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世界石巡礼ブログ イギリス

🔴2009/08/05 イギリス

エーヴベリーとストーンヘンジの石たちとの再会 

10数年ぶりにエーヴベリー・ストーンサークルとストーンヘンジを訪ねた。 この二つの巨石群との出会いは、私の石巡礼の原点ともいえる場所で今回はどうしても訪ねたいと思っていた。 8月4日 ソールズベリのホテルで目覚めると、外は小雨が降っていた。 昨日の夕方、フランスのサン・マロからイギリス・ポーツマスにフェリーで入港し、そのままソールズベリの列車に乗ると次第に雨になった。さっそくイギリスの洗礼を受けたようだ。 早朝にバスステイションで時刻表を調べ、9時20分のバスでエーヴベリー向かった。郊外に出ると、あたり一面の牧草が広がり北海道を走っているようだ。二階建てバスの二階先頭を陣取っていたが、街路樹の小枝が時折バスにあたり、その度に凄い音がしていた。 バスは1時間半ほどでのエーヴベリーに到着する。 ここは小さな集落を取り囲むように環状列石があり、紀元前2600年頃に建造された直径約4kmのストーンサークルは、ヨーロッパ最大といわれている。 10数年前、私が初めてイギリスに来たとき、エーヴベリー・ストーンサークルとストーンヘンジを訪ねた。その時はローカルバスが二つの場所を結んでいた。しかし、バス路線が変更したよいうで二つの場所を一緒にアクセスできない状態で、ストーンヘンジにはツアーバスのみの運行となっていた。 エーヴベリーのバス停近くにの教会跡を生かした観光案内所を訪ねてから、さっそくストーンサークルへ行く。懐かしい巨石たちとの再会だ。

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石はあの時と変わらないでそこに立ち尽くしていたが、変わったのは自分であると、つくづく自覚させられた。いくつかの石を巡っていると、雨脚が激しくなってきた。林に潜り込むと根っこが絨毯のようになった4本の樹と出会う。 

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辺りでは、カッパを着た家族連れ、カップルなどが石に寄り添うように雨を凌いでいた。 

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その後、再びソールズベリに戻り、ツアーバスでストーンヘンジへ向かった。30分ほどで、ストーンヘンジにやってきた。スターンヘンジには、世界各地からの観光客で賑わっていた。この人々を見ていると、世の中には巨石好きがこんなに多いのかと思った。日本語のオーディオ案内もあり、それを聴きながらストーンヘンジを巡る。

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 ちょうど雨も止み、水を含んだ石はしっとりとしていてどこか色気がある。 10数年ぶりに見ても、ストーンヘンジには感動を覚える。ただ、これらの巨石には近付くことはできず、手で触れられないことが残念でならない。

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 ここは紀元前3050年頃から紀元前1600年頃にかけて築かれたとされる巨石遺跡で、円形の直径約100mの台地に直径30mの環状列石が立っている。遺跡に使われた石は、38kmほど離れた土地から切り出され持ってこられたと考えられている。 

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エーヴベリーとストーンヘンジの石たち。久しぶりにこの石と向き合っていると、心の底から元気になって行くような気がした。そういえば、昨年のニュースで、このストーンヘンジの近くから病気の人々の遺骨が発見され、ここが「癒しの場所」であった可能世がある、との報道があった。 その時、何をいまさらと思ったが、やはり「石」には「医師」の力がある。 ソーズルベリーからロンドン行きの列車に乗りロンドンへ近付くと、青空が顔を覗かせていた・・・。 

イギリス、ロンドンにて 郡司 拝


🔴2009/08/12  スコットランドの祭りと巨石 

8月7日

 ロンドンのヴィクトリア・バス・ステイションから12時間で、スコットランドのインヴァネスに到着。 昼食を食べてからさらに北にあるアラプール行きのバスに乗る。2時間あまりで港町アラプールに到着し、観光案内所で、これから行こうとしているルイス島の町ストーノウェイの宿情報を尋ねる。すると、職員が言うには、ストーノウェイでは、今日、明日とスコットランドの音楽祭が行われたくさんの人々が訪れているので、宿を探すのは難しい、と言われた。 もしかしたら、今夜は野宿かと思いながらも、何とかなるだろうとルイス島行きのフェリーに乗った。 ルイス島のカラニッシュには、ブリテン島を代表する先史時代の遺跡スタンディング・ストーンズがある。ケルトハイクロスを現すように建つ、このユニークな巨石群をどうしても訪ねたいと思っていた。 フェリーがルイス島に近付くと、海に一筋の光が差した。 

