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日本語

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日々の授業のことや学生のことなど、日本語に関する記事をまとめました。
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#学生

卒業式の呼名

普段、出席を取る際、学生の名前はフルネームでは呼ばない。 ファーストネームに「さん」付けして呼ぶことが多い。 卒業式での呼名はフルネームで読み上げる。 昨年の卒業式の10日ほど前だったと思う。 呼名の呼び方の確認と練習として、クラスで一人一人の名前を読み上げた時のことだった。 「先生~、そんな発音で呼ばれても誰のことかわかりません。ちゃんとベトナム語の発音で読んでください!」 いつも、私に厳しい要求(半分冗談が混じっている)をつきつけてくる学生が真顔で言う。 「え~~

作文コンテスト

私が勤めている日本語学校では、大きなイベントの一つとして「作文コンテスト」というものがある。 全校の学生が2コマ(90分)使って決められたテーマで作文を書く。 テーマは当日3つ提示され、その中から一つ選んで書く。 規定の字数が書けていればいつもより少し早く帰ることができるので、早く帰りたい学生は必至だ。 中上級以上のクラスともなると800字以上1200字の作文を書かなければならない。作文が苦手な学生にとってはとても大変だ。 字数を増やすために学生がやりがちなのは・・・

日本語学校で年賀状について授業をしたけれども・・・

12月の最終登校日、私が勤務している日本語学校では「年賀状を書いてみよう」という授業を毎年している。 今日がそうだった。 宛名の書き方に始まり、自分の郵便番号、住所、名前の書き方、賀詞の次に書くこと、等々。初めて書く学生にとってはチンプンカンプンの世界。 プリントを作って渡し、教室のモニターをつかって説明しても、話を聞いていない人はいるわけで、宛名面におもいっきり「謹賀新年」とボールペンで書いてしまう学生が毎年何人かいる。あぁ。 でも、今年は一人だけだった。 実は、

学習者の作文を読んではっとしたこと

日本語学校で学生が書く作文や志望理由書を読んではっとすることがある。 大学院に提出する志望理由書にこう書いた彼は 第一志望の学校に合格。 卒業後、日本で就職した。 彼は、今、最先端技術を駆使して、 私たちの生活に役立つ物作りをしている。 彼の熱い思いが忘れられない。 その日の作文のテーマは「手」だった。 私は、この書き出しに衝撃を受けた。 彼の国では、今も過去の戦争の影響が色濃く残っている。 この作文のテーマを考えていたときに、 このような内容の作文が 書かれることは全