新入社員が水をかけてあげようかと言われた話
じょうろを見ると思い出す話がある。
新入社員の時の話だ。入社間もない頃、旅行会社で私は仕事を覚えるのに必死だった。失敗も多かった。大きな失敗もした。
ある日、上司が私の横に椅子を持ってきてデスクに肘をのせ、頬杖をつきながら真顔でこう言った。
「ねえ、ねえ。優谷ちゃん、お水をかけてあげようか」
え? 私また何かやらかした? やばっ?
オロオロする私に上司が今度は笑顔になって続ける。
「いやー、早く一人前の戦力になるようにさ!」「水も肥料もかけてあげたい気分なんだよ」