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2時間半ほどの快適な船旅でストーノウェイの町に到着。午後8時を過ぎていたが、まだまだ日は上っていて明るい。さっそく宿探しに出かけるが、案内所の職員が言ったようにホテル、B&Bなどを訪ね歩くが、すべて満室だった。あきらめかけた頃、あるホテルで満室と断られたが、どんな部屋でもよいから空部屋があったら泊めて欲しい。野宿をすることができないから、と切実に訴えると、少し待てといって、普段は物置として使っているがベットのある部屋を急遽、掃除とベットメイキングとして提供してくれることになった。実にありがたかった。ほっとしつつ、スーパーの入口で待っていた妻に知らせ、買い物をしてチェックインをする。 

 その晩、町の北西にあるルース城近くで行われたスコットランドの音楽祭が行われていた。偶然訪れたルイス島で、スコットランドのバグパイプの生演奏が聞けるとはありがたい。辺りには、何軒もの屋台がでてスコットランドの民族衣装に身を包んだ人々で賑わっていた。グループごとの演奏は迫力があり、1000人くらいの観客は手拍子をしながら盛り上がっていた。 

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ホテルの窓からフィナーレの花火を見ることも、何ともミラクルな一日であった。 

 翌朝、バスステイションでカラニッシュ行きの時刻を尋ねる。すると、一番早いバスが9時10分で、それでカラニッシュへ行き撮影し、次のバスでストーノウエイの町に戻ってくると午後3時を過ぎてしまう。次の予定もあり、その日の14時30分発アラプール行きのフェリーに乗らなくてはならなかった。土曜日は、フェリーとバスの本数が少なかったのだ。ストーノウエイで連泊するのも難しかった。 そこで、カラニッシュからの帰りはヒッチハイクをしてストーノウェイまで戻ることにした。 

 バスステイションからカラニッシュ方面のバスには、私意外に一人の乗客しかいなかった。ドライバーは、かなり飛ばしながら運転する。途中、いくつもの小さな湖を見ながら、30分あまりでカラニッシュ・ストーンズのバス停に到着。 駐車場を過ぎると、ビジターセンターがあり、そこから右手に3分ほど歩くと、カラニッシュのスタンディング・ストーンズが姿を現した。 

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石は、直線上に並ぶものと、サークル状の並ぶものが組み合わされていて、全体を見ているとどこか神聖な雰囲気が漂っている。カラニシュの石は、直接、手で触れることができるのはありがたい。しばらく石を巡っていると、小雨が降ってきた。フェンス入口の正面に小さな岩屋のような石組があり、その中に入って雨宿りをする。

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 雨は降ったり止んだりを繰り返しながら、やがて雨風が激しくなってきた。 その後、再び遺跡群に戻り、撮影をしていると、短い時間だが光が指した。その光景は、まるで人が立っているように見えた。

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 やがて遺跡の見学者が次第に増えてきた。子供から老若男女まで幅広い層の人々が訪れては夢中で巨石と記念写真を撮っている。カラニッシュの石は、特に人気があるようだ。

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 ケルト・ハイクロス(十字)を現す、カラニッシュのタンディング・ストーンズは、ケルト人によって利用されたのだろうか。また、ここで冬至、夏至、春分、秋分などの祭りが行われていたのかもしれない。 少し離れた場所の小さなストーンサークルを見て、ストーノウェイへ戻ることにした。 

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正午を過ぎてから、ヒッチハイクを試みる。ヒッチハイクをするのは10数年ぶりになる。しかも、国籍不明にみられるおっさんに車が停まってくれるのか、と緊張した。ストーノウェイと書いた白い紙を手に持って、走る車に向けて差し出したが、なかなか停まってくれない。 30分くらい経って一台の車が停まってく、この島に働きに来ているイングランド人の男性が、ストーノウェイまで運んでくれた。 カラニッシュのスタンディング・ストーンは、とても印象的な石の風景であった。

ベルファーストにて、郡司 拝


🔴2009/08/12  湖畔に佇むリング・オブ・ブローガー 

8月9日(日) 

インヴァネスからのオークニー諸島のメインランド島への一日ツアーに参加する。 メインランド島には、スコットランドを代表するストーンサークル、リング・オブ・ブロッガーがある。 

