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世界石巡礼ブログ モンゴル

🔴2009/04/08  モンゴルの亀岩

 初めてモンゴルの首都ウランバートルを歩くと、モンゴル人の表情がどこかチベット人の面影と似ていて親しみを感じた。街中は車が多く、人々が信号を無視して道路を横断している姿にはかなり驚いた。 

 モンゴルでは、テレルジ国立公園の亀岩をどうしても見たいと思っていた。我々は、宿泊していたUBゲストハウスが主催する一泊二日のテレルジ国立公園のツアーに参加することにした。 4月7日朝9時、ゲストハウスから参加者6人を乗せたバンは、2時間ほどでテレルジ国立公園へ到着する。 さっそく、亀岩と対面することができた。とにかくでかい。幅は100m以上、高さ50m以上はあるだろうか。 

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 撮影後、今日宿泊するキャンプ地に移動しゲルで休憩する。ゲルとは遊牧民の移動式住居だか、このテレルジ国立公園の中には観光用のゲルがたくさん張られていた。 昼食を済ませてから再び亀岩を目指す。亀岩を右周りで一周すると、見る角度で岩の形は異なっていた。 一周してから亀岩の頭の部分の下にある石積みを見つけた。そこには、青い布も置かれていた。 

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 気になったのでモンゴル人に石と布のことを尋ねると、重要な巨石の前にきた時、その自然のパワーをいただくために「HADAG」という青い布を場所に奉げるというのだ。また、小石を拾って石積みをして3回周るという。これも、チベットのマニ塚に似ている。 テレルジ国立公園の中を巡っていると、この青い布を何度か見掛けた。たいていは巨石の近くの木に布が巻かれていた。青い布「HADAG」は、モンゴル人にとって自然信仰の象徴のように見える。そのうえ、巨石信仰をも強く感じさせるのだ。 

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夕刻、ゲルの中にはスウェーデン人、フランス人、ブラジル人、ニュージーランド人、タイ人などで賑やかな雰囲気になった。驚いたことは、その中に日本の神奈川で生活したことがある人が四人もいて日本語も通じたことだ。 皆で夕食を食べ、遅くまで盛り上がった。 翌朝、キャンプ地のすぐ背後にある巨岩に上がった。巨岩と対峙しながら、しばしムビラを弾き続けていた。山頂部の岩は、まるでパラボラのような効果になって音がよく響く。 帰りがけ、巨岩の下に隙間を見つけ中に入ってみることにした。すると、かなりの洞窟空間があることが分かった。 この岩は、まるで人工的に配置したような構造になっていて本当に、不思議な空間であった。言うまでもなく、私は洞窟の中でムビラを奏でた。  

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 テレルジ国立公園の岩、それは自然を畏怖するにはあまりにも十分すぎるパワーを感じることができる。 そして、ここを訪れる人々をピースフルにしてくれるように感じた。 

ウランバートルのUBゲストハウスにて 郡司 拝

🔴2009/04/10  モンゴルの大地母神・エージハド 

 モンゴル石巡礼の最後に選んだ場所は、岩をご神体として信仰されるスピリチュアルスポット・エージハドだ。 エージハドとは母親岩の意味で、この岩はマザーロックともビッグママとも呼ばれ、誰の願い事をも叶えてくれるという。 当初、エージハド行きのバス発着場を探したのだが看板がロシア語で分からず、英語も通じず半日かけても見つからなかった。そこで、車を借り切って行くことにした。 4月9日、我々はタクシーをチャーターしウランバートルから南へ約100kmにあるエージハドへ向かった。 草原を見ながら40kmほど走ると舗装がなくなり、オフロードになった。でこぼこ道で車はかなり揺れる。 いくつかの峠を越えると、アヴォーと呼ばれる石積みの中に松葉づえが置かれていることに気づいた。 

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一体、これは何なのかと思いドライバーに尋ねると、一度、怪我をした人が治った後に怪我をしないように松葉づえを奉納して祈願をするという。 時折、草原の風景の中に羊、馬、牛たちが入れ替わりながら3時間ほどでようやくエージハドに到着した。 

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エージハドは、円く囲まれた塀の中に鎮座していた。 その石は人間のような形をしていて、オレンジの服を着て、黄色の帽子を被り、腰から下に青い布が巻かれている。 なんとも存在感に溢れ、青森の石神様の雰囲気を感じさせた。 巡礼者たちは、次から次へとエージハドに身をゆだね一心に願い事をしていた。 

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ドライバーは、一緒に連れてきた娘さんとお参りをはじめた。お香を焚き、クッキーやキャンディーのお供えをし、ハダックと呼ばれる青い布をエージハドに結び願う。その後、周囲を回りながらミルクを掛け、米と粟を撒くのだ。そして、二か所のアヴォーを同じように巡拝し、最後にドックストーンと呼ばれる石にやってきた。 

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この石は、とてもパワーがあって身体を癒してくれるというのだ。ドライバー親子と妻は、楽しそうに石の上に横たわっていた。 このエージハドは、モンゴルの聖なる場所として数百年もの前から信仰されているという。 近年では、宗教や民族を超えて多くの人々がここを訪れるようになり、かなりの人気スポットだというのだ。 それにしても、悪路のなか車で往復6時間とはかなりハードであった。 

 私は、この岩神さまに額をつけ世界石巡礼が全うできることを願った。 エージハドは、まさに大地母神が岩神と化し、この世の救済に現れたような印象を持った。そして、その周りのいくつかの奇石の役割に興味深いものがある。 そう、奇石は奇跡をあたえるのだ。 再びソウルにて  郡司拝 

追伸:今後の予定 4月11日、ソウルからフェリーで青島に入り、4月26日まで中国の石を訪ねます。