見出し画像

火山たんの自己紹介、家を出るまで

これまでも私のことについてはTwitterで触れたりはしていましたが、まとめて書いたことはあまり無かったように思います。この記事では入りきりませんが、私と火山の出会いから書いていきます。重要でないところは端折って、サラっといきます。


火山に恋して

忘れもしない2004年のこと、当時10歳の私は情報に飢えていました。父親の仕事の影響でインターネットには小学校に入る前から触れていたので気象庁のホームページはいつも見てました。2003年の冷夏を経て、あまり意味は分からないものの天気図を見て衛星画像を眺める毎日でした。ちょうどそのころ、気象衛星ひまわり5号が寿命を迎えて、新聞の天気予報コーナーに掲載される雲の画像が白黒の天気図になっていたことを覚えています。

どのように自然科学に興味を持ったのかは覚えていません。インターネットで子供でも見れる身近な話題が気象だったのでしょう。地震についてもたまに起きるので軽く見てはいましたが、それ以外の事柄には、特に理由もなく触れていませんでした。

そんなある日、おそらく秋だったかと思います。なかなか行かない名古屋の駅ビルにある本屋で自然科学のコーナーに行きました。小学4年生には難解な本をいくつか読もうとして、そっと戻し、ふと目に入ったそのタイトルに惹かれました。

「火山に強くなる本」……なんだそれは?もちろん、火山という存在を知ってはいた。けれど、よく知っていたというわけではない(今でもそうだけれど)。何か面白い情報はないかと開いたページ。カラーの噴火写真が目に飛び込んできた。1986年伊豆大島噴火の割れ目噴火が見せる赤と黒とオレンジのダイナミズム。大地を引き裂き、地下の熱量を成層圏にまで届ける規格外の存在。こんなものがこの世に存在するのかと感動した。事細かに記すと何千文字にもなるので控えておくが、これが私と火山の出会いだった。それは恋と言ってもいいかもしれない。


滞留、募る思い

運命の出会いから数年、高校生になったが、火山に関しては私は何もできていなかった。ネットで火山の情報を集めようとはしたが、当時はまだTwitterを始めていなかったこともあって火山学者の方々と繋がるようなこともなかった。とはいえ、気象庁のページで活火山がどこにあるかを調べたりはしたし、いくつか火山についての本も読んだ。その中でも格別だったのはこの本だ。

「死都日本」。Twitterで火山界隈に居れば耳にしたことはあるだろう。巨大カルデラの誕生、全方位火砕流、降灰とラハール、「破局噴火」。それまで火山学の論文でしか記述されていなかった災厄が現代に姿をもって出現した。その影響は専門家をも揺さぶり、火山を考える上で必読書とも言えよう。私の視点から話すと、2004年のスマトラ島沖地震を見聞きして、災害の上限に限りは無いのではないかと思いつつあったところだ。そんな中で、国が滅ぶ物語を見つけたら食いつかないわけがない。のめり込んだ。その後、今に至るまで定期的に読み返している。

しかし、身のまわりで火山について学べる環境は乏しかった。高校では理科で地学が開講されてなく、理系コースで一般的だった物理と化学を選択した。あまり成績は良くなかったが、後に地学の基礎理論を学ぶ時に役立った。社会科で地理を選択することもできたが、私が見た教科書では山が出来るのは新期造山帯のみと書かれていて、ホットスポットに触れていなかったのでプレートテクトニクス的にこれは違うと思って選ばなかった。代わりに履修した日本史は神社巡りを始めた時に引っかかる情報があって助かった。

高校生は将来のことを考えさせられる存在である。私は親からハイレベルな理系の仕事に就けと圧力をかけられて、オープンキャンパスにもたくさん行った。が、申し訳ないがあまり興味が無かった。せっかく自分の人生を使うのだから、火山に近づきたいと思ったのだ。当時は火山の研究といえば自然科学からアプローチするしかないと思っていたので、地球科学系の学科を目指すことにした。しかし、悩みもあった。2011年に起きた震災を受けて、自然現象について人間が研究したとして、どうしようもない領域があるのではないかと思ってしまったのだ(それについては後の記事で自分なりの答えが出るので期待してもらいたい)。親への反発と火山への憧れと惰性。勉強に身が入らないまま高3を迎え、なんとなく時間が過ぎていく。


道を変える

受験の結果から言うと、第一志望だった地球科学系の学科には落ちた。高校生の途中で気付いたが、私は理系としては致命的に数学と物理と化学が苦手だったのだ。都市デザイン系の学科で地元の大学には合格したものの、火山と直接関わるかは微妙だと思った。

だがここで、分岐が生じた。記念受験のつもりで受けた東京の私立大学の行政系学科に合格していたのだ。どうしてそこを受けたのか、そこから疑問ではあるのだが……ここで思いついたのが、「地方自治体で防災を担当する仕事に就けばいいのでは?」という考えだ。

火山に少しでも、どんな形でも近づきたい。その思いだけで、より近いと思えた方を選んだ。受験を全て終えた後でいわゆる文系に転じるのも珍しいだろうが、すべては火山のため。たった1人で東京に向かった。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?