インヴァネス朝7:30発のバスに乗りと、ほぼ満席状態だった。北上すること3時間でジョン・オグローツへ。フェリーに乗り換え45分でオークニーのメイランド島バーウィックに到着。バスに乗り換え、島内観光が始まる。ドライバーは、運転しながらマイクで観光ガイドをこなしていた。島内中心の町カークウォールで昼食休憩をして、最初の訪れたのは、スカラ・ブレイ(Skara Brae)遺跡。 

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スカイル湾にある紀元前3100~2500年前の石積み集落跡は、1850年の暴雨風で偶然、発見されたという。新石器時代の遺跡としてヨーロッパで最も保存状態がよいため、1999年にユネスコの世界遺産に登録されている。集落群は600年間ほど使われ、その後、彼らは忽然と消えたといわれる。 バスが次に向ったのは、今回の目的地のストーンサークル、リング・オブ・ブロッガー だ。 

駐車場から小高い丘上に目をやると、小さなスタンディング・ストーンがいくつも見える。私は、興奮しながら300mほどの小道を走った。すると、花畑の上に石達が現れた。 

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紀元前2500~3000年の間に造られたストーンサークルは、もともと直径が104mもあり、ストーンヘンジよりも大きい。リング・オブ・ブロッガーの石は、高さ2~5mで、幅は1~2m、厚さは数10cmもどで、立っている石は36個のみだが、かつては60個あったと言われている。 実際にサークル状を歩くと、その大きさに圧倒される。周囲が壕に囲まれていて、その背後は二つの湖があり何とも穏やかな雰囲気がある。 

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これらの石が、いったい何のために作られたのか、また、どのような目的で使われていたのかは謎だという。

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 しばらくすると、別な観光バスがやってきた。リング・オブ・ブロッガー周りには、次第に多くの人々が集まってきた。観光客の多くは左回りにリングを回っている。 

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石と人々とのコラボレーションを見ながら、ふと思った。 古代の人々もこのストーンサークルの周りに集まっては、サークルを歩いていたのではないだろうかと。 人々の歩く光景を見ていると、まるで何かの儀式のようにみえてきた・・・。

 その後、バスは近くにある他のスタンディング・ストーンの横を通過したが窓越しに説明するだけで降ろしてはくれなかった。 

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オークニー諸島のメインランド島一日ツアーは、移動時間を含めトータル14時間半であった。その中で、リング・オブ・ブロッガーの滞在時間は、わずか20分しか与えられなかった。 しかし、わずかな時間であるが実際にストーンサークルに触れ合い、巡ることができ心から満足することが出来た。

 ベルファーストにて、郡司 拝


🔴2009/08/13 七つのストーンサークル群・ベッフモア 

8月11日(火) 

ベルファーストのバスステイションから9:25発のバスでクックスタウンの町に向かう。 2時間あまりで到着し、観光案内所に行く。 クックスタウンの町から10マイル離れた場所にあるベッフモア・ストーンサークルへはバスは無く、タクシーで行くしかないと言われ、タクシー会社に連絡をしてもらう。 10数年ぶりに北アイルランドのベルファーストを訪ねる。当時は、機関銃を持った兵士達が町中を巡回していて物々しさを感じた。それに比べると、町は落ち着いた雰囲気になった。IRA(アイルランド共和軍)とイギリス政府との関係も平和的共存の方向にむかっているようだ。 

タクシーを待っていると、雨が降り始めた。5分後にタクシーがやってきて乗り込むと、さらに雨は激しくなった。郊外に出ると牧場が広がっていた。ドライバーは狭い道をかなりのスピードで飛ばす。やがて雨は小ぶりになりベッフモアにつく頃にはすっかり雨は止んでいた。ありがたい、と思いつつ勇んでベッフモア・ストーンサークルへ向かった。 フェンスを越えると、緑の絨毯の中にいくつものスト-ンサークルが見えてきた。そこには、二組のグループの人達がいて、ストーンサークルを熱心に観察している。 

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サークルの周りの芝生は、かなり手入れをしているらしく芝刈りをしたあとが残っていた。 ベッフモア・ストーンサークルには、7個のスト-ンサークルがあり、二つがペアとなって配置されていた。また、一つだけ、サークルの中にびっしりと石が詰まったものがあり、中心に陽石を思わせる石があった。 

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また、それぞれのサークルの近くには、ケルン(塚石)と、一直線に並んだ列石が配置されていた。 

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列石は、ストーンサークルの北東から南西方向に伸び夏至の日の出、冬至の日没方向を示しているようだ。 

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北アイルランドのベッフモア・ストーンサークルは、とてもユニークな存在だと思う。 

アイルランド、スライゴーにて  郡司 拝