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ドラマの答え合わせ

学生時代とOL時代とを合わせて合計6年ほど一人暮らしをしていた。最初の2年間はテレビを買わなかった。

ラジオを通して、NHKテレビの音声を聞くことができていたので、毎朝、学校へ行く前に朝ドラの音声を聴いていた。

あ、きっとここで主人公は振り返っている。
このシーンは風景の映像が差し込まれているはず。
ここで彼女は泣き笑いの表情かな。

そんなふうにあれこれ想像を膨らませながら、聴くのが楽しかった。そしてお昼に学食のテレビで、答え合わせをするのが日課だった。私の想像と実際の映像が同じだと、やっぱりねー、などと独り言ちしたものだ。

ネットも携帯電話もまだない時代。メールももちろんない。話したいことがあれば、電話か直接会って話すしかなかった。

待ち合わせるときは、時間はもちろんのこと場所についてしっかり決めておかないといけなかった。家を出たら最後、連絡を取れるものはもうない。(駅に伝言板という名の黒板やホワイトボードがあった。それも時間が経つと消されてしまうやつ)

簡単に繋がれないから会うのが楽しかった。話すのが楽しかった。

電子辞書もなかった。紙の辞書を引くのは楽しかった。発音記号を見て、英単語を発音してみる。それから、例文をたくさん読んで、ついでに前後の単語も読んで、また例文読んで。

必要な情報に向かって、余計なものに邪魔されずに進んでいけた。

今は、簡単に繋がれるSNSがたくさんある。調べものだって、検索まどに打ち込むだけで、答えはたくさん出てくる。たくさん。でも、広告もたくさん出てきて本当に大事なことはどれ?私が知りたいことは、なんだっけ?あ、こんなニュースが、え?こんなことつぶやいている人が。もう、こんな時間。

ドラマの答え合わせを学食でしていた時代の一日と今の一日は本当に同じ24時間なのだろうか。







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