背反する2つの原理と要素によって構成されています。

幸福と不幸、光と闇、美と醜、善と悪、正義と悪、道徳と不道徳、健康と不健康など挙げたらキリがありません。

例えば、幸福という感覚は、不幸という感覚が存在しているからこそ認識できるものです。

この世に不幸という感覚が存在しなければ、幸福という感覚を知ることは不可能です。

幸福の背後には不幸が必ず存在し、幸福を支えています。同じように不幸は背後で幸福が支えています。

どちらか一方だけが存在することは不可能であり、もし一方だけが存在した場合、それは得体の知れない何かに過ぎず体感することが出来ません。

両方が存在するからこそ、認識し体感することが可能になります。

この世に存在する全ては表裏一体の存在で、コインの表と裏のようなものです。従って、同時に両面を見ることは絶対に不可能です。

一度、コインの両面を同時に見れるか試してみると分かると思います。

では、コインの表側を見ている時、裏側はどうなっているでしょう?完全に消えていると言えるでしょうか?

コインの裏側は目に見えていないだけで確実に存在しています。

これは、この世の全てのことに当てはまり、どちらか一方を選んだとしても、対極の存在は目に見えない場所で必ず存在しているということです。

しかし、人間はどちらか一方を選び、それが全てであると勘違いしがちです。

どちらか一方だけを選ぶからこそ苦悩し、時には争いを起こします。

幸福を選ぶが故に手に入らないことに悩み、仮に幸福が手に入れば今度は失って不幸になることに悩みます。

善や正義を選ぶが故に、それが全てであると勘違いをして悪を否定し、時には攻撃することで争いを生みます。

美や健康へ執着するが故に病的になることも少なくありません。

不幸になった時に苦悩するのも、幸福を選ぶことに原因があります。

人間は不幸な出来事に遭遇した場合、早く不幸が去り幸福になることを望みます。

これは幸福を選んでいるということです。

このように全ての苦悩の原因は一方を選ぶことによるものです。

人間は選ばない生き方をした時に、至福の人生を歩んでいくことが出来るのかもしれません。

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